たちきんさんから頂きました。というか、フリーリクで図々しくもお願いしました。
だって、ホルデボってないんですもの。
絵ヅラ的にもキャラ的にも合うと思うんだけど。てか、みんなデーボもっと描こうよ!可愛いじゃないですか、彼。
デカイ図体でオサゲで黒髪で冷蔵庫でちょっと頭脳が間抜けでスタンド能力Mくさくて。そして全身傷だらけ(しかも肌褐色)。落ち着いてみたら物凄い萌えキャラだと思いませんか?!
もうこの絵を見た瞬間エロストーリーが一本浮んで、下の小咄のプロットを外出中の電車の中で練り上げて、本日一気に書きました。
オタクに自重はない。計画性もない。自分のハロウィン絵放置だ!急がな・・・
街灯の切れた深夜の裏路地を、デーボはフラつく足取りで歩いていた。時間帯と場所柄から言って、知らぬ者が見れば彼はただの酩酊した酔っ払いとしか認識されないだろう。
だが、よくよく見れば彼の左下半身は滑り気を帯びた血で染まっていた。よほど深い傷を負っているのか、大腿にきつく止血帯を巻いてなおジワジワと出血が続いている。
「クソが・・・・派手にやりくさりやがって」
杖がわりの鉄パイプをギリと握り、デーボは悪態を吐いた。
職業柄とそれ以上にスタンド能力の性質上この手の負傷には慣れている。彼にとって『仕事』=『負傷』は当たり前の法則なのだ。
殴られ蹴られ、撃たれ刺され、抉られ潰され、折られ砕かれ、灼かれすらしてきた。ありとあらゆる種類の怪我とそれに伴う苦痛を経験した。まだ少年と呼ばれる年頃から裏稼業に足を踏み入れていた彼は、以来10数年それらの痛みを一人で処理してきたのだ。
「痛・・ぇぇ・・・・・」
血の滲む大腿を拳で押さえ掠れた声で呻く。
痛みには慣れている。人間離れした回復能力も持っている。だが、痛覚そのものが麻痺しているわけではないのだ。傷を負えば人並みに痛むし、一度に大量の血を失えば貧血や眩暈に襲われもするのだ。
受けたダメージが大きければ大きいほど、加害者を恨み憎む気持ちが強ければ強いほどその力を増すスタンド『エボニー・デビル』。それを使いこなすには苦痛を恐れずに受け入れる度胸が必要不可欠だ。
しかし、だからといって無防備に受けすぎてもいけない。その場で行動不能に陥れば殺されるのは彼自身、良くて相打ちだ。当たり所が悪ければ即死する危険すらある。そのあたりの見極めがスタンド使用法のネックといえよう。
実の所、今回デーボは彼らしくもなく『受けすぎて』しまった。
急所以外を2・3発撃たせて速やかに仕事を遂行し、多少の疼きを堪えつつ屋敷に帰還するはずだったのだが、いくつかの手違いの結果、左膝の皿を割られた後に大腿に3発も喰らってしまったのだ。
「・・・・・っ・・・・・」
一歩踏み出すたびに脈打つように痛む左半身に、デーボは歯を食い縛って堪える。黙々と、ただ黙々と腐肉を詰めたズダ袋のような左脚を引きずって歩き続ける。
(やべぇ・・・・目が霞んできやがった・・・・血ぃ出しすぎたか)
撃たれたことそのものよりも、貫通しきらず体内に残ってしまった1発を自ら小型ナイフで抉り出す方が心身ともにキツかった。
とにかく意識のあるうちにカイロの屋敷に帰還すること。
デーボはそれだけを念じて歩き続けた。
※
明け方。
エジプトの苛烈な太陽が目覚める少し前の時刻、ホル・ホースは屋敷の庭園を目的もなくブラブラと歩いていた。馴染の女と馴染んだ情事を楽しみ、その乳房を枕に一寝入りしてきたためか、彼の頭と感覚は妙に冴え渡っていた。
