コーヒー焙煎

Update 2005.11.19

煎りたての泡立ち

 

 煎りたての珈琲は、モコモコと泡立ちが違う。

珈琲とのつきあい

 私は、インスタントコーヒーで珈琲を知った。
 従って、ミルクと砂糖を沢山入れて飲むのが好きである。
 しかし、自分で珈琲焙煎するようになってブラックが好きになった。
 レギュラーコーヒーは、ミルクと砂糖を入れて飲む分には何でもいいと
 感じるのだが、市販のものでは、毎日ブラックで飲みたいとは思わなかったのだ。
 ここ数年は、自分で焙煎した珈琲を毎朝飲んでいる。
 空きっ腹に珈琲は良くないというのが常識だが、少なくとも自分で
 焙煎した珈琲は、唾液の分泌など内分泌系を活性化させてくれるので
 かえって胃に良く、朝から油ッこい料理なども平気だ。
 ただし、自分で焙煎したものでも、ハイローストなど深煎りのものは
 胃に負担となるようだ。
 いつも失敗なく煎れる訳ではないが、パーフェクトに焙煎できたときは
 落ち込むようなことがあっても、その味わいが自分を元気づけてくれる。
 単に美味しいのではない。精神的充足とリラックスが得られるのだ。
 高級ウーロン茶のように、タンニンに甘さがあって、スッキリした後味の後で
 唾液の分泌が持続する様なお茶として味わうコーヒー。
 また、コーヒーの持つ渋さを生かして、渋みを残したまま十分に芳香を引き出し
 濃厚なコクを持ったコーヒーは、初心者には抵抗があるかもしれないが、
 赤ワインのように、肉料理に合わせるとバランスが取れるくらいの風格がある。

珈琲焙煎を自分で行う理由

   単なるもの好きと言われればそれまで。
   どんなに自家焙煎がいいとはいえ、そこまで手間暇かける人は他にないだろう。
   主な動機としては以下の通り。

 1. 酸化した珈琲は体に悪い。市販品の珈琲豆は、特殊パックで
   賞味期限1年で設定してあるが、私の嗜好からして3ヶ月が限度だと感じる。
   1ヶ月くらいで味も変わってくる。
   沸騰したお湯を注いでモコモコと泡が出て膨らめば新鮮。
   泡がでないで湯が浸み込むだけだと古い。
   仮説だが、珈琲が胃を悪くするのは酸化による影響があると思う。
   酸化した油で揚げた天ぷらが体に悪いように、脂肪を多く含むコーヒーも同じ。
   1週間分を一度に焙煎して常に新鮮なものをということで自分で煎っている。
 2. 市販のコーヒーは、200℃から250℃の範囲でロット毎に
   適切な温度を設定して焙煎しているようだ。温度管理による定温焙煎。
   バラツキなく安定して大量生産するにはこの方法が適している。
   しかしこの方法では、珈琲は枯れてしまい、お茶のような味わいが
   失われてしまう様に思う。
   私の持論では、珈琲の味のバランスは、タンニンなどお茶の味わいを残しながら
   焙煎によって珈琲の持つ香を最大限に引き出すことにあると思う。
   一般のコーヒーの常識からすると知られていないことかもしれないが
   お茶のような味わいを生かした焙煎は、珈琲の新たな付加価値となるのでは?
 3. 注意深く豆の様子を見ながら微妙な焙煎をこなすのは、精神を
   研ぎ澄ますのにとてもいい。
   体調や気分が優れないときに煎った珈琲は、ほとんど失敗している。
   心身の健康管理のバロメーターですね。

一度珈琲を煎ってみたい人へ

 生豆を煎って、その変化を観察するのは楽しいものだ。
 焙煎しないと味わえない、何とも言えぬ焙煎途中のフルーツ香や、
 焙煎時に出てくる強い芳香は、格別なものがある。
 一番手軽なのは深めのフライパンを用いる方法だ。
 味は保証しないが、大豆を煎るときの様に煎ることができる。
 スプーンなどで絶えずかき回して一部分だけが焦げすぎないように注意する。
 生豆は、東急ハンズで売っているのを見たことがある。
 私は、浅草はカッパ橋道具街のある店で買っている。

