____________________________________________________ DISCLAIMER:The characters and situations of the television program "The x-files" are thecreation and property of Chris Carter, FOX Broadcasting and Ten-Thirteen productions ,No copyright infringement is intended. TITLE:Last scene 後編 SPOILOR:none AUTHOR:裏猫 注意:このficは私の勝手な妄想の産物であり、事実とは    全く違う事をご理解した上でお読み下さい。 ____________________________________________________ _ 「今のシーズンが終わったら、スカリーを降りたいの」 ジリアンはとても冷静にそう言った。 クリスは大きく目を見開き、ジリアンを暫く見つめた。 〜〜〜Last Scene〜〜〜 ーTake10ー デビットがクリスのオフィスに行くと、ジリアンの 姿はなく、クリスが頭を抱えていた。 「クリス、ジルが降りるって聞いたけど、一体、何が あったんだ」 デビットの言葉を聞くと、クリスはゆっくりと、顔を 上げた。 「あぁ、契約は無効にして欲しいって、要求を飲むまで、 撮影には出てこないって言ってたよ」 クリスは苛立ったように言った。 「デビット、君のせいだ!君が今シーズンで降りるなんて 言うから、一体どうすればいいんだ、モルスカ抜きのXF なんて・・・」 クリスは忌々しそうにデビットを睨んだ。 「・・・クリス、ジリアンは?」 「帰ったよ」 クリスは大きなため息を漏らした。 ーTake11ー Trrrr・・・。Trrrr・・・。 ジリアンが自分の部屋に戻ると、電話が鳴っていた。 彼女はじっと、電話を見つめているだけで、電話には 出なかった。 そして、その内、電話は留守電に切り替わった。 「もしもし、ジリアン、エージェントのジェニーよ、 いるなら電話に出てくれない・・・」 ジリアンはカウチに座って、ぼんやりと、窓の外を 見つめた。 「わかったわ、いないのね。とにかく今からあなたの 部屋に行くわ、直接あなたと話したいから」 そう言うと、ジェニーは電話を切った。 ーTake12ー 暫くすると、ジリアンの部屋のドアがノックされた。 ジリアンはジェニーが来たのだと思い、 何の用心もせずに、ドアを開けた。 「やあ」 ドアを開けると、デビットが立っていた。 ジリアンは突然の彼の訪問に動揺した。 「・・・何か用かしら」 ジリアンは動揺を隠すように、わざとそっけなく言うと、 デビットは微笑みを浮かべて言った。 「ドライブでもしないか?」 「えっ・・・」 「さあ、早く、行こう」 デビットは無邪気な笑みを浮かべ、戸惑っているジリアン の腕を取った。 ーTake12ー デビットは愛車の助手席にジリアンを乗せ、海岸線を 飛ばした。 ジリアンは窓の外に写る夕暮れの海を見つめた。 車を走らせながら、独り言のようにデビットが言った。 「スカリーを降りるんだって・・・」 ジリアンは彼の質問に、微かに、手を震わせた。 「えぇ、そうよ」 「・・・どうして?」 「あなたと同じよ、私もスカリーでいる事に疲れたから」 ジリアンの言葉を聞くと、デビットは突然、車を止めた。 そして、ジリアンの心の中を覗くように、彼女の瞳をじっ と見つめた。 「ジル、・・・嘘をついているね」 デビットはまるで、自分の妹を諭すように、優しく囁いた。 「・・・嘘、なんてついてないわ」 ジリアンはデビットから視線を外した。 「いや、君は嘘をついている」 そう言って、デビットは、ジリアンの顎を軽く掴み、彼女 の顔を自分の方に向けさせた。 その時、二人の視線は絡み合った。 ジリアンの肩は微かに震えた。 そして、デビットの顔がゆっくりと近づいてきた。 PPPP・・・。PPPP・・・。 二人の唇と唇が重なりそうになった時、ジリアンの 携帯が鳴った。 我に返ったように、二人は離れた。 「・・・もしもし」 「ジル、ジェニーだけど、今、何処?」 「海岸線よ、今から部屋に戻るわ」 そう言って、ジリアンは携帯を切った。 デビットは何事もなかったように、再び、車を走らせた。 ーTake13ー ジリアンの部屋までの帰り道、デビットは何も言わずに 運転していた。 そして、ジリアンも何も言わず、ただ窓の外を見つめて いた。 「・・・着いたよ」 ジリアンのアパートの前に車を止めると、デビットが 静かに言った。 