ある皮膚病についてのレポート

2001年4月23日
追記2002年4月24日

はじめに

1990年頃、私はある皮膚病に感染した。
何度かほぼ完治したものの、恐らく外部からの感染が繰り返され、現在も患っている。
これは、顔を中心に症状が現れるもので、多くの場合はニキビと似たような
症状を起こすが、症状は体質や栄養状態、季節などにより変化する。
未だ私は独身であるが、妻や娘が居たとすると移してしまうのではないかと
心配である。特にニキビ痕と似た、それよりも汚い傷痕を残す可能性が強く
男の自分はまだいいものの、仮に娘が居たと考えると気が気ではないだろう。
最初に感染した当初は、当然皮膚科の病院にも行ったが、病名も告げられず
場当たり手的な対処をされた。病院も信頼出来るところに変えてみたが
やはりそこでも病名は告げられず、思ったように治療は進まなかった。
親戚など知人に聞いても誰一人とそれがどういう病気なのかを知る人も居なかった。
それ以来10年、皮膚科の病院にも行っていないが、民間療法や薬草など特殊な
成分を持つ食物を試したりして治療方法を模索して来た。
私のWebページにワインのページがあるのも、この皮膚病がきっかけとなっている。
私はあるとき傷口から決まった形状のものが出てくることに気付き、それが何か
確かめるのを主目的に30万円程かけて実体顕微鏡を購入し、時間をかけて
調べてきた。ただし、専門的な設備、知識も不足しており、未だ確定的な結論を
出すまでには至っていないが、同様の皮膚病に苦しむ人の治療へのヒントになれば
と思って中間報告的な形でこのレポートをWeb上に掲載する。

皮膚病と社会

顔に皮膚病を持つ場合、やはり他人に不愉快な思いをさせるものである。
良心的な人たちは、病気だからと受け入れてくれるものの、飲食店など
客商売の店は客の入りに影響するので敬遠しがちだ。
また、直接傷に触れる可能性がある理髪店、歯科医などについても、
感染を心配するはずである。
患者本人にとっては、「治るか」が最も大きな問題であり、未知の
病気の場合エイズなど命に関わる病気ではないかと心配するものである。
社会的には、「移る」のではないかということが大きな問題になるだろう。
皮膚病というものは、場合によっては差別につながったりするものである。
また、病気というのは、周囲が本当に心配してアドバイスする場合はいいが、
目障りだというのが原因で「病院に行け」と言うとお互いに気まずい思いを
することになるだろう。
この点、誰でもそういった病気についての正しい知識を持っており、
顔を合わす人の顔色を見て健康状態を気づかうように、こういった
皮膚病についても「もし良かったら、いい病院を紹介してあげようか」と
いったアドバイスができるような社会であって欲しいと思う。
こういった皮膚病でもやはり早期発見、早期治療は大切なことだと思う。
余談になるが、インターネットは、そういった誰もが知るべき情報が公開され
社会を豊かにして行くものであって欲しいと私は思う。
しかし、その皮膚病が治らないか、もしくは治療がとても困難なものであれば
病院で治療を受けることを勧めるのも難しく、社会的にそういう病気を黙認
するしかないという状況になるのも確かである。
電車の中などを見回してもこの皮膚病に感染しているのではないかと見受け
られる人は案外多い。集団感染ではないがある意味蔓延していると思う。
私としては、この皮膚病は出来れば撲滅したいと思っているのだが、
そのためにはその最初の一歩として、多くの人がこの皮膚病の存在を知り、
正しく認識する必要があると思う。