珈琲の手網焙煎

 バブル経済の頃、小さな個人業者が珈琲豆を輸入して自家焙煎して売る商売が流行った。
 焙煎を始めた直接のきっかけは、そういう店で珈琲豆を入手したのが始まり。
 (ここでブルーマウンテンにも等級があることを知る)
 そういった店は、自動撹拌式のガス焙煎で、焙煎技術も高くなかった。
 お茶のような味わいが魅力的だったが、火の通りが悪く、水抜きが不十分で、
 粉臭いような青臭いような風味が残って好きになれなかった。
 自分で煎ると、そういう癖のある味は少なくとも消すことができた。
 現在、私はセラミックヒーターの電熱器と手網を使用して焙煎している。
 200g程度を20〜30分かけてゆっくり焙煎する。
 暑い夏より、寒い冬の方が温度管理が楽で煎りやすい。
 セラミックヒーター焙煎は、赤外線で過熱して、同時に空気で冷ます
 そのバランスでうまく内部まで熱を効率良く伝えられる様だ。
 鰻を炭火で焼く時にうちわで扇ぐのと同じことが言える。
 だから、夏には、上手く行かない。

これが、珈琲の生豆だ!

豆の個性

 ブラジル・サントス
  比較的水抜きが容易で、素人でも比較的失敗なく煎ることができる。
  焙煎途中で豆が膨らみ、シルバー・スキンが多量に剥がれる。
  やや深めに煎ると苦味が出て魅力的。スタンダードな味わいだ。

 コロンビア
  うまく煎れば、マイルドに仕上がる。
  一旦萎んで褐色になってから膨らむ。
  失敗しやすく渋みや酸味が強く出過ぎる傾向がある。

 マンデリン
  豆の質が悪く、ハンドピックで5%程度捨てている。
  水抜きの際に一旦萎んで褐色になるタイプだが特にこの豆は腐ったような色になる。
  焙煎後は、不思議と生のときのような質の悪さは目立たない。
  豆質が悪いとはいえ、なかなか高貴な味わいに仕上がるから不思議。

 キリマンジャロ
  爽やかな風味に仕上がる。
  コロンビアに似ているが若干煎りやすいと思う。

コーヒーのパッケージの進歩

 焙煎した珈琲は、炭酸ガスを放出するので完全密封すると袋が破裂する
 ことがあるらしく、最初は完全に密封できなかったらしい。
 これが、ある時期から特殊な弁を付けた袋が開発されて、内側のガスは
 外に排出されるが、外から空気が入らないようになった。
 これである程度の保存期間が可能になったわけだ。
 次いで、真空パックや不活性ガス(窒素や炭酸ガス)充填、脱酸素剤の使用
 などによって、更に保存性が向上し、挽いた状態でも長期保存が可能になった。

市販珈琲豆の開封後の扱い

 珈琲は、パッケージの開封後、徐々に酸化されて行く。
 豆のままなら、焙煎後または理想的な保存状態のものを開封してから
 ほぼ2週間は、大抵風味を損ねることなく飲めると思う。
 気を使うなら、冷蔵庫やフリーザーで保存すべきだろう。
 低温で保存することと、湿気を避けることがポイント。
 よく自家焙煎のコーヒー店で「真空パックにしますか?」と聞かれる。
 私もたまにそういう店の珈琲も飲んでみるか、と買うことがあるが
 買って帰ってすぐ開封するので、この場合真空パックは逆効果になると思い、
 普通に袋詰めしてもらっている。(まとめ買いなどで長期保存する場合はお願いする)
 開封したときに、豆の内部に新鮮な空気(酸素)が入り込むのを懸念してのことだ。
 まあ、そこまで神経質になることはないだろうが・・・