「ありがとう」 そう言って、ジリアンが車のドアを開けようとした 時、デビットの手が、彼女の手を掴んだ。 ジリアンの胸の鼓動は止まりそうだった。 「ジル、本当の事を教えてくれ、君は・・・」 そこまで言うと、デビットは言葉を飲んだ。 「・・・君はどうしてスカリーを降りるんだ」 「だから、言ったでしょ、あなたと同じ・・・理由よ」 ジリアンは心の中を隠すように、冷たく言った。 「あなたこそ、どうして、モルダーを降りてしまうの?」 「それは・・・」 「それは、モルダーに飽きたから?いえ、違うわ、あなた も嘘をついている」 ジリアンはデビットを見つめた。 デビットは何も言わず、ジリアンから視線をそらし、 握っていた彼女の手を離した。 「・・・おやすみ、ジル」 そう言って、デビットは車のエンジンをかけた。 「私、知ってるわ、あなたがモルダーを降りたい、本当 の理由・・・」 デビットはジリアンの言葉にハッとし、彼女を再び 見つめた。 ジリアンはそんなデビットの様子に、微かに口元を上げ、 車を降りた。 「おやすみ、デビット」 そう言うと、ジリアンはアパートの中に入っていった。 デビットは彼女を追いかける事もできずに、ただ後ろ姿を 見つめていた。 ーTake14ー ジリアンは部屋に戻ると、暗い部屋の中、電気も つけずに、カウチに座り、呆然と天井を見つめた。 そして、静かに瞳を閉じると涙が頬へと滑り落ちた。 「デビットね」 突然、人の声がし、部屋が明るくなった。 「えっ」 ジリアンが驚いて、声のした方を向くと、エージェントの ジェニーが立っていた。 「・・・何の事かしら」 ジリアンはそう言って、涙を拭き、ジェニーに背を 向けるようにして、窓の外に立った。 「あなたがスカリーを降りる理由よ、それに・・・その 涙も・・・」 「彼は関係ないわ!私は自分で決めたのよ・・・」 そう言って、ジリアンは窓の側にあるカーテンをきつく 掴んだ。 「ジル、今日クリスと契約の事で話したわ」 「それで?」 「彼は渋々だけど・・・あなたの要求を飲むって、 これ以上撮影を後らせたくないから」 「・・・そう」 ジリアンは気が抜けたように、呟いた。 「撮影は明日からまた始まるわ、それじゃあ、ジリアン 明日の朝迎えに来るから・・・」 そう言って、ジェニーはジリアンの部屋を出た。 ーTake15ー 『私、知ってるわ、あなたがモルダーを降りたい本当の 理由・・・』 彼女のあの言葉の意味は・・・一体。 デビットは車を海の側に止め、星空を見つめた。 彼女は僕の気持ちに気づいているんだろうか? それとも・・・。 PPP・・。PPP・・・。 デビットが考えを巡らせていると、携帯が鳴った。 「・・・はい?」 「デビット、エージェントのエドワードだ」 「おぉ、エドどうした?」 「実はな、クリスがジリアンの要求を飲んだんだよ」 エドの言葉にデビットは衝撃を感じた。 「そんな・・・それじゃあXFはどうするんだ?」 「おそらく、今シーズンがラストになるって・・・それで な、さっき迄クリスと話していたんだが・・・デビット、 もう一度モルダーをやらないか?」 「えっ、どういう事だ・・・」 「つまり、その、今シーズンでジリアンが降りるから、 来シーズンで彼女と会う事はないだろう? デビット、君はジリアンと一緒にいて平気でいるふりを するのに自信がないからって・・・モルダーを降りたん だろ?もうジリアンも降りる事だし・・・モルダーを 続ける上で問題はないんじゃないか?」 「つまり、僕にモルダーを続けろと?」 「あぁ、まあそういう事だ。それで、どうする? モルダーをやるか?」 「・・・わからない」 「わからないって・・・なぜ?」 「・・・エド、時間をくれ、冷静に考えたいんだ」 「あぁ、わかった」 デビットは携帯を切ると、目の前に広がる真っ暗な 海を見つめた。 ジリアンと撮影で会うのも、明日が最後・・・。 僕はどうすればいい? このまま自分の心を偽り続けるのか? デビット、おまえはどうしたいんだ・・・。 デビットは深く瞳を閉じ、揺れる波の音を聞いていた。 ーTake16ー これでいいんだわ これで・・・彼はきっと、モルダーを続ける。 だから、これでいいのよ・・・。 私はスカリーではないし、彼もモルダーではない。 だから、私たちが結ばれる事はないのよ。 だから、もう諦めなきゃ・・・。 現実を見るのよ、ジリアン。 ジリアンは一晩中ベットの中で、自分にそう言い聞かせ、 枕に顔を埋め、泣いた。 ーTake17ー 「おはよう!デビット」 ジリアンはスタジオに行くと、いつもと変わらない 笑顔で、デビットに言った。 「・・・おはよう、ジリアン、今日で本当に最後だね、 よろしく」 そう言って、デビットはジリアンの前に手を差し出した。 