1997年12月6日の記録


生まれて初めてのスケート。
教本も何も見ないで予備知識なしの体験。

靴は、26.0のフィギュアーにした。
最初は、とてもキツくてこんなの履けるのかと思ったが、それくらいでないと
駄目なのだ。紐を緩めて足を押し込んだらジャストフィット。
ゴムの上を歩くことは、何ら問題ない。
ただし、ゴムの上でも刃を垂直に立てて歩かないと足首が苦しい。
手袋を着用するようにと指示があったので、持ってきた軍手をはめる。

いざ、氷の上へ。とりあえず初心者コースへ。
思ったほど難しくない感じ。
止まれない、曲がれない・・・
しばらくすると成り行きでなんとなく曲がっている。
しかし、突然コケる。
立てない訳ではないが、生まれて間もない子鹿が初めて立つときみたいな感じ。
初心者コースに居るのは、かえって他の人に対して危険そうなので
10分程度だったか、その程度で広いリンクに出た。
とにかく、自転車と同じでバランス感覚を体で覚えるしかない。
それでも、30分くらい滑るとバランスは取れるようになる。
スピードに関わらずOUT OF CONTROL(制御不能)の領域に
入ると転んでしまう。
慣れるとそうならないように事前に避けるようになる。
学習型人工知能ロボットみたいだ。
また、荒削りで気分屋の自分の傾向だが、上手なときと下手なときが
交互にやってきて、心構えというかそういうので大きく左右されている。
慣れてくるとその差が縮まってきた様だ。

全く基礎も知らないのだが、何とかなるものだ。
とにかく、気が済むように滑ることにした。
転んで覚えるのだ。ただ怪我はしないように。
警戒してガチガチになったり、ダイナミックな動きができない様だと
つまらないので、ある程度転ぶくらいのリスクを負って挑む。

最初は、足が締め付けられたような感じでそれだけで辛かったが
慣れると不思議とその感覚が消えた。
足首の構え方が整ったのかもしれない。
後頭部を打たないように、体を前屈みにしようと心がけたが
ちょっと気を緩めると危険なことが2度程あった。

比較的高速はいいが、低速で安定しない。
両足で滑ると途端にバランスが崩れる。
自然と片足で滑るようになる。

とにかく、体が慣性で移動しようとする方向に逆らってはいけない。
どんな技能でも大半は、禁則をまもる(やってはいけないことをしない)
ことによって、技能が上達すると感じた。
動きに合わせて、次のステップをどの角度で踏むか、それが掴めずに
最初は多く転んでいる。

次に、曲がる際に体重移動がとても大切だということを知った。
更に、速く滑るためには、スケートの刃全体に均一に体重をかける
必要があることも分かった。
前傾姿勢なので、体重は爪先の方にかかっているが、膝を曲げることに
よって、均一に体重をかけられるようになり、スピードが上がった。
更に、チャッチャッと蹴るのでは思うように進まないことも分かった。
というより、スピードスケートの人がスタート時にダッシュしている
ような蹴りはかえって難しいのだ。
スケートをほぼ平行にした状態でも体重移動だけで結構スピードがつく。
しかし、フォームは両足をかなり開いた形で中腰なのでカッチョ悪い。
カッチョ悪いと独り言つぶやきながら・・・

スピードは、カーブの方が上がり、蹴らない方が進む。
直進も両足で滑れるようになったら、その方が摩擦が少なくなるようで
直進では若干速いような気がする。

初心者は、氷面をグサグサに傷つけてしまうので遠慮しないといけないかと
思っていたが、そんなでもないような・・・
まあ、初心者だから多めに見てもらう。
ただし、乱れた氷面ではとてもスピードが落ちる。

体重を刃に均一にかけられるようになると、踵に体重が移ることがしばしば
おきるようになった。
踵に体重がかかるとどうなるかというと、今まで曲がりにくかったのが
比較的スムーズに舵取り出来るようになる。

今日も色々な滑り方をした。
高速、歩くような低速、波打つような左右の蛇行。
思わぬところで急速にスピードが落ちたり、急に不安定になったりもする。

視野は、余裕がないときは、周囲1m未満だ。
そういう意識で滑っていたらうまくなっても周囲3mくらいにしか広がらない。
リンク全体を見渡すような視野を持ちフォームを大きく取ると案外
スムーズに気持ちよく滑れる。
何事も恐がることが進歩を妨げる。
確かに危険だが、恐がっていては上手になれない。
また、変な癖もつけたくない。
リンクは、半時計回りなのだが、そうすると感覚が左回りだけ訓練されて
片寄るように思う。しかし、最初はこれでいいのかな?

最初は、力の使い方がまずく、どうしようもなく体力を消耗する。
2周くらいで休まないと足が持たず、疲れてくると急に下手になる。
ところが1時間以上経ったら、10周くらい平気で滑れるようになった。
とにかく、滑るのだから体力はそんなに使わないはずなのだ。
そうなってくると、普通に歩く方がしんどい。
水泳をしていて、水から上がると体が重いのと同じ。

まだ後ろ向きに滑るのは怖いし、意図しないひねりが加わった場合は
注意しなければ。しかし、後半はそういうコケ方をしなくなった。
最初だけなのかなあ・・・
転ぶのはスケートらしい転び方ではなく柔道の受け身とかそういう感じ。
肘をつくコケ方が圧倒的に多くて左右とも打撲。サポーターが欲しかった。

手をついて転ぶので手袋は搾れるくらいにびしょびしょ。
ズボンやジャンバーは大したことはないだろう。
思っていたほど濡れなかったので、こんなものかという感じ。

ある程度、テレビなどで見てイメージが出来ていたが、間違った推測は
ほとんどしていなかった様だ。
小さい頃は、勝手な想像して現実に直面して臆病風を吹かせていたが・・・
流石にバランス感覚はやらないと身に付かない。
慣れと要所要所知識を修正して、正しい物理モデルを頭の中に再構築して行く。
まだまだ、こうするとどうなるのだろうかという疑問、試したいことがある。
しかし、フィギュアースケートなんかよく考え付いたものだと思う。
あそこまで上達するものなんだね。

路上での高速移動物体と呼ばれているが、氷上でもそう呼ばれるよう
になれるか。
それから、自己流で上達するものなのだろうか。
思ったより、人のを見ても分からない。
止まり方が分からないよーーー

まとめ
1. 理屈よりまずバランス感覚
2. 体重を刃に均等にかける。どちらかというと後ろ寄り。膝を曲げる。
3. 体重移動で曲がる。
4. 禁則を把握して避ける。(ほとんど無意識で身に付く)
5. 今の進行方向に逆らわない。
6. 最初は片足で滑る時間を長く。
7. 後頭部を打たないように配慮
8. 膝をひねったコケ方をしないように注意
9. 恐がることが進歩を妨げる。
10 なるべく、広い視野を維持するようにする。

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