美味しくドリップするには

 今までの自分の経験だけでいうと、
 1. コーヒー豆をケチらないこと。
 2. 時間をかけること。
 お湯はゆっくり注いで、注いだお湯がほぼ抜けるくらいまで待って次を注ぐこと。
 洗濯で溜めすすぎを行うような感じ。
 お湯は、何も溶かしていない状態が最も抽出力が高いはず。
 ネル布によるドリップがペーパー・フィルターによるドリップよりも優れている
 理由は、お湯が抜けるのが速いので、美味しくない成分が溶け出す前に抜ける
 と言われているのだが、私は、お湯が抜けるのが速いことで溜め漱ぎ的に
 常に新しいお湯で有効に抽出できるため濃くコクのあるコーヒーが得られる
 のだと考えている。長時間浸すのが悪いのであれば、サイフォン式では美味しく
 できないと思うがそんなことはない。

お湯の注ぎ方

 縁に注ぐとお湯がコーヒー豆に触れないまま流れ落ちると考えている人は、
 そのためにコーヒーが薄くなるという理由で真ん中1点注ぎをやる。
 でも、一般的にはなるべく注ぎ口が細いポットで「の」の字とかS字とか描いて
 コーヒーの粉を切る様に一ケ所に偏らない注ぎ方をする。

蒸らす理由

 案外これが分からない。なぜ?
 ということで色々考えてみた。
 1. 蒸らすことで粉粒子の中央まで抽出されやすくなる。
 2. 新鮮なコーヒーはモコモコ泡が出てお湯を注いでもお湯に触れないため
   蒸らすことでそれを解消する。
 3. 蒸らす時間置くことでお湯が適度に冷めてコーヒーをいれるのに適した
   温度になっている。
 4. 蒸らすことで、細かい粉が膨らみペーパーフィルターの場合目詰まり
   しにくくなる結果美味しい抽出ができる。
 一般的には1のように考えられていると思う。
 だけど、抽出前半はどんな注ぎ方をしても濃い抽出が出来るわけで、
 抽出後半には、1の理由のような蒸らしは、抽出過程で行われているに等しい。
 お湯に浸さないで蒸らすことが重要だとも思えないし・・・
 で、3や4のような意図しない効果があるのではないかと考えたのです。

