葉脈標本

くぬぎ林などに出かけた時、落ち葉の葉肉が分解されて網目状に
繊維質が残り、向こう側が透けて見える葉っぱをみかけることがあります。
このような葉脈を作る方法がある科学の本で紹介されていました。
その本と出会ったのは私が小学校の時で、それは図書館にありました。
本の主旨は、標本というより、押し花でよく作る様に、読みかけの本に
挟んで使うしおりにするといったものでした。
実際に何種類かの葉で作ってみましたが、ほとんどの木の葉は繊維質が
弱くきれいには作れませんでした。
本に紹介されていたものもあまり上手くは作れず、綺麗に作れたものは、
ギンモクセイ、ヒイラギくらいでした。
私が知る限りでは、ギンモクセイが葉も大きく最も葉脈作成に適しています。
ツバキなども葉が固そうなので上手く出来るかと思いましたが、葉肉が
厚くて固いだけで繊維質はあまり丈夫ではありません。
葉脈は、強アルカリ性の物質の水溶液で葉を煮て、セルロースで出来た
葉脈以外を溶かして作ります。
具体的に物質名は、伏せますが、小・中学校の理科の授業でも出てくる
よく知られた物質です。物質を特定できないのでモル濃度でいうと、
濃度は水酸化物イオンがモル濃度にして4モル/リットルくらいです。
葉が黒ずんできて、葉の表面の膜が浮いて破れるくらいになればOK。
後は、水にさらしてアルカリ性の物質をざっと洗い落としてから
ゴム手袋などをはめて、葉肉を流水で洗い流します。
ブラシでたたく様にして葉肉を落とす方法もありますが、葉脈を傷つけ
ないように注意が必要です。
着色する場合は、アセトンなどの有機溶剤で黄色い色素を抜いて
サラシ粉などの酸化性漂白剤で漂白した後、染料で染めます。
乾燥させる場合は、水気を拭き取ってから、当て布をして
アイロンがけするといいでしょう。

写真は、左が元のギンモクセイの葉っぱ、右が葉脈にしたものです。

  

以下に、葉脈をスキャナーで直接取り込んだものを示します。
この手の映像はフラクタル理論を使って、コンピュータ・グラフィックスで描かれたり
していますが、規則性な要素を組み入れるのが難しいようです。
正に、自然の造形美です。



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