皮膚科医の診断

最初に診断を受けた病院での診察は、皮膚科医にとってみれば常識的な
ことだったのかもしれないが、幾つかの疑問が残る。
私は、この皮膚病の痒みと、カサブタが出来ると剥がしてしまう癖から、
症状を悪化させたり出血するような傷にしてしまっていたが、その皮膚科医は
まずその傷を塞がなければ、と思ったようで、病院が出した薬は、
ステロイドの飲み薬、痒み止めのための抗ヒステミン剤、表皮細胞の
増殖を助け表皮を整えるビタミンC1000mg、外用剤としてステロイド
軟膏だった。その頃は、病院と調剤薬局が別れておらず、薬については
「医者からもらった薬が分かる本」などで調べた。
当時はまだ、アトピー性皮膚炎やステロイド剤のリバウンドについても
あまり騒がれていなかったが、私の場合はステロイドの飲み薬を飲んだ途端に
免疫力が低下した自覚症状があり、その直後、普段ひかない風邪をひいたため
この治療を中止した。
この頃から、私は皮膚科医をある意味信用出来なくなった。
また、ある医者の卵からこんなことを聞いたことがある。
「皮膚科は、簡単だよ。ステロイドさえあれば何でも治せるのだから」
医者を目指す学生がこんなことを言っているのはある意味ゾッとする。
また、医者の治療方針は、
「病名は今のところ分からない、しばらくこの薬を試して治らなかったら
 薬を変えましょう」
といった場当たり的なもので、原因を突き止めようとしていない態度には
腹が立った。そういう治療なら素人でも出来るではないかと。
また、医者がこういう態度では、既知の病気に対しては対応出来るかも
しれないが、新種の病気が出て来たら恐らく対応出来ないだろうと思った。
皮膚科医のプライド、多くの患者を捌かなければならない忙しさみたいなものが
十分な診察を妨げているように思った。

類似する病気など

見た目にニキビと似たような症状を示すことが多いが、ニキビは、皮膚の内部に
脂肪球みたいなものが出来てそれが外部に押し出されることによって
炎症を起こすので、ニキビは比較的綺麗な円形の隆起になるが、私が調べている
ものは比較的不定形な隆起になる。
その皮膚病ができる場所は、顔を中心に比較的皮膚が柔らかいところで、
腕、胸や背中、腿などにもできると治りにくい。
ただ顔でも、目の周囲には出来にくい。
最初は、セキセイインコなどがかかる「疥癬」に似ているのでそれを疑ったのだが、
疥癬が出来易いとされる指の付け根には一切出来ないしヒゼンダニのようなものは
長期に渡って調べたが確認出来なかった。また、これに類するものとして、
「ニキビダニ」などがあるが、これは顔を主な住処にするものの実体顕微鏡で確認した
限りにおいて、確認出来なかった。
ある本によればこのニキビダニは大人の半数くらいには寄生していて普段は害を
成さないというようなことが書いてあったが、信憑性に欠ける記述だと思った。
「ニキビダニ」は「顔ダニ」などと呼ばれ一部では、その存在が噂されているが
恐らく誰も正確なところまで調べてはいないだろう。

私の見解

恐らく、あまり知られていない寄生生物だろうと思う。
ウイルスではないかという見方もあるが、傷口から取り出されたものが
その正体だろうと推測している。
これはダニではない。手足がついている様子もなく線虫のように動くこともない。
しかし、皮膚を侵食する物質を分泌してそれによって広がって行くようだ。
今年は、少し活発になる時期が遅いが最も活発になるのは普通の年なら
春、桜が咲く頃だ。その後一度沈静化して夏の盛りに少し活発になり、
秋には活動が鈍って肌寒くなる11月頃からまた活発になり2月頃には
またおとなしくなるというように、温度変化で活動時期が決まっている様だ。
活発な時期は、皮膚内部にチクッと痛痒い刺激が走り傷も広がる。
2次的な感染(他の場所への転移)は、清潔にしている限り起きにくく、
患部が触れた枕カバーなどに直接触れることによっての感染は起きるが、
通常、疥癬よりも感染する可能性は低いだろう。
2次的な感染の場合には、そんなに皮膚の深い部分に到達することはなく
外部からの1次的な感染によってのみ皮膚の深い部分に到達して大きな
症状を起こすようである。
不思議なのは、1次的な感染と2次的な感染にそのような差があることだ。
通常の病気であればそのようなことはないはずのなだが、1次的な感染の
場合は明らかに病原体が活性化されている。
この不自然さから私は、これが人工的に作られた生物か、一時感染の時のみ
非常に活性化されたものであるかのような印象を受けた。

傷口から出てくるもの

これがこの皮膚病の特徴でもある。
最初に見たのは、かさぶたを剥がした時だった。
かさぶたにくっついてバッタやコオロギの卵みたいな形状の乳白色の
ものが出て来たのだ。