何もすることはないがベッドに入る気にもなれず、ただ何となくほっつき歩く。そうした無駄がしかし彼は嫌いではなかった。彼は基本的に陽気で賑やかなことの好きな性質であったが、手持ち無沙汰な静寂を愉しむ『粋』を知らぬほど子供でもなかった。
「ん?」
ホル・ホースは夜明け前の庭園に不似合いな影に器用に片眉だけを上げた。
鉄パイプに縋りつくようにして、今にも倒れそうによろめきながら歩く人影。
前屈みになっていてなお大きいと知れる体格、後ろで一纏めに編んだ長い黒髪。見間違えようもない特徴的なその姿に、ホル・ホースは思わず咥えていた煙草を吐き捨てて叫んでいた。
「デーボ!」
尋常でないデーボの様子に、ホル・ホースは少しばかり焦った。
彼とてデーボのハイリスク・ハイリターンを地で行くスタンド能力は知っていたが、実際ここまで派手に負傷した姿を見るのは初めてだったのだ。
「おい!大丈夫か?!」
ホル・ホースの声は果たしてデーボに届いていたのだろうか。
デーボはホル・ホースの胸の中に倒れこんで失神した。
※
(・・・・・ここは・・・・どこ・・・だ?・・・俺は・・・確か・・・・・)
ボンヤリとした頭で、デーボは自身の行動を時系列に沿ってリプレイさせる。
雇い主に依頼された仕事をしに行って、ちょっとしたドジで思いがけねぇ大怪我をしちまった。
それからクソ痛ぇ足を引きずって、なんとかカイロの屋敷に辿りついた。
部屋まであと少し・・・・・あぁ、そうだ。俺は部屋に向かって最後の力振り絞ってたんだ。
したらあの女タラシのエセカウボーイが・・・・・・
けど、ここは一体どこだ?
屋敷・・・・・か?
デーボは首と目だけを動かして見覚えのない部屋を見渡した。
部屋に自分以外の人気がないコトに一先ず安堵し、ここに至ってようやく自分が完璧な手当てをされた後だということに気がついた。
大腿の傷にはキッチリと白く清潔な包帯が巻かれ、割れてしまった膝はギプスで固定されている。ご丁寧なことに、左腕の静脈には点滴の針まで刺さっている。酷い痛みがないのは鎮痛剤が、身体がダルく再び瞼を閉じてしまいたくなるのは鎮静剤が投与されているためだろう。幸か不幸かその手の経験は異常なほど豊富なため、デーボはすぐに自身に施された処置を察してパニックに陥るようなことはなかった。
(しかし誰がこれを・・・?)
普通に考えれば医者だ。しかし、この屋敷にカタギの人間である医者が呼ばれるとは考えにくい。
では逆に、屋敷に辿り着いて失神している間にどこぞの病院に搬送されたのか?
(違う・・・ここは病院なんかじゃねぇ)
その可能性をデーボは即否定した。
ベッドと椅子、小さなサイドテーブルにランプ、簡単なチェスト。それ以外何もない殺風景な部屋の作りは病院の個室に似ているが、調度品の古さや趣味からして病院ではありえない。何よりもこここには病院独特のニオイがない。
「わかんねぇ・・・・」
掠れ声を通り越したしゃがれ声で呟き、デーボは酷く喉が渇いていることを自覚した。
とりあえず差し迫った危険もなさそうだから水を飲みに行こう。
多少の危険ならばどうにかできるという自信からか、デーボは殺し屋にしてはかなり大雑把な性格をしていた。
「・・・・!?」
デーボが上半身を起こしベッドから出ようとした丁度その時、ドアが外から開かれた。
咄嗟に身構えスタンドを出すも、触媒となる人形がない。デーボの顔に緊張が走った。
「ん・・・・もう目ぇ醒めちまったのか?さすがだねぇ『呪いのデーボ』」
「ホル・ホース」
現れた見知った顔に、デーボは緊張を解いた。
「って、おめぇどこに行く気だったんだ?まだ寝てなきゃだめだろーが。傷口開いちまうぞ」
「おい、ここはドコだ?これは誰がやった?俺はどのくらい眠ってた?」
