囲碁の大宇宙

はじめに

 私は、囲碁のプログラムを組もうと考えている。
 従来の方法ではなく、別のアプローチの方法があるのではないかと。
 ただ、確証があるわけではない。
 ともかく、プログラムは、目的の題材を理解しなければ組めないので
 アルゴリズムを探るために、碁の勉強。
 ほとんど20年計画くらいの気が長くあてのない目論み。
 その歩みの中で調べ、副産物として考えて来たことをここに記す。

囲碁は簡単か?

 よく、囲碁は簡単だと主張する囲碁愛好家が居るが私は難しいと思う。
 その理由として、ルールは簡単というが、
 コンピュータは、0と1だけで動いているから簡単だという屁理屈と同じで
 コンピュータも難しく、囲碁も難しい。

 コンピュータの世界には、微生物の繁殖を模したライフゲームというのがある。
 簡単な規則によるパターン変化を鑑賞するソフトなのだが、そのなかで
 パターン変化しながら移動するグライダーというものが存在したり、
 グライダーを発生させるグライダー銃、グライダーどうしをある位置関係で
 衝突させると消滅することが出来るなど、パターンそのものが別次元の意味を
 持ち、別の法則で動いている様に見える。
 正に大宇宙を連想するくらいに奥深いのである。
 ライフゲームが2値で表現されるのに対して囲碁は3値なので更に深いかも知れない。

 囲碁が実際に何に似ているかを一言でいうと、語学に近い。
 日本語や英語を習得するのにとても良く似ている。
 それくらいに囲碁は覚えることが多いゲームである。
 単語を覚えて熟語を作って文章を組み立てるような。
 同じ単語にも活用形があって、他の語を修飾してみたり・・・
 また、実戦で打って行くことは、頭で考えて打っていては間に合わず、
 日常英会話をする時の様にフィーリングで適切な言葉が出て来るまで
 レッスンを積んで自分のものにするようなトレーニングを必要とする。
 そんなものが、一朝一夕で覚えられるはずがない。

 囲碁のタイトル戦に出るような人は、ある意味化け物なのであって、
 芸事として見るなら、珠算日本一と似たようなレベルの能力が必要だ。
 特に盤面の記憶能力に関して優れていなければ強くなれない。

初心者が囲碁を楽しめる理由

 戦況判断が出来なくても大まかには判断が可能。
 まぐれで勝てることも多い。
 置き石のハンディーがとても合理的で確実。
 ある意味、言葉と同じなので、ハンディーをつけながらカタコトのレベルで
 打ちながら上達出来るし、強い人の真似をしていると強くなって行く。
 強い人もミスをする。

囲碁の文化的意味

 結論から言うと、能などの伝統芸に匹敵する文化的価値、
 日本の国技とするだけのものがあると私は考える。

 勝負事に英語を習得するくらいの時間と労力を割くというのは・・・
 と歴史的には「全くの無駄だ」と言われていた時代が長いが、
 ちゃんとした碁が打てることは尊敬に値する。
 きちんと盤面を見て管理して、間違い易い多くの要素を間違いなく
 確実に打って行くということだから。
 特に、○歳でこれだけの碁が打てるとは、と大人が賞賛することが
 あるというのは実にそういった側面を象徴している。
 特に日常子供は、分かっていても、つい安易に間違いを犯してしまう
 といったことをやるが、大人が囲碁を習うと同じことが起きるのだ。

 一般に、囲碁は人生の縮図だと言われる。
 大物政治家や経営者に囲碁愛好者が多いのも、囲碁を通じて学んだことが
 教訓として人生そのものにそのまま当てはまるからだろう。
 大局を見て行動しなければならないとか、きちんと足場を固める重要性、
 2兎を追うものは1兎を得ず、欲をかくと痛い目にあう、
 1ヶ所に固執してはいけないなど・・・
 様々な教訓が碁の中で体験出来る。

 特に、展開が論理推論出来ない囲碁の性格は、コンピュータ上で
 プログラムなどを書いたりするのが主な仕事である私にとっての苦手分野とも言える。
 例えば、女性とデートをする場合に、経験の浅い青年は、あれこれ予定を
 立てて自分では完璧な予定を立てたつもりで望むが、予期しない状況や
 小さなアクシデントに見舞われその計画はズタズタにされてしまう。
 慣れた人は、混雑や天候などのことも考慮して代替え案を用意していて
 楽しめるものを楽しもうという態度で望む。
 これと同様に囲碁は、計画が立たないものなのである。

読みの能力

 読みの能力=盤面の記憶能力と言って良いだろう。
 特に我流で強くなるためには、読みの能力は必須。
 一度失敗したことを二度と繰り返さないためにも、形は似ているが
 状況は全く異なるという局面を区別するためにも。
 「定石を覚えて忘れろ」とか「答えを見ても良いから次に見た時一目で分かる様に」
 と言われる様にそれは形に関係した暗記に近い要素を基礎としている様である。
 優れた打ち手の残した棋譜を並べて流れを掴むのも同様。
 読みの力は、数手振り返ることで養うことが出来るように思う。
 失敗したと思ったらその原因となる手まで戻って、その形になった時に
 こう打たない様にしよう、と肝に命じることだ。
 恐らく、囲碁の勝負は、最後は読みの能力に帰結する。
 その他の要素は、その読む労力を減らす手助けをしていると考えても良いだろう。
 ただし、形で覚えなければ読みも深くはならないし表裏一体とも言える。

囲碁の進め方

 囲碁打ちは、何を考えながら碁を打っているか?
 どこに真っ先に目が行くか・・・、恐らく必要な要素が同時に見えているでしょう。
 どう打つかについては、その局面で最大のポイントに打つこと。
 地を囲うという本来の目的と、それを実現するための石のつながりと死活との関係
 地の確保と発展性つまり実利と厚み
 攻撃と防御
 足場を固めるか進展地に着手するか
 石の効率と先手の確保
 これらの相互バランスだろう。

囲碁の恐怖症

 碁会所などで打つ初心者の代表的な恐怖症には、
  3三恐怖症
  劫恐怖症
 などがある。
 囲碁は、無意識に打つ部分も多く、囲むというのがまた心理的にも深く感覚的に
 恐怖を感じるのだ。
 私が囲碁を最初にかじったのが、1995年頃だが、全然分かっていないのに
 人と対局してボロボロに石を取られ精神的にも瀕死の重傷を負った。
 それはもうブルブルと震えるくらいに恐いものであった。
 他の勝負ごとでここまで恐いと思ったことはない。
 大金をかけたギャンブルでもないのに・・・
 その後、某マンガアニメをちらっと見た時「指導碁」という暖かい打ち方が
 あることを知り、囲碁への興味が復活した。

活きについて(基本例と特殊例)

 1群の活き
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 盤端連結または欠け目共有による2群の活き
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 3群と4群の欠け目共有
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 1眼を持った群どうしの欠け目結合の活き
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 欠け目循環の活き
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つづく・・・

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