Bryce5 による風景

Bryce5 について

2002.5.5
Ｗｅｂで何人かの作例を見て、これは凄い映像が作れると思った。
3D景観シミュレーション・ソフトという位置付けにあるが、
基本はレイトレーシング・レンダリング・ソフトである。
従って、メカニカルなものでも何でも作成可能であり、アニメーション機能もある。
レイトレーシングらしいプリミティブオブジェクトとポリゴンによる手続き型
オブジェクトで物体を表現する。
これに追加される形で景観シミュレーション用に、太陽、月といったものや、
雲、水面、地表などが特殊レイヤーとして定義されているような感じだ。
景観シミュレーション・ソフトとして特に優れている点は、地形エディターで
グレイスケール画像から生成する地形エディターで、グレイスケール画像を
独自のペイントソフトで地形らしいフォルムに仕上げて行く。
外部からグレイスケール画像をインポートすることも可能である。
作成した地形データは、任意のディテイル・レベルで他のＴＯＯＬへ
ポリゴンメッシュデータとしてエクスポート可能である。
このとき拡散色テクスチャ、バンプテクスチャも同時に出力される。
Ｂｒｙｃｅでは物体の質感を決める要素を、マテリアルと呼ぶ。
複数のテクスチャなどを組み合わせたコンポーネントによってマテリアルを定義する。
テクスチャは、マップ画像も使用出来るが、ノイズから生成するプロシージャル
タイプのテクスチャが強力であり、これで地層っぽい歪みの縞模様等を得ることが出来る。

自作の地形作成ソフト

2002.5.5
Ｂｒｙｃｅに与えるグレイスケールの地形データを簡単に作成出来ないかと思い
以下のようなソフトを作ってみた。
黒が平地、白が山岳領域という定義で２値画像を与えると、領域の輪郭情報を
もとに、山岳の尾根など標高情報をそれらしくグレースケールで自動生成するもの。

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これによって得られた地形を更にＢｒｙｃｅで加工して以下の様な画像が出来る。

数値地図からの景観作成

2002.5.5
2002.5.19
３Ｄ地図ナビゲータのカシミール３Ｄの風景ＣＧ作成機能として既に実現されていること
ではあるが、Ｂｒｙｃｅを使うともっとリアルなものや幻想的な表現が可能となるはずである。
国土地理院の数値地図５０ｍメッシュ（標高）のＣＤ−ＲＯＭを購入して、標高データを
Ｂｒｙｃｅに読み込めるグレイスケール画像に変換して、実際の地形をもとにした
景観画像を作成してみた。
作品は、故郷の愛媛県南予地方にある由良半島をテーマにした。
宇和海に面するリアス式海岸の特徴的な地形である。
こういった作品を作ってみたいと思った動機にもなっているが、私が母校の小学校に
入学した時、校舎の裏手に津島町の地図を元にして作った立体的な池があり
その海の部分で鯉が泳いでいたのを思い出す。
作成した画像は、昼間と、夕景が２つ。
尾根がワニの背中みたいになっていた部分があったが、これは地形生成用グレースケール画像の
解像度の設定がデフォルト128x128だったために、数値地図から起こした200ｘ200の解像度を
生かし切れていなかった様だ。解像度の設定が可能だということに気づき512x512に設定して
画像を更新した。細かく見ると同様の癖は出てしまう様だが５０ｍメッシュの数値地図から
この程度の画像が起こせることは分かった。
太陽は、現実にあり得ない位置に置いてある。
幻想的だが、存在感のあるものに仕上げたいと思って調整した。
夕景の配色は、自分が撮影した写真を参考にしながら決定した。

由良半島

由良半島の夕景１

由良半島の夕景２

ＴＯＯＬ固有の表現力が強力な場合、その画像を作ったソフトがバレてしまう。
別のＴＯＯＬなどでそれ以上の表現が出来る様になりたいものである。

月夜の砂漠

2002.5.7
アンリ・ルソーの「眠るジプシー女」という絵画がある。
この絵画は、月明かりに照らされたライオンとその獣に食べられてしまうのではないか、
という緊張感も重要だが、私にとっては背景の月夜独特の情感の方が印象に残った。
そのイメージを何か自分の作品で表現出来ないものかと思ってきたのだが、これを
Ｂｒｙｃｅで作れるのではないかとふと考えた。
既に写真では、以下のようなものを撮影しているが、冷んやりした月夜の青白い光線を
撮影しながら実体験として再び感じ取ることが出来た。

以下のＢｒｙｃｅによる作品は、ルソーの絵画になぞらえて印象を損なわない様に
創作した。遠景の山の形がいいかげんなのと位置が近すぎるので作り直したが、
かえって月明かりの逆光の印象が薄れてしまったので、結局最初に製作したものを選んだ。
なお、月の映像は後からフォトショップで加算合成した。

夜の砂漠