番外編
●The House of Mirth、DCに来る!● 2001/1/19(金)の独り言より抜粋 Updated on 11/17/01
今更ながらBBSを久々に読み、Manaさんのカキコを見て、せめてシノプシスだけでも知りたいとお邪魔した。そしてその後、「ここって首都が全然首都機能してないよなぁ。」とグチりながら、期待もせずにロードショーチェックをした。そしたら・・・。きゃー!DCにHOMがロードショーで来てるぅ!12月にチェックしたときはまだだったのにっ!
この映画館は今まで行ったことなかったけど、超方向音痴な私だけど、Map持参で一人で行かねば。雪が降ろうが雹が降ろうが、ゆくわっっ!
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THOMをDCでもロードショーしていると偶然知った私は仕事をホッポリ出して劇場へ飛んだ。納期通りに仕事は終えた。完徹も4日と睡眠時間3時間を1週間やった。就業時間前にトンヅラしても誰も文句は言えまい。
Webで場所を調べて地図をひっつかんでクルマに飛び乗る。何だかくたびれた感じが拭えない劇場だった。RTMのPreviewを観た劇場とはまた随分違う。とはいえ、結構いいシートだったので疲れなかった。
ここがアメリカだと言うことを忘れてポップコーンのMを頼んでしまった。バケツいっぱいのポップコーンが出てきたときには焦った。しかし意地があったので「おいくら?」などとサラリときき、お水のボトルも買って少し早めにお部屋に入る。ポップコーンを少しバリバリしてからお昼寝。灯りがついているとはいえ暗いので睡眠にはもってこいだ。あっというまに1時間が過ぎ、5分前におトイレに行って席につく。
BGMはクラシック。私の大好きな曲だ。バイオリンのコンチェルトだったと思うが、曲名が思い出せない。たしかモーツアルトあたりだった気がするけど。とにかく大好きな曲に乗せて画面の一番始めにGAがクレジットされる。「あぁ、主演なんだね。良かったね、ジル」と心にじぃぃんと来た私。
ではまずシノプシスを端折って紹介。
裕福な家庭に育ったためにかなり世間知らずで世の中を甘くみて生きているリリーちゃん、我らがGAだ。父親の破産と母親の死で天涯孤独になったかと思いきや、裕福な親戚に引き取られ、彼女の世間知らずは全然直らない。この辺り、詳細は違うが、GWTWのスカーレットに共通するものを感じる。リリーちゃん、気がつくとカード博打で9千ドルの借金。金持ちの男を捕まえて結婚する必要が今まで以上に生じてくる。しかし彼女にはもう愛している男性がいた。だが彼は彼女が望むほどの富を持っていない、しがない弁護士だ。リリーちゃんの行くとこ行くとこ、この甲斐性なし男・ローレンスが現れる。「君に会いに来た。」「どうして私に会いたいの?」「君が次に何をするか見たいから」だの、「私を愛してね。でも私に愛してるって(言葉に出しては)言わないでね。」そういってローレンスにキスをするリリーちゃん。あんたねー、と言いたいシーンだ。
男にだまされ(男にしてみりゃリリーにだまされたと思うだろうが)、親友の浮気を知りながら庇ってやったその親友にも裏切られ、自分がかつて属していた階級からも閉め出される。世間知らずの彼女は、どれほど人に裏切られても人を信じ続け、真実を自分の胸に閉じこめてゆく。
従姉妹のグレースがローレンスに恋しているのも知らず奔放に振る舞うニブチン・リリーはその従姉妹にも裏切られ、叔母にチクられて財産も借金と相殺される程度の額しか遺してもらえなかった。
働き始めるが、所詮お嬢。秘書の様なスピードのある仕事などこなせるワケなどなく、ましてや針仕事などできっこない。やっかみ半分の悪い噂も流れて彼女は職を失う。
夜眠れないリリーちゃんは睡眠薬を常用するようになる。落ちぶれ果てたリリーちゃんの前にグレースが現れる。叔母の残りの遺産を全て受け継いだ従姉妹に無心をするリリーちゃんだが、女の嫉妬は底知れず。結局リリーちゃんはもうどうにもならなくなってしまい、とうとう庇い続けてきた親友を、浮気の件で脅迫しようと決心して証拠の手紙を持って親友の邸宅を訪ねるが、夫妻はすでに国外へ。脅迫すらもタイミングをはずす、あくまでお嬢なリリーちゃん。
