初めての阿伏兎さんが裸エプロン。欲望丸出し。
お話は突発コピー誌『凶暴なSEX』の後設定。
もちろん単発でもわかる話です。だって、そんな内容のある話じゃないもの。
自分の脳内で、阿伏兎さんは神威の下僕で保護者でおかんで恋人で部下で同志で・・・なんというか、人間関係がl極めて少ないであろう神威にとって、全てを満たす対象だと思ってます。
おそらく神威は意識してない。阿伏兎は、しかたねーな・・・と言いつつ、誰よりも色濃い神威の夜兎の血に惹かれてる。
世間では阿伏兎×神威が主流ですが、うちでは神阿です。というかリバ。神威の気紛れで全てが決まる関係。
どーでもいいけど、神威19、阿伏兎39設定です。
二人の出会い話とか、夜王もからむドロドロのエロとか描きたいな。
血と精液で汚れたシーツ。
血と精液と涎と、生理的に流れた涙で汚れた顔。
まったく、こんな有様が様になるのは美しい女と相場が決まっているというのに、何の因果で己のようなむくつけき中年が演じているのか。
「・・・っ」
寝返りを打っただけで痛む身体に阿伏兎は顔をしかめる。今に始まったことではないが、神威の相手は下手な戦闘の100倍しんどい。
神威の気紛れによって始まるそれは、彼の気紛れのままに進み、唐突に終わる。そこに阿伏兎の心身の都合が入り込む余地は当たり前のようにない。
それは今回とても例外ではなく、癒えきらぬ左腕と大量に日光を浴びた後の気だるい身体を思うが侭に蹂躙された。
些細な言葉のすれ違いに激昂した神威に、血塗れになるまで顔を殴られた。べつだん珍しいことではない。子供じみたというか子供そのものな神威は、気に入らないことがあれば笑った顔のまま暴力をふるい人を殺す。しかし、並の人間ならば頬骨を砕かれ失神するような神威の暴行も、夜兎の猛者である阿伏兎にとっては何ほどのこともない。第一、この程度のことで逐一騒ぎ立てていては、春雨精鋭部隊第七師団長殿の側近など三日と務まらぬのだ。
しかし夜兎といえども、モロに顔に喰らえば鼻血くらいは普通に出る。逆流してくる己の鼻血に咽ながら、有無を言わさず口を犯された挙句、口淫が下手だと左腕の縫い痕に爪を立てられた時には、不本意ながらみっともない声を上げずにういられなかった。
未だ癒えきらぬ傷跡は酷く過敏で、骨の近くを走る神経が直に刺激されると、腕から脳天に痛みの電流が突き抜け、抑える間もなくくぐもった悲鳴となって口から溢れた。
(シャワー・・・浴びねぇとな)
阿伏兎に潔癖症の気はなかったが、こうも全身が様々な体液で滑ったままでいるのは何とも気分が悪い。神威と肌を重ねるようになって久しいが、もともと阿伏兎の性的趣向はいたって全うなのである。よって、汚れた己の身体を抱きしめ悦に入るようなアブノーマルさはない。
「・・・・くっ」
腰と腕をかばいながらベッドから下り、重い足を引きずってシャワー室に向かう。踏ん張った拍子に神威の残滓が内股を伝う感触にやれやれと苦笑する。20も年下の、下手をすれば息子と言ってもおかしくない年頃の青年にいいように扱われ、まさかの女役までするハメになるなど想像したこともなかった。
「阿伏兎、シャワー浴びるの?」
「そうですよ。誰かさんのおかげでこちとら酷い有様なんだよスットコドッコイ」
そう憎まれ口を叩いてやれば、何を考えているのやら、神威は二十歳前の青年とは思えぬ愛くるしい仕草で首を傾げた。
「ねぇ、俺も一緒に入っていい?」
「あ?シャワーだって言ってんでしょうが」
「やだよ、俺シャワー嫌い。お風呂がいいよ」
「入れろってか?俺に今すぐ40度きっかりの湯船を用意しろってか?」
「今日は少し暑いから38度がいい」
「そこですかい」
暑がりの寒がりという我侭な神威は、大雑把なくせに風呂の温度には些かうるさい。が、今阿伏兎が取り沙汰しているのはそういう問題ではない。
「あのなぁ・・・アンタが無茶苦茶してくれやがったおかげでオジサンはお疲れなんですよ。もうちゃっちゃとシャワー浴びて、何も考えずにぶっ倒れてぇんですよ」
「何だよ、俺の妹とちょっとやりあっただけで大袈裟だなぁ。だらしないよ阿伏兎」
「いやいやいや、とどめさしてくれたのはアンタですからね、団長様」
「俺だってベタベタなのに、自分だけスッキリするつもり?意地悪だね阿伏兎」
確かに神威の身体も阿伏兎ほどではないが清浄とは言い難い。しかし、阿伏兎が一方的な被害者であるのに対し、神威は一方的かつ完璧な加害者なのだ。客観的に言って阿伏兎に非難がましい口をきける立場ではないはずなのだが、残念ながらここには客観的な意見を言える人間は存在しない。
「へぇへぇわかりましたよ」
ぐぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あり?」
「・・・・・・アンタ、あんだけ夕飯食っといて、どんだけ欠食児童なんですか」
盛大に鳴り響いた神威の腹の虫に、思わず阿伏兎はツッコンだ。
驚異的な身体能力と、回復力に直結する激烈な新陳代謝を誇る夜兎族は、基本的に燃費が悪い。皆揃いもそろって大喰らいの大酒のみときている。39歳になる阿伏兎にしても、同年代の地球人男性の3倍は軽く平らげるし、酒も地球のものではホロ酔い程度にしかならない。
がしかし、神威の食欲の凄まじさは、彼が極めて活発な夜兎続の若者であることを差し引いても尋常ではなかった。
『阿伏兎、おなかが減った』
何度その台詞を聞いたことだろう。
『阿伏兎、朝ご飯は何?』
神威は朝からすこぶる健啖だ。何しろ丼三倍ならぬオヒツ三杯なのだ。
『阿伏兎、10時のお茶。お茶請け忘れたら殺すよ?』
特大肉マン10個は果たしてお茶請けなのだろうか?