コーヒーの手編焙煎を始めてかれこれ20年

2011年6月16日
セラミックヒーター(電熱器)による手編焙煎に関して
現在、経験を元に言える事をまとめておく。
・失敗の原因(1)
 一度に多くの量を焙煎しない。
 手編焙煎の場合、加熱しながら冷ましているのに等しい。
 豆が多過ぎて4層くらい重なると、加熱されるのは一番下の
 1層だけで、一番上の層は冷ますだけ。
 手編を十分に振ってローテーションしても間に合わない。
 豆の量を多くした分火力を強くしても、表面が焦げてしまったりで
 なかなかうまく行かない。
・失敗の原因(2)
 意外に湿度が影響している。
 5月〜9月くらいは、湿度が高くて、加熱しても豆の水分がうまく抜けない。
 特に、コロンビアなど水洗系の豆の渋みが取れない。
 これは、飽和水蒸気量によるところが大きい。
 温度による飽和水蒸気量の変化はとても大きい。気温が低い場合飽和水蒸気量が
 小さいため暖めた空気が持つ水分量は、かなり小さくなるのだ。
・失敗の原因(3)
 自分の場合、深煎りコーヒーは、胃に負担となるので浅煎りを好む。
 その結果、焙煎不足になる傾向が強かった。
 最近、赤外線温度計で焙煎温度が計れるようになったので測定してみると
 210度を超えないと、味が締まらないことが分かった。
 香りは、160度くらいからフルーツ香が出て180度くらいには焙煎香が出る。
 200度から210度くらいがハゼが起きるような焙煎温度に当たる。
 210度くらいから230度で2回目のハゼが始まるのだが、
 この温度でしばらく保たないと、苦みとコクが不足して抜けた味になる。
 手編の場合、表面の色だけでは判断出来ない場合もある。
・実は渋い珈琲も魅力
 これは、今までにないタイプの珈琲。
 コロンビアのの水抜きをあまり行わないで焙煎したもの。
 赤ワインは、渋くても好まれている。
 赤ワインと同じシチュエーションで、肉料理や脂っこい料理の後に
 トロッとした口当たりの渋い珈琲を飲むと、なかなかいいものだ。
・火力調整
 本人は調整したつもりでも、火力の調整は、案外出来ない。
 それは、焙煎が自然な水分蒸発とともに進むからだ。
 火力が弱ければ、水分が抜けるのが遅く時間がかかるだけ。
 火力が強ければ、水分がぬけるのが早いが、表面が焦げないように
 ある程度押さえなければならない。
 手編焙煎で工夫するとしたら、最初弱火でじっくり水抜きして
 ある段階から強火にして、焙煎へとやりたいのだが、
 途中から火力を上げても焦げるだけなので、ほとんどの場合
 序盤と同じ火力で最後まで焙煎する事になる。
 豆の温度は、豆が持つ水分量が減る毎に徐々に上がって行く。
 180度〜200度の間で酸味の強さが決まるような気がする。
 また、この辺りで香りが出て来るのだ。
 焙煎の成功は、200度〜210度になったときの豆の水分量で決まるように思う。
・赤外線の浸透力
 赤外線は、浸透力が強くて内部まで加熱しやすいと言われるが、これは
 錯覚のような気がしてならない。
 浸透力は、暖める物自体の熱伝導率によるだろう。
 直火だと、加熱された空気の直接的な熱伝導で、内部に熱が伝わるより
 多くの熱量を一度に与えてしまい、焦がしてしまうが、赤外線だけだと
 加熱し過ぎず、内部への熱伝導に見合った緩やかな加熱になるだけだと思う。
 これは、IHクッキングヒーターなどを使っても思う事だ。
・オープンな加熱で水分が抜けやすい錯覚
 ある程度密閉した空間で豆を加熱しても、出て来た水蒸気がこもって
 水分が抜けにくくなる。
 手編焙煎は、常に蒸気を逃がしているので効率が良い。
 などと思ってしまうのだが、実はそうでもない。
 200度前後に加熱された空気は、まだ水蒸気は飽和していない事が多い。
 それよりも、手編焙煎で豆を冷ましてしまうことが大きなマイナスなのだ。
 以前から、薄々熱風式の焙煎の方がコーヒー焙煎に適していると
 感じていたが、この方式では、折角加熱した豆を冷ましてしまう要素がない。
 熱風式の場合、温度管理は熱風の温度を見るのであって、豆の温度を
 見るわけではない。そういう観点からも、安定した加熱が期待出来るように思う。
 常に新しい加熱した空気を送り込むので蒸気もこもらない。
・直火焙煎の長所
 直火は、加熱がダイレクトだから、香ばしさと言うべき焙煎香りを出しやすい。
 豆の個性も出しやすいのではないかと思う。
 手編焙煎も直火だが、ある程度閉鎖空間で焙煎しないと豆を冷ましてしまい
 良い結果が得られない。直火も「釜」で焙煎すべきだ。
 そういう意味では、フライパンの方が理想の焙煎に近くなるのではないかと
 思っている。
・家庭用電気オーブンを使った水抜き実験
 手編焙煎の前処理として、家庭用電気オーブンを使ってみた。
 使ったのは、オーブンレンジだが、天板に豆が一層になるように
 豆を敷いて、予熱無し170度の設定で20〜25分加熱する。
 豆は、水分が抜けて茶色になってくる。
 途中何回かドアを開けて蒸気を逃がす。
 その後手編に移してから、自然に焙煎してやる。
 この処理を行ったコーヒーは、UCCなどの市販コーヒー豆と同様に渋みが抜ける。
 また、1週間くらい経ってから味が極端に劣化する現象が起きない。
 浅煎りの豆の場合、1週間くらいで、変な風味が出て、酸味と渋みが
 強くなる事がある。これは、水抜き不足で、豆の芯に残っていた
 水分が出て来て味を悪くしているものと思われる。
 オーブン加熱では、釜加熱効果だろう。完全な水抜きが出来ている。
 しかし、この方法も大ざっぱなのであまり香りが出ない。
 香りをフルに出した焙煎の1/3から1/2の香りしか出てこなかった。