愛するローレンスの元を訪れ、人生をいかに甘く考えて生きて来たか、自分が愚かだったかを告白する。ここでせめてこの甲斐性なしが、なにか言ってくれれば彼女はまだ生きていたかもしれない。しかし彼は「人生は変わるモノだけれど、僕の人生から君が完全にいなくなることは決してないから」(どんな事があっても、君の助けになるよ、程度の言葉だ。ばかもん!)ローレンスが席を立ったのを見計らって、リリーは親友の浮気の証拠である手紙の束を暖炉に投げ入れた。
アパートに帰ると、無くなった叔母の遺産が降りたことが分かった。しかしそれはそのまま借金のカタに取られてゆく。全てを失った彼女は、睡眠薬の瓶をいつもより多くのみベッドに横たわる。彼女の手からは残った睡眠薬の赤い液体がベッドシーツに流れ出ていく。観客はここで、リリーの命も一緒に流れ出て行くことを知るのだ。ラスト、彼女の死体を前に、ようやく愛の告白をするバカモノ・ローレンスが泣いていた。
という、話的にはかなり古典的な話だ。
まず最初に驚いたのは、GAの英語のアクセント。完全に変えてある。彼女は確かイギリスで暮らした事があったので、カンタンなのかもしれないね。20世紀初頭のアメリカって、こういうイギリス風なアクセントだったんだぁ!すごくインパクト強くて驚いた。次に驚いたのは美しさ。この人は化け物ですか?ブラックのドレス、パールとエメラルドのチョーカーが、GAの緑の瞳にぴったり!(エメラルドとGAの2つ瞳がトライアングル上に完全に同じ色、緑に見えるシーン、強烈な印象!カメラさん、すごい!)
■私の感想■
多分原作があるのだろう。いっぺんに詰め込もうとしているため、前半、コマ割りが細かすぎて見ていて落ち着かない。
リリーがギャンブルをしているシーンを、もっと退廃的な雰囲気のセットを使ってリアルに描いて欲しかった。GAの演技とセリフ(説明)だけに頼る面が多すぎて、「リリーがギャンブルですった借金で首が回らない状態になって最後には死ぬ」と言うキーとなるストーリー背景や、映画のタイトルにもなっている「Mirth」の部分に、いまいち説得力がかけてしまっている感じがした。
GAはすばらしかった。が、年齢的に少し違うかなと感じたのも事実だ。奔放でお嬢で世の中を甘く見ている世間知らずな、でも純な所のあるヒロイン、というイメージでは、もう少し実年齢の低い女優を当てて29歳に見立てた方が良かった気がした。でもそんな事思ったの最初だけだ。GAの演技に圧倒されて、んなことすぐに忘れさせられてしまった。(^^;
最初から最後まで、GAがやたら胸式呼吸をするのが不思議だった。普通、役者は複式である。それなのに、肩と胸を激しく上下させ、時に振るわせ話していた。。まるで高血圧か心臓病を持病に持つ巨漢のアメリカ人男性のように、ゼエゼエと息をしながら。スカの時はあんなじゃなのに、GAどっか病気なのかな??と思い続けて、ラストでその理由がわかった。あの呼吸はリリーが「生きている」象徴なのだ。彼女の喜び・悲しみ・絶望・孤独、それらの感情すべて、生きている事実を、あの胸式呼吸で現している。すべてがラストでつながる。ベッドで美しく横たわるリリーの美しさ。微動だにしない、呼吸をしていない、あの真っ白な死化粧が、生前のリリーのあの胸式呼吸と対比して、見事なコントラスト効果を出しているのだ。GA、あなたって、なんて人なの!リリーの「死」を、見ていた誰もが「実感」したと思う。あの印象的な呼吸がない。止まっている。死んでいるんだ、と。胸のブローチが動かない。襟のレースが揺れてない。息をしてないんだ!って。人が死ぬことの悲しみ、それが胸に伝わってくる。私は涙がこぼれて止まらなかった。
ローレンス、死んでから告白してどうする!「愛してるって言わないで」って言われたからか?言われたとおりにしてどーするんだぁ!どうしてGAの相手役キャラって、モルだのローレンスだの、煮え切らない甲斐性ナシばっかなの?