「おいおい、せっかちな野郎だな」
「答えろ」
「わかったわかった。一つずつ答えてやるから、とにかく寝てろ」
常人ならば震え上がるであろうデーボの眼光に怯むこともなく、ホル・ホースは半ば強引にデーボを寝かしつけた。
「まずココはDIOの屋敷だ」
「この部屋は?」
「あぁ、ここか。まぁ俺も入るのは初めてだが、医務室ってトコだな」
「医務室?」
「人殺し集団が堂々と健康保険証持って病院行ったり普通の医者呼びつけて治療してもらうわけにゃいかねーだろ?」
「だろうな」
「で、おめぇの治療したのは執事だ」
「何?」
「執事」
「・・・・・何の冗談だ?」
これにはさすがのデーボも驚いた。あの引きこもりのゲームオタクの人形フェチが医者だったとは初耳もよいところだ。
「いやぁ〜俺も初めはなんかのジョークだ思ったんだけどさぁ・・・あいつ、医学部中退なのな」
「中退かよ」
思わずツッコンだ。中退の無免許医に手術されるというのはかなり複雑な気分になるものだ。
「で最後の質問の答えは、ざっと12時間ってとこか?」
「そんなに寝てたのか・・・」
「どうした?深夜番組の録画でも忘れたか?」
「ちげぇーよ馬鹿」
敢えて軽く言うホル・ホースにデーボは溜息を吐いた。怪我にも薬にも耐性のある自分が12時間も目覚めなかったということは、相当強い薬剤を持続的に投与されていたのだろう。
裏稼業が骨の髄まで染み付いているデーボのような人間は、『仲間』や『パートナー』であっても他人を信じきることをしない。そんな彼にとって無防備な姿を長時間他人に晒すのは決して好ましいこととは言えない。
「俺は質問に答えたぜ?今度はおまえの番だ」
「おまえに答えることなどない」
仲間であっても、個人的に請け負った仕事に関してまで根掘り葉掘り詮索されるのはごめんだ。
「駄目だ、答えろ」
「てめ、何様だ?」
ホル・ホースの強引さにデーボは呆れた。
「質問その1。気分はどうだ?」
「んだそりゃ」
想定外の質問にデーボは拍子抜けした。それはやけに『普通』で『平和的』な質問だった。
「答えろ」
「良くはねぇけど、それほど悪くもねぇよ」
「ならいい」
正直なデーボの答えに、ホル・ホースは満足気に頷く。
「質問その2。何か欲しいモノは?」
「水」
「OK。持ってきてやる」
「・・・・・あぁ」
こんな風にストレートに親切にされるとどうリアクションして良いのかわからない。
「何なんだあの野郎は・・・・」
頭が鈍く痛むのは、傷と薬の副作用だけだろうか・・・・。
「おら、飲め」
手渡されたミネラル・ウォーターのペットボトルを、デーボはほとんど一気に飲み干した。
「落ち着いたか?」
「あぁ」
「じゃ、最後の質問だ。おめぇ、何でこんな大怪我してんだよ?ヘタすりゃ失血死してたぜ?」
「うるせぇよ。てめぇにゃ関係ねぇ話だ」
「そうかい・・・」
労わりのある態度。他愛のない質問。フットワークの軽い親切。女ならばこれでコロリと口を割るのだが、デーボ相手では勝手が違ったようだと、ホル・ホースは肩を竦めて小さく溜息を吐く。
「が、関係ねぇってこたぁねーだろ?俺ぁこれでも心配してたんだぜ?」
「それこそ俺には関係ねぇ」
「そうかよ」
ホル・ホースの声が一段階低くなった。
血塗れで失神したデーボを担いで、徹夜で人形のドレスを縫っていた執事を呼び出し、処置を手伝い、眠り続ける彼の病室に幾度となく足を運んでは何くれとなく世話を焼いてやったというのにこの言われよう。
素直に『ありがとう』などと言われるのも気色悪いが、少しばかりの感謝を示してもらってもバチは当たらないのではなかろうか?