懐かしい伊藤園のコーヒー

2011年6月16日
その昔、伊藤園は、焙煎工場直送というようなコーヒーを売っていた。
規模は小さいが、素人焙煎ながら浅煎りでさわやかな味わいだった。
このコーヒーも1週間程で劣化していたが、新しい物を買う事が出来たので
自家焙煎しながらも時々買っていた。(この場合の劣化は酸化とは違う)
お茶屋の売るコーヒーとして、何を求めているか分かったような気がする。
しかし、万人向けにはならないのだ。
数年前に、Tullys と提携した時は、何で Starbucks と同様の
深煎りでアイリッシュコーヒーみたいにフレーバーを加えて飲むのが
主流なコーヒーを売っている会社と組んだのか、などと思ったが、
すでにペットボトル茶の販売機網を持つ伊藤園としては、焙煎技術を
持った会社と組んで利益を上げるのは当然。
また、Tullys は、アメリカの会社であり、アメリカンコーヒーというのは
そもそも単に薄いのではなく、浅煎りだから薄いということで、
アメリカンコーヒーの歴史を持つ会社であれば、まんざらお茶屋さんと
組んでもおかしくないのかも、などと思ったり。
で、伊藤園のライバルは、自販機ベースでは、UCC、キリン、コカコーラ
などがあるけど比較的新参者のJTが光る。自社技術でやっているようだ。
「インパクト焙煎」などと銘打っている。
日本のコーヒー焙煎で興味深かったのが、京都のイノダ珈琲。
直火にこだわりがあるようだが、水抜きに関して注意を払っている事が分かる。
テレビなどで紹介される珈琲焙煎も、釜から豆を検査用スプーンで
取り出して色を見るというのが紹介されているが、これが基本でしょう。
恐らく、この色が豆の最終温度を決めている。
お茶の味わいを持つ和の珈琲は、出来ないか、というテーマに関して、
今のところの私の見解は、珈琲の本筋から外れた物になるような気がする。
味の劣化を起こさない前提で、香り高く味も良い珈琲を求めると
やや深煎りにする必要があるように思う。
特定の豆や条件で、限定的に実現する事は可能かもしれない。
水抜きを効率よく行い芯まで火を通すことが課題だ。

コーヒードリップに関する方法論とおいしくなる理由

2016年5月14日
こうするとコーヒーが美味しくドリップできるという方法には、
もっともらしい理由が添えられているが、あくまでも感覚的なもので
ほとんど錯覚でそう言っているだけで。科学的根拠は疑わしい。
しかし、自分の経験からすると言われている事は、みな良い結果を出している。
【蒸らし】
コーヒー豆を少量のお湯で蒸らすと美味しくなる?
蒸らしというのは、少し違う気がする。
一つは、焙煎したての豆は泡立ちが激しいので、一度お湯を注いで
炭酸ガスを逃がすと落ち着いてお湯を浸透させられる。
蒸らしと言われる方法がコーヒーを美味しくするとすれば、
それはその間、お湯が冷めるためで、
蒸らしをすると、丁度沸騰したお湯が80度くらいになる時間待つことになる。
蒸らした後、お湯が冷めるので再沸騰させよと書いた記事を見た事がない。
結局、緑茶と同じでお湯の温度が大切。
【中央一点注入】
これはさほど美味しさに関わっていない気がする。
これは、ペーパードリップ固有の問題。
自分では、ネルドリップならのの字に回し入れの方が良いと思っている。
ペーパーフィルターは、目詰まりしやすく、これにより抽出時間が伸びると
まずくなるという感じがするので、目詰まりしにくいようにお湯を
静かに注ぐというのが理由だろう。
1点に注いで、新鮮なお湯が周囲の豆に届くか不安だが、
この方法でも、はけるのを待ってから、全体が浸るまで注げば
十分抽出出来ているように思う。
【雑味が出ないように粗挽きにする】
まず、雑味の正体なのだが、これはコクの要素にもなる渋みだ。
ドリッパーの人は、このことにまず気付いていなくて、
細かく挽くと出やすく、荒く挽くと出にくい
という経験則からそう言っている。
荒く挽く事で、コーヒーの抽出成分が変わるか考えてみたのだが
荒く挽くことで特定の成分が出にくくなるのは考えにくい。
考えられるのは、荒く挽く事で渋みの抽出濃度が下がる。
つまり、渋みの成分は、薄ければコクとして感じられるが、
一定以上の濃度になったら、雑味として感じられるようになる。
だから、その濃度が濃くならないようにギリギリまで荒くしておく。
豆によっては、渋み成分をあまり持たないものもあるので、
粗挽きがほぼ無意味(かえって無駄)な行為になる場合もある。
また、渋み成分は、お湯の温度で抽出量をコントロール出来るので
粗挽きにするより、お湯の温度でコントロールしたい。
ちなみに、この結論に至ったのは、かなり粗挽きで売られていた
コーヒー豆があって、それをドリップしたり、粗すぎるので
自分で細かく挽き直して比較したことによる。
結局、雑味とは苦みと渋みがある濃度以上で重なったとき
感じられる不快感だと思う。