「ええ、よろしく」 ジリアンはデビットの手を取った。 「・・・どうして、スカリーを降りるんだ」 「えっ」 次の瞬間、デビットはスカリーの手を強く、自分の方へと、 引き寄せた。 バランスを崩したジリアンはデビットの胸に顔を埋めた。 彼女が慌てて、離れようとすると、デビットはそれを許さ ず、きつく彼女を抱き締めた。 「ちょっと、デビット、ふざけてるの!お願いだから 離して!!」 「やだ。君が僕の質問に答えてくれるまでは離さない」 そう言ったデビットの表情はとても真剣なものだった。 「だから、それは・・・」 「スカリーに飽きたからなんて言わせない!」 「・・・デビット」 いつもと様子の違うデビットに、ジリアンは戸惑った。 「君は僕にモルダーを続けさせるために、スカリーを 降りるんだろ?」 「・・・違うわ!」 ジリアンは動揺を隠すように、言った。 「私がスカリーを降りるのは・・・」 そこまで言うとジリアンは黙ったまま、胸の奥の切なさを 瞳に一杯ためて、デビットを見つめた。 「あなたこそ、どうして・・・モルダーを降りるなんて、 そんなに私と仕事するのがいやなの?そんなに私が 嫌いなの?・・・私、あなたの気持ちがわからない!!」 ジリアンは心の底にためてあった感情を吐き出した。 「ジル・・・僕がモルダーを降りるのは・・・君が」 「そろそろ、スタンバイして下さい」 デビットの言葉を遮るように、スタッフの一人が、二人に 声を掛けた。 二人は何もなかったように離れ、セットに向かって歩いた。 ーTake18ー 「は〜い、それじゃあ、モルスカラストシーンいきます」 そう言って助監督はスタジオ中に響く声で言った。 すると、辺りに緊迫した空気が張り詰められた。 「シーン128、アクション!」 『スカリー、もう終わりにしよう』 『モルダー、終わりって・・・』 『XFを終わらせるんだ。この事件を最後に・・・僕は 君から多くのものを奪ってしまった。君の女性としての 人生。母親としての人生。そして君の大事な家族までも・ ・・、もうこれ以上、君の人生を奪いやたくないんだ』 そう、これで、最後だ。モルダーでいる事も、彼女と 一緒にいる事も・・・。 デビットは切なそうにジリアンを見つめた。 『・・・モルダー』 もうこれで、本当に終わりなのね・・・スカリーとして、 彼の側にいるのも・・・。 ジリアンは胸が一杯になった。 『・・・スカリー』 デビットはジリアンの頬に触れた、台本通りに・・・。 そして、額にキスを・・・。 しかし、彼の唇はジリアンの唇の上に重なった。 ジリアンは台本と違う行為に瞳を大きく見開いた。 『君を愛してる。僕は君に初めてあった時から、ずっと・ ・・』 君から離れるなんて・・・いやだ! デビットはモルダーとしてではなく、デビットとして、 ジリアンを見つめた。 『えっ・・・』 ジリアンは台本とは違うデビットの言葉に戸惑った。 『・・・今すぐには無理かもしれないが・・・でも、 いつか僕と結婚してくれ・・・ダナ』 そう言うと、デビットはジリアンを抱き寄せ、彼女だけに 聞こえるように、耳元で囁いた。 「今言った事は全てデビットとしての気持ちだ・・・ジリ アン、僕は君を愛してる、これが偽りのない僕の本心なん だ」 デビットの言葉を聞いた瞬間、ジリアンの体は震え、 瞳は涙で一杯になった。 「デビット・・・私、私・・・」 涙に震える声でジリアンが言った。 「全てが片付いたら、君を必ず迎えに行く・・・だから、 待っていて欲しいんだ、僕を・・・」 『・・・待っているわ、あなたを・・・ずっと、待って いる・・・』 そう言ってジリアンは鮮やかな笑顔を浮かべた。 「クリス・・・台本と違いますが・・・カットしますか?」 助監督が小声で言った。 「いや、やめるな、二人を撮るんだ・・・見てみろ、あの 表情。見てるこっちまで切なくなってくるよ・・・」 そう言って、クリスは微かに瞳を潤ませた。 THE END ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後書き なんかまとまりの悪いficになってしまいました。 書きたかったのとも、ちょっと違〜う!! 自分の思いどおりに書くのって、本当難しいです。 私が書きたかったのはDDがXFを降りるといった 訳です。 きっと、これ以上GAと一緒にいるのが苦しくなったから、 降りると言い出したのね、でも、でも、やっぱりGAと 完全に離れるなんて、やだー!という訳で彼はS8に半分 でることにしたと思いたいです(笑) あぁ〜、もっとその辺の感情とかドロドロにficにした かったけど・・・できませんでした。 私の勝手な、勝手な妄想につき合ってくれた方、 感謝します。