「関係ねぇってならもう聞かねぇよ。けどよ、報酬はもらうぜ」
「あ・・?てめ何言っ・・・・」
ホル・ホースはデーボの唇を有無を言わせずに奪った。
「ん・・・・・に・・・・ん・・・・だ・・・・・めぇ・・・」
抗うデーボの手首をベッドに縫いとめ、飲み干したばかりの水で冷たく冷えたデーボの口内を遠慮なく犯す。
「・・・・・ん・・・・・・ぐぅ・・・・てめぇ・・・・ぶっ殺されてぇのかっこのヤリチン野郎!?」
解放された途端、デーボの口は下品な言葉を吐き散らす。
「殺す?殺すねぇ?今のおめぇにできんのかよ?そんなボロボロでマトモに歩けもしねぇおめぇに?言っとくがここにゃおめぇが使えるような人形はねぇぜ?」
「・・・・っ」
痛いところを突かれデーボは唇を噛んだ。
身体さえまともならば、ホル・ホース如きに負ける気はしないデーボだった。
ホル・ホースも小柄な方ではないが、デーボは更に大柄で筋肉質であり、冷蔵庫を内側から力尽くで開ける腕力は相当なのだ。そんな彼がホル・ホースに力負けして押さえ込まれるなど常ならばまず在り得ない事態だった。
「おら、大人しく身体で払いな」
「怪我人相手に最低な野郎だな・・・」
「ほぉぉぉ〜〜〜?おめぇの口からそんなお行儀のいい道徳的なお言葉が出るたぁ驚きだぁっ!」
大袈裟に驚きを表現し、ホル・ホースはデーボの下着を手際よく剥ぎ取る。
「覚悟はいいか?『呪いのデーボ』?」
傷だらけの下腹部を撫で上げながら、デーボの耳元で女たちが孕みそうだと喘ぐ声で甘く囁く。
「勝手にヤりゃいいだろう」
どうにも出来ないことを悟ったデーボは、不貞腐れたように目を閉じた。止めてくれと平身低頭して慈悲を請わないのは彼の持つ矜持故だ。
「当然そのつもりだ」
ホル・ホースはデーボの露になった一物を左手でゆっくりと扱きながら、右手を包帯を巻かれたデーボの左脚に軽く這わせた。
「っ・・・・!」
デーボの顔が苦痛に強張った。薬で大分和らげられているとはいえ、触れられれば熱い痛みが走るのだ。
「やっぱ痛ぇか・・・そりゃ痛ぇわな、うん」
自分でやっておきながら、ホル・ホースは一人盛んにうんうんと納得している。
「しょーがねぇ、こいつで妥協すっか」
ホル・ホースは何を思ってか右手に宿ったスタンド『皇帝』を発現させた。
「咥えな」
「・・・・・・おい」
目の前に突きつけられた黄金の拳銃『皇帝』に、デーボは困惑した表情でホル・ホースを見上げた。
「しゃぶれつってんだよ。ナニ舐めんのと同じ要領でよぉ。ちゃんと舌使って、気ぃいれてペロペロしろよぉ〜?でないと口の中でぶっ放すぜぇ?」
「どーゆープレイだよっ!変態かてめぇ?!」
「うっせーな!その身体じゃまともにケツ使えねぇんだから仕方ねぇーだろ?!」
「てめぇは・・・」
いきなり逆ギレしながらも、中途半端に甘い気遣いを見せるホル・ホースにデーボは怒る気が失せた。
実際、今この状態で男の相手をするのはデーボにしてもしんどいのだ。ならば、この些か変態じみた甘い気遣いに乗ってみるのも悪くないかもしれない。倫理や道徳から自由な人間はえてして柔軟な思考を持っているものだ。
「いいぜ・・・しゃぶってやるぜ早漏野郎」
「言ってくれんじゃねぇか。俺の『皇帝』で口ん中犯されてイっちまいな」
ぴちゃぴちゅ・・・くちゅ・・・・ん
一度やると決めたデーボに躊躇いはない。口内に押し込まれた『皇帝』の銃口に舌を差し込み、銃身を唇で擦り、先端を喉で絞る。
男性器を銃に例える下品な比喩表現があるが、なるほど実際口で奉仕してみるとそれらの構造は良く似ていると、デーボは妙なところで感心する。