上部はかさぶたと癒着していてそこから生えて来たかのようだ。
最初は、毛根組織とか皮膚組織の一部ではないかと考えたが、
多くの場合、炎症はそれが皮膚に埋もれていることによって起きており
異物が皮膚内にあるときのような圧迫感がある。
傷を掘り起こして、その卵のようなものをピンセットで抜くことに
成功すると傷が自然に治る。
症状が酷い時、硫黄剤(硫化カリウム)を使用したら傷口から
ボロボロとこの卵状のものが出て来た。
などのことから、私は皮下組織とは別の異物だと判断した。
若干の形状の違いはあるものの、実体顕微鏡で見た時の形状は、
常に似たような形をしている。

病原体と思われるものり実体顕微鏡写真

一般的な皮膚病と症状と治療

同じ病気でも、恐らく症状が違って出ることは少なくないと思う。
免疫力、アレルギー、その他の体質、そのときの栄養状態などで
大きく変わってくると思う。
とりわけ、免疫がある人と初めてその皮膚病にかかる人とでは、
症状にも大きな差がある。
皮膚病は、栄養状態などとの関係で治り易さにバイオリズムみたいな
周期があって、同じ薬をつけてもそのサイクルと合わないと薬が
効いたように見えないこともあり、薬をつけなくても表皮が増殖し易い
時期にある時はちょっとしたことで傷が治りかけたように見えたりもする。
この10年間色々なものを試す中、その短期的な症状の変化に何度も
惑わされて来た。
皮膚病の治療に根気が必要なのは、皮膚の増殖サイクルというものが
あるのも一因だろう。

この皮膚病の定常的症状

感染してから過渡的な状態を過ぎると、大体以下のような症状になる。
定常的な状態での症状は、季節的な時期によって異なるが、
どの場合も病原体とおぼしきものが傷の中に存在する。
1. 湿疹状で傷口が塞がっているようないないような、時として
  カサブタに被われるが内部は完全に治らない状態。
  この場合、外から見て病原体らしきものは確認出来ないが
  傷口を掘り起こせば深い位置に見つかる。
2. 傷口の患部と健康な部分とが明確に区別出来、傷は塞がって
  いないが、表面に粟粒状のものが見える状態。
3. 表面は塞がっているが、傷を押すと圧迫感と若干の痛みがあり
  内部に潜伏して表皮だけが形成されている状態で炎症は消えない。
この皮膚病の場合、運が良ければ、ステロイド剤を使って表皮細胞を
増殖させることで病原体を皮膚外に追い出すことができると思うが、
病巣が深ければ真皮と表皮の間に病原体を残したまま表皮が塞がり
表面的には治っているように見えて実はその下で増殖して、時折り
傷が外部に出て出血したり、そのまま治って皮膚が陥没したりという
形で幾つかのタイプの特有の傷痕が残ることになる。
私の場合は、ステロイドを使わないため傷が塞って潜伏するより、
塞がらないで湿疹状になりカサブタに被われる症状になる。



この皮膚病の1次感染の過渡的症状

軽い場合は、とても小さなポツッとした虫刺され傷みたいなものが
出来たり、何ともなさそうな皮膚に浅い小さな傷が出来て出血する
というような感じで始まる。
重い場合は、下図のように虫刺されのような深い傷が出来て、
毛穴から透明な体液(リンパ液)がにじみ出て来て、それが周囲の
表皮をも侵してしまう。その体液は潰瘍を起こした毒素を含んでいるのだ。
この場合、1ヶ月後くらいに傷を掘り起こすと、潰瘍が起きた中心部の
深い位置に、比較的大きめの例の病原体らしきものを見つけることが出来、
それを取り出すと傷が塞がるということを何度か経験した。
潰瘍を伴う場合は、重いヤケドの処置に使われるフィブリノリジン
を主剤とするエレース軟膏を使用すると潰瘍については治り易い。



この皮膚病の2次感染の症状

毛穴やちょっとした傷口から入り込むような形で、潰瘍などを
伴わないまま、定常的な症状に移行する。

硫黄剤の使用に関して

硫化カリウムや粉末の硫黄含む薬剤は、一見効果があるように見えるが
病原体を刺激して、それが体外にばらまかれる結果となり、2次感染を
起こす危険が増すようである。

有効な外用剤について

外用剤でほぼ確実に効果が期待出来るのは、ドクダミの生葉だ。
慣れないと吐き気がするような臭い臭いのため、とてもつける気に
ならないが、どうしても試したかったのでこの葉をすりつぶして
傷口につけていたら症状が改善されて行った。
劇的な効果はないが、手堅い方法である。
ドクダミの葉を干して煎じて飲み薬として飲んでも、異物を皮膚の
外に追い出そうとする作用がある働くが、生葉の汁にはそれに加えて
症状を改善する別の作用がある。
ドクダミの葉は、3月下旬から11月頃まで辺りに生えているものを
採取可能だ。冬は、葉をそのまま冷凍保存しておければ解凍して使える。
葉の汁を簡単に得るには、一度氷らせて解凍してからガーゼに包んで
絞ると容易に得ることができる。もちろん氷らせず葉を揉んでも良い。