マイケル・J・フォックスに感じの似た、相手役エリちゃん。線が細すぎる。ドゲ役のパトちゃんもそうだが、GAは小柄だがかなり個性的な顔立ちの上、細い割には着太りして見えるため、エリちゃんもパトちゃんも、GAの隣に立って並んでいても貧弱で全然似合わない。DDぐらいの体躯を持った俳優じゃないとダメだね。
RTMを見たとき、モルには縁遠いやたらめったらな「笑顔」にあふれたロブの演技に苦笑したが、やはり所々モルが笑っている感じがした。だからManaさんの感想を読んだとき、「まさかスカを感じさせないったって、同じ顔した女優がやってるんだから多少は感じるシーンあるわよねぇ。全然ないって、そりゃ、ファンの欲目でしょ。」と思った。(ごめんね、Manaさん。信用しなくて。)ところが!まさかと思ったが・・・スカの面影など「微塵も」ないと断言しよう。Manaさんは正しかったのだ。それにしてもどーゆーこと、コレ?同じ顔した人間なのに、なんでスカの面影が無いのよ?すごいのはローレンスと言い合いするシーン。論争シーンはスカの十八番だ。絶対スカが出るだろうと思った。が、出ない。リリーが怒っているのだ。この辺は見ていただくのが一番だと思う。怒り方がスカじゃない、言い返す激しさがスカじゃない。そこには「リリー」しかいない。GA、あなた一体、何者??改めて思う。スカリーはジルではないのだ。GAがスカを「演じて」いるのだ、と。モルスカとの演じ分けについては、HOMの「時代コスチューム」というメリット、逆に言えばRTMはハンディを持ってはいるものの、差し引いてもお釣りが来ると私は約束する。周知の事実だが、GAの方が演技力は絶対上である。今まではDDの様な「華」が欠けていたかもしれない。しかし今回、彼女はそれをも克服した。彼女は単独で主演を張れる女優になったのだ!
原作を知らないので何とも言えないが、私はリリーの失敗は世の中を甘く見たことではないと思っている。彼女の失敗は、「自分が、愛している男性がいながら借金のために金持ちの男と結婚できるような女だと信じ込んでいたこと」だと思う。そこから全て計算のズレが出たのだろう。
彼女はいつ死を決めたのだろう?全ての道を絶たれた彼女の心のより所は、最後まで愛したローレンスでは無かったと私は思う。「睡眠薬」だ。それがあれば眠れる。眠っている間は恐怖も孤独も絶望も感じない。仕事を首になり、脅迫すらもタイミングを逃した彼女は、もう睡眠薬を買うお金すら底をついたに違いない。手元にある、最後の睡眠薬でずっと眠り続けること。それが彼女に遺された最後の安らぎだったのだと思う。死に逃げるとか、本質的には楽天的な彼女が考えていたとはあまり思えない。
劇場ではあまり泣かなかったが、時間が経つに連れて、GAの衝撃的なあの死顔の美しさ、動と静の対比によって生まれた死の重さが、私は耐えられなくて泣いた。GA、あなたって人は、なんて女優なの! 大好きよ、GA。文句無しにすばらしかったと思う。ここまで完璧に演じるまで、あなたはどれほどの月日、自分と闘ったのでしょうね? お疲れさま、GA。
嫌いなドゲスカだけど、あれほど頑張ったあなたがやっている仕事だもん。私も「つまんない」って文句ばっかたれてないで、XFのオンエアも頑張ってちゃんと見るわ。
●11/17/01 訂正●
DVDを買って日本の自宅でゆっくりとHOMを見た。そして劇場で見た私の意見は1つ覆った。 リリーちゃんは死ぬ気だったのだと。もう現実を生きることに疲れたのだと。 借金返済のためのMoney orderを入れた封筒に両方とも住所が書かれていなかった事に気づいたから。持金の底をついたあの時点のリリーちゃんが、電車賃や馬車賃を払って足で行くと考えていたとは、とても思えない。
●USA Weekend 3/24-26日号とRTM Sneak Previewの感想(RTMネタばれ注意)● 2000/3/25(土)の独り言より抜粋
行って来ました、RTMの試写会。アンケートなんてなかった。映画館の小さい方に入るだろう部屋で開始。2時間、もう笑いっぱなし。
4人で行くはずが、夫婦げんかをしたとかで2名が不参加。Sと二人きりで行くことに。 私の部屋に来た彼女、「USA Weekend、ゲットしたよ」と。私は思わず「愛してる?、S?!」と抱きついた。ということで、一日早くゲットしちゃいました。(と書いてから気がつく。これ、3/24-26発行ってなってる。つまり、24-26の間の夕刊を含めて入ってるって事。早くも何ともなかったワケであった。)