チュ・・・・ちゅく・・・・にちゃ・・・・
銃口に潜らせた舌の動きを加速させ、その内側をより強く擦り上げる。
「お・・・気ぃ入ってんじゃねぇ・・・か・・・・っ」
デーボの舌技にホル・ホースは背中をビクリと振るわせた。
ちょっとした思いつきで始めたオフザケだ。正直スタンドを刺激されるだけでここまでの性的快感が得られるとは思いもしなかったのだ。
「デーボ・・・・イイぜ・・・・すげぇイイ」
ホル・ホースはデーボの黒髪を鷲掴みにして、『皇帝』をより深く喉に達するまで押し込んだ。
「ぐぅ・・・・げぇっ・・・・っっ・・・っ」
「喉の震えがたまんねぇぜ」
デーボは嘔吐感と息苦しさに生理的な涙を浮かべ、本能的に頭を振って逃れようとするがホル・ホースは許さない。
自他共に認めるフェミニストである彼は、女に対してはどこまでも優しい。言葉も甘ければセックスの仕方も甘い。自分自身の快楽よりも、女を悦ばせることを優先する気があり、女が嫌がることは間違ってもしない。もともとサディスティックな行為を好む性質でなかったことも幸いし、彼はそれで充分以上に満足できるのだ。
だが相手が男、しかも自身以上に屈強なデーボとなると、彼の箍はどうしても些か外れがちになる。
今も負傷しているデーボを苦しめてしまっていることを頭では理解していながら、快楽を求める雄の本能が行為の中断を頑なに拒んでいる。
(やべぇ・・・・)
後戻りができない以上、早々に果ててデーボを解放してやるしかない。
そのためには刺激が必要だ。
より強い刺激。より強烈な快感。
もっと。もっと。もっと。
「イクぜ・・・デーボ」
ホル・ホースは厳かに宣言し、『皇帝』をデーボの上顎に擦りつけるようにして抽挿を始めた。
「あ・・・・・ハッ・・・・ァ・・・・ン・・・・・はぐぅっ・・・・っ・・・」
口の端から涎とホル・ホースの先走りを垂らしたまま、デーボは息苦しさだけでない喘ぎを漏らす。
同性のスタンドに口内を乱暴に犯されて善がる自分など認めたくはなかったが、その行為は確実にデーボの性感を刺激していた。それは硬く屹立した一物が言い訳のしようもなく証明している。
(駄目・・・・だ・・・も・・・イク・・・イっちまう・・・・・)
脚の痛みを忘れる程の快感の波に攫われ、デーボはホル・ホースと前後して昂ぶりを吐き出した。
※
「・・・・デーボ?」
「うるせぇ」
「あ〜もしかしておめぇ怒ってるか?」
「知らねぇよボケ」
行為の後、グッタリと横たわったまま動こうとしないデーボに、ホル・ホースは僅かながら良心の呵責を感じていた。デーボの態度にも問題はあったが、だからといってコレは少々やり過ぎだったかもしれない。
いかにデーボがタフであっても、12時間前に縫合やら手術やらを受けたばかりなのだ。それなりに心身は疲弊していただろう。
「脚・・・平気か?」
「痛ぇ」
「ごめんな。やりすぎちまった」
「痛ぇよ・・・・」
「俺が-」
「けどてめぇのせいじゃねぇ」
枕に顔を押し付けたまま発せられたデーボの声は、もはやしゃがれ過ぎて聞き取れないほどだったが、不思議と弱々しくはなかった。
「デーボ・・・」
「腹が減った」
「へ?」
「昨日の昼から食ってねぇんだよ」
「わかった。林檎剥いてやるからそれ食って寝ろ。な?」
「今度安眠妨害しやがったら、マジで呪い殺すからな」
「へいへい。じゃ、いい子で待ってな」
物騒な脅し文句を背中に、ホル・ホースの足取りはあくまでも軽かった。