"DISCLAIMER: The characters and situations of the television proguram ""The X-Files""" " are the creations and property of Chris Carter,Fox Broadcasting and" Ten Thirteen Productions. Auther: Mebius Spoiler: Non Title: Midnight 一部キャラクターが引用されていますが、これはあくまでも作者の想像によるもので、 事実とはかけ離れております。 ******************************************************************************* 何度逢瀬を重ねたことだろう。 本編では、ただの仕事のパートナーの僕たちなのに。 実際は、最初から惹かれあっていた。 自分をだましてだまして、だまし続けてきた。 あの時までは。 僕にも彼女にもすでに相手はいたのに、お互いしか目にはいらなくなってしまった。 MulderとScullyのように、想いあっていただけだったのに。 僕たちは、一線を越えてしまった。 。。。。そのことを後悔はしていない。 決して流されたわけではなかったし、無理強いしたわけでもない。 まるで離れていた磁石のように、僕たちは寄り添った。 何の違和感もなく、2人でいることが当然のように。 しかし、公にはできなかった。 お互いに相手が既にいたから。仕事がおもしろくなっていたから。 それぞれを振り切るほどの自信が、僕たちにはなかった。 逢瀬の余韻を楽しむときにさえ、彼女はつらさに涙をこぼした。 「私たちに未来はあるのかしら?」 相手を傷つけてまで。。。解決策を口にすることができなかった。方法は1つしかないのに。 お互いにわかっていた。 どうすればいいかは。 「じゃあ、何故別れないんだい?」 「。。。そう、何故かしらね。怖いからかも。」 「僕が?」 抱きしめなおしながら、顔を寄せて呟く。 半分本気で、半分冗談で。 でも、間近で見る彼女の顔は真剣だった。 「手を離すことが。。。」 誰の手?とは聞けなかった。怖くて。。。 仕事は楽しかった。 2人の信頼関係が増してきて、Mulderでなくてもどんな事件も解決できるような気がした。 Mulderを常に支えていくScullyを、彼女は完璧に演じた。 信じるところはちがっても、次第に信頼を深め合っていく2人を。 番組は評判になっていった。 本編が一人歩きし始めた。 MulderとScullyが人格を持ち始めたのだ。 今までは、誰も僕たちが2人でいてもなんともなかったのに。 僕と彼女は彼らと同一視され、Fanをやきもきさせていた。 「僕はMulderじゃないんだ。」 何度叫んだんだろう、心の中で。 もちろん彼女もScullyではない。 あれは役なのだと何度もいっているのに、僕らの一挙一動はFanやマスコミの注目の的だった。 いつ彼らは。。。 彼らはともかく、僕たちは既に愛し合っていた。 周りにおびえながら。 現実との区別がつかなくなり、もうどうでもいいと思い始めたころ僕らは決断した。 決断の理由は僕だった。 マスコミから目をそらすために、僕は他の女性と付き合った。何人も それが彼女には自分を守るためとはいえ、耐えられなかった。 それに、自分の相手からも僕との仲を疑われていた。 自分が信じるべきものを失った彼女は、僕から去っていった。 MulderとScullyが信頼を深めていくのとは反対に僕たちは、互いの手を離した。 彼女は相手の元に戻り、僕は。。。。。 仕事は普通どおりこなしたつもりだ。プロなのだから当然だろう。 お互いの心を隠しながら信頼を深めていく役を演じるなんて、皮肉以外の何者でもない。 宙ぶらりんな思いを抱えて僕が彼女を取り戻そうともがいているうちに、彼女は結婚してしまった。 手の届かなくなったことを駄目押しされた僕は、荒れた。 彼女を守るためにやっていたことが、逆に現実から僕を引き離してくれた。 ひどくむなしさを抱えながらも、やめることはできなかった。 そんな時発表された、彼女の妊娠。 「まさか。。。」 恐ろしい疑惑が頭の中を渦巻いた。 何度彼女に確かめようと思ったことか。 でも僕にはできなかったし、彼女が答えるとも思えなかった。 葛藤が僕をさらにゴシップの渦に巻き込んでいった。 CCは何もいわなかった。 きっと彼は、僕らのことを気がついていながら見守っていたのかもしれない。 Skinnerのように。 撮影の変更がされ、無事に彼女は女の子を出産した。 その間どんな救いの手があったとしても、僕には届かなかった。 普段の生活を続けていても、すっかり心を閉ざしてしまった僕には何も聞こえなかった。 しかし彼女が復帰した日、とうとう我慢できなくなった僕は彼女を控え室で捕らえた。 針が落ちてもわかるほとシンとした部屋で。 2人だけであることを何度も確認する、そして。。。。。。 「もしかして、あの子は。。。。僕の」 そういいかけたとき、彼女にさえぎられた。 「David、プライベートはお互いに大切にしましょう。」 落ち着いた蒼い瞳からは、質問が真実であることが伝わってきた。 そらすことなく僕を見つめながらふっと寂しげに微笑むと、僕に背を向けた。 「着替えたいのだけど、いいかしら?」 「ああ、すまない。」 僕が言えたのはこれだけだった。 あまりのショックに言葉がでなかったから。 彼女は既に決断していたのだ。僕が回りにふりまわされているときに。 なんてことだ。 自分の部屋に戻ると、吐き気がこみ上げてきた。 なさけない自分に対して。 でも、何ができる。 真実を公表することが得策だとは思えなかった。 それは、彼女に対する裏切り。彼女の気持ちを踏みにじることになる。 このまま真実を胸に秘めたままにするしかないのだろう。 少しMulderの無念さがわかったような気がする。 「でもいつか、君をとりもどすよ。Gillian。」 そう、どんなに隠そうとしても真実はそこにあるのだから。 。。。。。。Fin