カラー表紙のDD。インタビューは「どうして今まで(こんなカンタンな事を)思いつかなかったのか?」という見出しで始まる。私が好きなのは、パパとしてのDD紹介記事"The Daddy Files"。パパになろうと必死に努力し、研鑽に励んでいるDDがスキ様のように愛おしい。残念なのは、インタビュー中の写真が一枚も掲載されて無いこと。音声ファイルがダウンロードできるサイトも紹介されています。(そのサイトでは、ウェブ読者からの質問にDDが答えたモノもあるとか。私は音声ファイルは、USA Weekendのゲット前にPeterpanさんから教えて頂いていたのでDLしていたのですが、質問のコーナーまで気が回らなかった。そういえば教えて頂いたサイトに書いてありましたねぇ・・・。プレビュー前でワクワクして細かく読んでなかった。)4/3にLAでプレミアがあるのですが、このプレミアパーティーへの読者ご招待プレゼントもあります。。西海岸在住のひと、いいなー。他10人に、映画のサントラ。そういえば、RTMのテーマソング、超ロマンティックだったよぉ。サントラも買っちゃおうかなぁ、なんて思いました。
ま、とりあえず部屋を出て、行きつけのレストランへ。が、ケイタイで車内から電話したら、5時半の時点で既に2時間待ち。8:15から開演とはいえ、Saturday nightだ。安全のため、7時には劇場に入っていたかったので、急遽別の店へ。ここはイタリアンじゃないのだが、カルボナーラが絶品。お値段もちょっち高め。お喋りを沢山して、一路映画館へ。Coming Soonと書かれたRTMのポスターがデカデカと貼られている。早速チケットを買う。$7.75。
いきなり工事現場を上空からのアングルで撮っていて、モルの頭上、続いて見上げるモルが見えて、出だしから気分最高!設計建築技師のDD、かっこいー!初めてグレースをデートに誘う時におしゃれする紺のセーター、すてきー。エリザベスを失った夜、泣く姿が痛々しい。でも色々DDの名セリフもあるんだけど、沢山ありすぎて覚えてない!グレースとボブが初めて会うレストランのシーン、笑いに溢れて一番好き。全体を通して、なかなか良い演技だったと思います。捨てぜりふを残してすぐいなくなる、RGのコピーと言われた「モルダー」の演技も陰を潜め、俳優としてようやく本物の「中級クラスのハリウッド俳優」になれた気がした。私はX-Phileなので番組はもちろん続いて欲しいけれど、私が彼なら、やはり「トップクラスのハリウッドスター」まであがるには、もうできるだけ早くXFをやめ、数多くの良い(映画)作品に出演して、色々な役を経験する必要があると思うだろう。DDの気持ちが初めて分かった気がする。スクリーンの中の彼を見て。「不法執刀」が頂けないシロモノだったため、どーも私の中で悪印象が強く、しかもXFのモルの演技も超下手な時があるため「XFをやめて映画人としてやっていけるのか?」とずいぶん不安に思ったけど、この作品でそんな不安も払拭された。今後、彼にもっとステップアップしてもらうには、やはりXFは足枷の様な気がする。彼だってもうすぐ40台に入る。30台で既にトップスターになっている連中を考えると、マイペースでやって欲しいとは言うモノの、決して早い時期ではない。XFはもっとみたい。DD/GAのモルスカが大好きだからみたい。でも・・・・。
かなりはしょってあらすじ紹介。 エリザベス(DDの前妻)とボブ(DD)は仲睦まじい夫婦。しかしアクシデントで妻は死に、彼女の心臓はグレースというイタリア系アメリカ人女性(M.Driver)に移植される。愛する妻を失ったボブは仕事場でも仲間にあたるわ、あれほど美しかった家の中はまるでモルのアパートメントと化す。心臓移植で命を救われた女性から礼状が届くが、忌々しく読むだけ。慰めになりはしない。いつまでも亡くなった妻をひきずるボブに友人のリチャードは女性との出会いを進める。友人の言うことなど耳もかさず一人落ち込むボブ。しかし愛犬がいつまでもドアから離れずエリザベスを待ち続ける姿を見て自分もこれじゃいかんと、とうとうリチャードの誘いに乗って待ち合わせのイタリアンレストランへ。が、果たせるかな、気分最悪な合コンとなり、ウソを言って合コンを抜け出す。しかしそこで出会ったグレース。初めてなのに、何故かお互い初めてではない気がする。ボブの家の犬も、何故かグレースに初対面でなつく。そしてエリザベス以外に手を合わせようとしなかったシドニー(ゴリラくん)も。ボブとグレースはやがて愛し合う様になるが、彼の書斎で見つけた「自分の手紙」。彼女は悟る。彼の愛した前妻の心臓が自分の体内で脈打っているのだと。グレースはそのことをボブに告げ、今夜旅立ち、別れると告げる。ボブも「帰る」と言って、何も言わずに去ってしまった。で、最後にはグレースを追いかけてイタリアへ。ハッピーエンド。最後のシーンは結婚式。主人公達のかと思いきや・・・? いやいや、最後まで笑えました。
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