ナツちゃんはきょうも幼稚園の帰りにうさぎ公園に寄りました.
シーソーやジャングルジムやブランコやベンチに動物の絵が画いてあるので、2丁目児童公園を近所の人は動物公園と呼んでいますが、すべり台で遊ぶのが好きなナツちゃんにとってはうさぎ公園です.
遊び終わって手を洗おうとしたとき、水飲み場の近くにすずめが一羽うずくまっているのを見つけました.
大きな鳥に襲われたたのか、すずめはぐったりとしています.
− お家に連れてかえって、お父さんに治してもらおう.
傷ついたすずめを、両手で包み込んで、ナツちゃんはお家に帰りました.
お母さんにもらったタオルを積み木の箱に敷いて、小鳥の病院のベッドの出来上がりです.
− お父さん、早く帰ってこないかな.
お父さんは、お湯で湿らせたガーゼですずめを拭いてから、薬をつけてくれました.
ナツちゃんの立派な看護婦さんぶりで、すずめはみるみる元気を取り戻しました.
− ピーちゃんを飼うんだ.
ナツちゃんは、自転車の買い物かごをひっくり返しただけのとても簡単な鳥かごでピーちゃんを飼うことにしました.
朝と夕方、ピーちゃんにえさをやるときには逃げてしまわないように家中の窓を閉め切って、それは大騒ぎです.
チッチッチッ、ある朝、沢山のすずめがナツちゃんの部屋の外に集って来たので、目を覚ましました.
− ピーちゃんの友だちかな.お見舞いに来てくれたのかな.
次の日も、その次の日も、チッチッチッ.
− ピーちゃんのお父さんやお母さんかな.
うさぎ公園でピーちゃんを見つけてから2週間ほどが過ぎた日曜日の朝、
ナツちゃんは窓を開け、かごを倒して、ピーちゃんが飛び立つのを見まもりました. |