足首グラグラ問題

スケートリンクでよく見かける最もスケートが困難な初心者。
足首がグラグラしていたり、足首を曲げて刃を寝かせて靴底の縁が
氷についた状態で歩いている人。
こういう人は、無神経にもそれを何とも思わないらしい。
これでは少しも上達しないばかりか、転んだり、足首を捻挫する原因となる。
スケート靴も傷むのに、監視員が居るスケートリンクでも指導されない。
折角滑りに来たのにそういった状態で放置されているのは気の毒でならない。
とはいえ、なぜ足首がグラグラなのか、本当の原因を推測するのが難しく
私も随分その原因がよくわからなかった。(根が深い問題)
ここ何年か、そういった人を見かけると自分なりにアドバイスしたり、
どういう状況なのか聞いてみたりして、その原因がほぼ解明出来たと思う。

原因に関しては、靴が悪いという説、足首の筋力が弱いという説などが
比較的有力で、まず最初はその線でアドバイスして来た。
しかし、それだけでは説明出来ないケースがいくつも出て来た。
まず、貸し靴に関しては、多くの場合足首の支えが弱いのも確かだ。
とはいえ、靴の大きさが合っていて、しっかりとホックの部分のヒモを
絞めてやれば、貸し靴でも大丈夫なケースが多い。
(ということで、多くの場合、他人の靴ヒモ絞めに精を出している)
それでも足首の部分に水平にシワが寄ったりしていると足首の支えが
弱くなっているので不十分であったり、長時間滑って足首が疲れてくると
よれた貸し靴の支えだけでは不十分になる。
靴がヨレヨレだと靴の中で足が左右に偏ったり、靴を履く時に靴を
傾けた状態で履いてヒモを絞めると、これもエッジ(刃)が傾く原因になる。
自分の靴を買えば、この点は大抵解消されるのだけど、足首を傾ける
癖によって新品の靴をダメにしてしまう人もある。
足首の支えが十分なのに、どうしてもエッジが傾いてしまうという場合は、
貸し靴のエッジの取り付け位置が、足に合っていないということも
考えられるのでそれも疑ってみる必要がある。

次に、靴のコンディション以外の問題について考えてみよう。
確かに靴はそんなに悪くないのに足首を傾けてしまうケースがある。
これは、明らかに、わざと足首を曲げているのである。
とはいえ、初心者本人は、何も分らないので無意識にそれが安定する
と感じてそうしている訳だ。
よく床上で片足でバランスを取る時に、足首をグネグネしてバランスを
取ることがあるが、この癖を持つ人は、うまくアイス・スケートの
エッジに乗れないということだ。
また、インラインではない普通のローラースケートをやっていた人も
足首でバランスを取る癖がついていることが多い。
足首は、ほぼ真直ぐの状態に保たなければならない。
上級者は、足首の角度を変えて複雑なエッジワークをこなすが、
インサイド・エッジだけで滑る一般の初歩滑走では、足首は真直ぐで良い。
足首でバランスを取らないとしたら、果たしてどこでバランスを取るのか?
つれはつまり、肩や腰を左右に移動させてバランスを取るのである。
大抵の場合、これは無意識に行っているので、足首がグラグラする人は、
足首を真直ぐに固定して、きちんとエッジに乗れるように
訓練しなければならない。
ここ最近の指導では、多くの人は無意識にやっているとはいえ、意識的に
足首を自らの筋力で真直ぐに固定してバランスを取るのだと教えると、
意識的にそれを練習する様になり短期間でそれをマスターする人が多い。
意識的にコントロール出来ない人は、スケート靴を履いた状態で、
足首がグラグラしなくなまで、ゴム床歩行をすることを推奨する。
正しい「気をつけ」の姿勢のように、両足のかかとをつけ、爪先を開いて
氷上に立つことは、むやみに足首を曲げてエッジを傾けてしまうことを
防ぐ効果もある。

次に、片足だけ傾く場合について説明しておこう。
歩き方はみな自己流なので、ある意味合理的な歩き方をしていない人が
少なくない。そんな中で右か左のどちらか一方に重心が偏ることがある。
そうすると、片方はしっかりエッジを垂直にしているけれど
片方は寝かしてしまうということになる。
足首を固定せず、重心がエッジに乗り切らないまま体重をかけようとした結果だ。
これを直すには、エッジを傾けてしまう足を反対側の足に近付けて
エッジを垂直にして立たせること。足を開き過ぎているからエッジを
傾けてしまうとも言えるので、足を置く位置を近付けてエッジを
垂直にして立てる位置に構えて体重を乗せる様に指導する。
これによって体重を支えられることが分ると、悪い癖も取れる。
最も困った人は、両足がこの理屈で傾く人。
この場合、腕や肩を持って重心が片足のどちらかに乗り上げるように
持って行こうとしても、腰が両足の中央に逃げてしまう。
外力が加わると軟体動物の様に外力を受け流して元の重心位置を保ってしまう。
こういう人は、ピシッと筋力で関節を固定する習慣がないようだ。
この場合、指導するのが非常に難しい。
エッジに体重を乗り上げるのは非常に大切なことなのだが、多くの人は
前後バランスが取れなくて、エッジに体重をかけると前後に
ツルンと滑って恐いという経験をしているために無意識にそれを避ける。
縦滑りしない様にエッジを構えて、勇気を出して体重を乗り上げるように
しなければならない。

まとめ

・靴のサイズは合っているか
・靴ヒモ(特に足首)は緩まずしっかり締まっているか。
・エッジの取り付け位置は合っているか
・足首でバランスを取らないこと
・足首は、真直ぐに自分の筋力で固定すること。
・エッジに体重を正しく乗り上げているか

注釈

ここでのエッジとは、刃、ブレードの意味。
厳密には、底面と側面の境界の縁のことをエッジと呼ぶ。

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