『阿伏兎、お昼まだ?』
2時間前に食べた”お茶”はキレイサッパリ消化されている。恐ろしい・・・・
『阿伏兎、もうオヤツの時間だよ?』
だから、ラーメン大盛り三杯はオヤツじゃない。
『阿伏兎、夜ご飯!もう俺おなかぺこぺこだよ!早くはやくっ』
・・・ありえない。
『阿伏兎、夜食が食べたい』
・・・・・・・・マジもう勘弁して下さい。500円やるから。
神威の食を賄う、それが阿伏兎の日常だった。
「阿伏兎・・・・・おなかが減ったよ」
「寝る前に無駄に運動するからでしょうが」
「だって、阿伏兎が悦すぎるからだよ?阿伏兎が悪いんだからね」
俺悪くないもん!と言い張る神威に阿伏兎は額を押さえて溜息を一つ。このまま神威と付き合っていたら、おそらく自分はかの有名な星海坊主と同様、根毛の女神に見捨てられるに違いない。
「あーもうわかりましたよっ!み〜んな私めが悪ぅございますよクソ団長様!」
「そーだよ!阿伏兎が悪いんだから責任とってチャーハン作ってよ」
「卵チャーハンでようございますか?」
「カニがいい」
「はい、そこ贅沢言わない。カニ缶はこの前アンタがカニ玉で食い尽くしたでしょうが」
「じゃぁエビ」
「エビチリで最後でした」
「んん〜〜〜チャーシューは?」
「アンタ、駄目だって言ってんのにツマミ食いしたでしょ?夜中に」
「あり?バレてた?」
「食料個の扉ぶっ壊しといて何言ってやがりますか」
神威がいつ何をどれだけ食べたかを、ほぼ正確に記憶している自分に阿伏兎は呆れた。限りある記憶力の無駄遣いもいいところである。
「わかったよ。そのかわりパラパラのフカフカのツヤツヤじゃなきゃヤダよ?」
チャラついた飯に興味がない半面、神威は基本の味には非常にうるさい。味わってるのか噛んでるのかすら怪しい食べ方をするくせに、食への手抜きは絶対に認めないのだ。
「はいはい。スープも忘れずに、でしょう」
「さすが阿伏兎!使える部下を持って俺は幸せだよ」
部下というよりそれは本来コックの仕事なのだが、何故か神威は阿伏兎の作る食事を偏愛する。やはり夜兎族の味覚には同族の作るものがしっくりくるのかもしれない。
「ところで団長様、俺はおさんどんの前にシャワーを浴びてもよろしゅうございますか?」
「えーーーーーー」
「えーーーーーーじゃねぇよアホ団長」
「じゃぁ5分だけ。5分で出てきてチャーハン作って」
「5分ってアンタ」
今時刑務所でももう少し落ち着いて風呂くらい入れてもらえる。
「せめて10分」
「だーめ!俺はおなか減ってるんだから!・・・・でも、今日はちょっと無理させちゃったから7分入ってきていいよ」
「・・・・・お優しいお言葉、涙がでそうですよコンチクショウ」
どこまでも上から目線な神威の譲歩に、もはや阿伏兎は溜息もつかない。目の前にいる愛くるしい顔をした赤毛の青年は、明らかに育てられ方を間違ったのだと諦めるしかないのだ。
「阿伏兎、チャーハンたくさん作ってね?俺、阿伏兎の作るチャーハンが一番好きだよ」
「褒めたって卵は卵だ。カニにもエビになんねーですぜ?」
面と向かって好きだの一番だのと言われると、たとえそれが欠食児童に与えるチャーハンのことであっても面映い。
「もぉ!俺がせっかく褒めてあげてるのに!阿伏兎の天邪鬼!」
頬を膨らませ、子供のように地団太踏んで怒る姿は酷く幼く、つい先刻まで阿伏兎を惨たらしく陵辱していた者と同一人物とは思えない。
「なんつー性質の悪い」
無邪気さと残酷さ。優しさと冷酷。正反対の要素を自然に持ち合わせながら、不思議と邪悪さがない。これでは憎むことも嫌うこともできないではないか。
「阿伏兎ー、出たらそのまま裸エプロンで作ってね?ちゃんと俺が母の日にプレゼントした奴だよ」
「アンタ、マジで性質わりーーーなっっっ」
選択肢は間違ってなかった、と思う。多分。
もう一度人生をやり直す機会があたえらっれても、この性質の悪いアンテナ赤毛とゆくことを選ぶだろう。きっと。
それでもやはり阿伏兎の頭と胃はしゅっちゅう痛い。それが彼らの日常。