電気熱風焙煎機 Gene Cafe の購入

2021年4月11日
10万円以下で、良い焙煎機が出てこないか待ち望んでした。
熱風式は、ガスのものが多いのだが、電気式が出たので待望の購入。
1回200gだが、個人用としては十分。
電熱器の手網焙煎のときは直火で、遠赤外線の浸透力を期待したが、
今では浸透力は間違ったイメージだということを確信している。
表面が黒い物体の場合、赤外線は表面で吸収されてしまうのだ。
では、なぜこのようなイメージが生じるかというと、予熱でヒーター以外の
部分も暖まって保温効果があるのと、ヒーターが豆に届く空気を暖め、
熱伝導での加熱がされ易くなるためだと考えられる。
ヒーターの温度が高い=強い赤外線は、実は豆全体を暖める熱量を持たず、
表面だけ加熱するように働く。大事なのは、温度より熱量の方だ。
直火式で、遠火の強火が良いのは、赤外線による加熱よりもヒーターが
暖めた空気による加熱の比率が上がるからだとう。
豆の芯まで火を通し、水を抜かないと、渋みが強く出たり後味が悪くなる。
直火だと、火力が弱いと芯まで熱が伝わらないし、強すぎると表面に
火が通り過ぎ焦げたり煎りムラの原因になる。
ピンポイントに火力を調整しても結局芯まで火が通らない結果になる場合が多い。
一方、熱風式なら、熱風の温度を上限温度として設定して加熱するので、
表面が加熱され過ぎず、待てば芯の方までその温度で加熱出来る。

さて、手網焙煎での知識を元に考えると、自分が望むコーヒーらしい
香りを出す為には、230度〜240度まで温度を上げる必要がある。
水洗タイプのコロンビアの豆では、芯まで水が抜けるのに20分くらいかかる。
ということで、概算230度20分くらいを、とりあえずの基本設定とした。
この設定でほぼ中煎り目標でピッタリだった。煎りムラもなく安定している
ハゼは弱いが、水が抜けて豆は十分に膨らんでいる。
ゆっくり豆が膨らむからハゼが弱いのだ。
ただ、この焙煎器で焙煎した豆は、見かけより浅煎りな感じがする。
設定温度240度にしてイタリアンローストもやってみたが、
大抵深煎りにすると、カフェインの作用なのか胃に抵抗感が出て
多く飲めなくなるが、それがない。

この焙煎機の欠点は、冷却が弱いところだ。
タイマーが働いて冷却になっても焙煎が進んでしまう。
そこで、手動で停止させて外に出してから冷却するようにしている。
焙煎度合いをコントロールするには、それしかないだろう。

購入して使いはじめたのは、冬だったので今の設定が適切なら、
夏には温度が上がり易くなるので、焙煎時間が短くなるだろう。
しかし、水抜きには一定の時間がかかる為、低い温度に設定して
焙煎時間を延ばす必要があると思う。
初期設定温度を180度くらいにして15分くらいで加熱してから、
設定温度を240度に上げて焙煎するといった調整をして行く予定。
水抜きを何度で行うと、酸味が出るとか、そういったデータも取れると思う。

珈琲焙煎技術に関する参考文献

柴田書店 「コーヒー 自家焙煎技術講座」 田口護・柄沢和雄 共著
ISBN4-388-05573-5 C3077 P2880E

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