体質改善、食事療法など

以下の食物を食べると、中途半端に塞がった傷が出血したり、皮膚の外に
追い出されるような感じになる。
濃い緑茶、マイタケ、ヨモギ、渋みの強い赤ワイン
これは、一見症状が悪化したように見えるが、免疫作用が病原体を
攻撃するために出血などを起こすと私は解釈している。
現に、その出血をきっかけに慢性的な湿疹が回復に向かうことが多い。

免疫力を高める秘けつ

免疫機構のうち白血球など食細胞を活発にさせるとこの皮膚病も治り易い。
それらを活性化するには
1. ビタミンB群を取る。
2. 濃いスープや肉類でタンパク質、アミノ酸を取る。
3. ポリフェノールなど還元性のある食品を取る。
4. 適度に塩分を取る。
といったことである。

その他の要因で治ること

治療とは関係ない要因で、この皮膚病が治ったり、少し良くなったりする
ケースがある。
一つは、酒を飲んでアルコールの代謝物が皮膚から分泌されたときで、
それが病原体に作用して殺してしまうようである。これは比較的効果が大きい。
もう一つは、インフルエンザなどをひいたときで、免疫力が上がって
それによって一緒に治ってしまうようである。

その他資料

典型的な症例(顔)
粟粒状のもの(額)
腕の内側に出来た症例
傷痕(顔)

2002年4月24日追記

2001年の誕生日に、園芸店で買い物をしていたとき、ダニに対する殺虫剤の
広告が出ていたのでふと見ると、ある農薬に目がとまった。
三共の「コロマイト」という農薬で天然物の殺ダニ剤と書かれていた。
以前、家畜やペットの疥癬を治療するのに「イベルメクチン」という薬剤を使う
ということを聞いたことがあったが、この農薬は似た名前で「ミルベメクチン」
という薬剤が有効成分だと書いてあった。
ちなみに現在最も広く使われているピレスロイド系の殺虫剤も除虫菊から抽出
された天然物質である。
葉ダニに特に効果があるらしく卵、幼虫、成虫のいずれのステージにも高い
効果が期待出来るとある。
名前だけで「イベルメクチン」と同様の薬剤だと判断するのは危険だが、
少なくとも農薬として散布する際の注意書きもそれほど厳重ではなく、散布後の
分解も早いということなので、皮膚に塗付する程度なら試してみたいと思った。
ただし、溶剤としてシクロヘキサンを使用しているのでシンナー臭が強い。
薬剤は1%溶液だが、これに50%のエタノールを加えて使用した。
魚など水産生物に対しては強い毒性があるということだ。
エラ呼吸など液体から酸素を得る働きを阻害する働きがあるのだろう。
疥癬虫など、皮膚に潜り込んで血液から酸素を得る場合もエラ呼吸と同様だと
考えるとこの働きだけを阻害する薬剤を使えば、人体にダメージを与えず
疥癬が治せるということだ。
試すと簡単に言っても、それは未知の薬剤である意味命がけだ。
本来なら、臨床試験を経て医薬品として認可されるまで何年もかけて安心して
使えるものになるのだから。
しかし、自分の持つ知識でその危険と皮膚病を治したいと思う気持ちを天秤に
かけると、試してみる方に軍配が上がったのだ。

[結果]
この薬剤を皮膚に塗付して気分が悪くなったことはなく、自分の体質で短期的に
使用するには、特に問題はなかった。かといって、同様の病気に悩む人にこれを
勧めるというわけには行かないだろう。(命がけで試したい人はどうぞ)
古い深い傷に対しては、薬剤が届かないのか、劇的な効果はなかったが、長期
的に見ると確かな効果があったと思う。
特に、新しく出来た傷に対してはほぼ100%効いて、今までなら潰瘍になって
傷がなかなか塞がらなかったものがすぐに塞がってくれた。

こういった薬剤が医薬品として安く、もっと使い易い形で販売されることを強く
望みます。

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