"DISCLAIMER: The characters and situations of the television proguram ""The X-Files""" " are the creations and property of Chris Carter,Fox Broadcasting and" Ten Thirteen Productions. Auther:   Mebius Spoiler:  Non Title:    Starlight 一部キャラクターが引用されていますが、これはあくまでも作者の想像によるもので、 事実とはかけ離れております。 ******************************************************************************* 僕が家に着いたとき、すっかり日は暮れていた。 空には無数の星が輝いていた。 自分を騙しながら来た数年を思い出しているうちに、すっかり遅くなってしまった。 自宅には誰もいなかった。 Teaはいま撮影に行っており、ここしばらく留守にしている。 彼女はMadelineを必ず連れていくから、今僕は広い家に1人きりだ。 車を先に降りたブルーはお気に入りの場所に座って、僕を見上げていた。 それにちょっと微笑みかけると、Barに向かいGordon Ginを取り上げる。 大き目のグラスに注ぐと、ちょっとだけTonic Waterを注ぎ、口にした。 強いGinの香りと刺激が、喉をすべり降りていく。 グラスをもったまま窓辺に寄ると、暗闇の中から波の音が聞こえてきた。 誰に言うでもなく、僕は自分の心を口にした。 「そうさ、僕は彼女を愛している。」 Mulderに言われるまでも無かった。 共演者としてではなく、1人の女性として。 過去に一時的だったが、僕達は確かに愛し合っていた。 だけど、今は。 本編の外で、MulderとScully今でもそのまま続いているのに。 「何故。」 グラスに目を落とすと、疲れた顔の男が僕を見返していた。 彼女の手を離したのは僕、信頼を裏切ったのも僕、でも彼女をまだ愛している。 なにげなくかわす言葉の中に非難を感じたこともあった。 でも、僕達は共演し続けている。 もう、彼女はあの時のことなど忘れてしまったのだろうか? 忘れ様としたのだろうか? いつものように答えは何も出てこなかった。 ******************************************************************************* 「Gillian、ちょっといいかい?」 「なに、David?」 あの頃、お互いの名前を呼び合うだけで、満たされていた。 本編の彼らの仲が一向に進まない陰で、僕らは実際に愛し合っていた。 Scullyとは違い、喜怒哀楽がはっきり顔に出る彼女が僕はとても愛しかった。 冗談を言っていても塞ぎがちになると、それを察して見守ってくれた。 でも、あのとき彼女は震えていた。 明るい笑顔の裏に不安を隠しきれずに。 普段見せる表情と正反対の彼女に、僕は自分が押さえられなくなった。 彼女の部屋を尋ねたのは、次回の台本の件で話があったからだが、別に電話で済ませれば それでも済むことだった。 でも、僕は彼女に会いたかった、口実といわれてもよかった。 部屋に招き入れられると、ソファに並んで座り台本の話を始めた。 だが、いつものはじけるような反応が無かった。 「どうしたんだい?」 僕を見つめながら、あっという間に蒼い瞳が潤んでいった。 「いいえ、なんでもないのよ。ごめんなさいね。」 少し掠れた声で答え、横を向こうとした彼女の頬を涙が伝った。 あわててそれを隠そうとした手を捕らえた。 びくっとしながらも、ゆっくり僕の方に向き直る。 ひきこまれそうな蒼い瞳から、涙が溢れていた。 「僕は何かいやなことを言ってしまったかな?」 「いいえ、違うわ。」 「じゃあ、プライベートなことかい?」 「そうね。。。」 尻すぼみに小さくなる声を聞こうと、つかんでいた手を引き寄せた。 抵抗を感じたが、そんなことは気にならなかった。 僕の前で泣いていることだけが心配だったから。 腕の中で震えている彼女を守るように抱きしめた。 役ではない、Mulderではない僕自身が。 そして抱かれていたのは、Scullyではなかった。 彼女の背中をさすりながら、僕の胸に顔を埋めたままの彼女に囁いた。 「大丈夫かい?」 返事は無かった。 その代わり薄いTシャツを通して、彼女の涙が染み込んできた。 彼女は静かに泣いていた。 壊れもののようにそっと抱いていた僕も、自分の気持ちが押さえられなくなるのを感じていた。 胸に押し付けられたままの頬に手を添えて、自分の方に顔を向ける。 見つめ合いながらも、彼女の瞳に見る見るうちに涙がたまっていった。 その一粒がまさにこぼれ様としたとき、僕は彼女に口付けていた。 ふっくらとした唇の感触と震えが伝わってきた。 その触れた唇がそっと動いた。 「愛してるの。」 僕は誰を?とは聞かなかった。 触れている彼女の唇が無言で相手が、僕だと言っていたから。 抱いていた腕に力を込めて更に抱き寄せた。 ******************************************************************************* 気が付くと、僕の頬を涙が流れていた。 昔を懐かしんで? そんなわけは、なかった。 失ったものの大きさを感じていただけだ。 Teaはそんな僕の心を知っている。 全てをわかった上で、僕を包もうとした。 でも、僕が本当に包まれたいのは。 「そうさ、答えはわかっているんだ。」 部屋の隅で僕を見つめるMulderに目を向けた。 こんなときには何も言わない彼がありがたかった。 手にしたグラスは氷が溶けて僕の手をぬらしていた。 僕を見つめて、わかってるわという顔のTeaが、ふと目に浮かんだ。 Teaには何でもお見通しだ。僕の心の中さえも。 僕にとって姉のような存在。彼女に対する愛とは違う。 これをいつTeaに伝えたらいいのだろう。 とっくに僕の気持ちは決まっていたのだから。 「君は何時でも正しいよ。」 Mulderにそう話しかけると、少し頭を傾げたMulderが目を伏せた。 そんなMulderを見ながら、薄くなったGin Tonicのグラスを置くと車に向かった。 彼女に想いを伝えるために。 。。。。。。Fin