上奏文その日の早朝、郭嘉はすこぶる機嫌が良かった。というのも、ここ十日程言い寄っていた官女を昨夜かき口説くことに成功したからである。一夜官庁にて共にすごし、翌朝最高に心地よいまどろみの中にいた。だが、すぐに機嫌が轟音と共に奈落のそこへと叩き落されることになるのである。 「き・・・・貴様ぁぁぁ―――――――っっっ!!!!! こんなところで何をしとるかあああああぁぁぁぁ―――――!!!」 胸倉つかまれ、半ば強引に引きずり起こされる。 「あぁ? ・・・・・なんだよ、長文か。」 「まさか一晩中ここにいたのかっ!? ここをどこだと思っている!!」 あわてたように服を整え立ち去る官女に陳群は一瞥をくれてから、再び郭嘉にめを向けた。 しかし一方の郭嘉は呑気そうに大きなあくびをしてから、 「政庁だろ。だから遅刻してねぇだろうが。」 「ふざけるなあああああぁぁぁっっっっ!!!!!」 さすがにあまりに無責任な態度に陳群の手が出てしまった。 頭を殴られた郭嘉も、そこで陳群をにらみつける。 「・・・いちいち煩いやつだな。おれが何しようと勝手だろ。」 「たしかに、何をするかについては口を挟むつもりは無い。だが、私が言いたいのは『場所』と『時刻』だ!!」 「てめぇの家じゃなかろうが。」 「貴様の自宅でも妓楼でもないことも確かだろう。お前は政庁を何だと思っているんだ!」 「建物。」 どこまでも人をおちょくる男である。一瞬怒りのあまり言葉を失った陳群。それでも尚も攻勢をかけた。 「それに、すでに朝議は始まっているんだぞ!!」 「あっそ。あんなくだらない宴会、顔出しても退屈なだけだろ。」 「司空軍祭酒という官位を何だと思っている。」 「ただの肩書き。」 次の瞬間陳群は手を振りかざし郭嘉を殴ろうとするものの、その直前でなんなく腕をつかまれ逆に殴り飛ばされる。しかしさして力もこめていなかったのか、陳群は多少よろめき壁にてをついただけであった。 「いちいち殴るな。だいたいあんな無駄の多いおしゃべり会なんざ出る必要ないね。三日に一度で充分さ。」 「なんで貴様のような奴が・・・・・・・・。」 「知らんね。文若殿にでもきいたらどうだ?」 郭嘉はゆっくりと襟をただし、服の乱れを整えるとそのまま戸口へと向かう。しかし、入り口のところでふと立ち止まると振り返り、 「何が気に入らんか知らんが、あんまり煩いと周囲にたのんで中央からおいやるぞ。」 「・・・・・・・おもしろい、やってみろっ! 私も貴様の降格および減俸の上奏文をだしてやる。」 二人はしばらく睨み合った後、郭嘉は「フン」とそっぽを向き立ち去った。 彼の機嫌たるやすでに地の底に這っていたのである。 「・・・・・・・だからって、ここにきても何もかわらんぞ。」 顔もあげずにそういうのは荀ケである。場所は尚書台の尚書令執務室である。郭嘉はムクれたままゴロリと横になっている。はっきり言って迷惑千万なことこの上ないのだが、荀ケは特に追い出すようなマネはしなかった。 「ここならあいつも来ませんもん。来てもおとなしいし、絶好の逃げ場です。」 (逃げ場にされても困るんだがな・・・。) 郭嘉の開けっぴろげな発言に、荀ケから苦笑がもれる。 「仕事はどうした。」 「今司空府に行ったら、あいつと出くわしかねません。夜にでもやりますよ。」 「今日中にやれ。」 「はいはい。」 寝転がったままヒラヒラと手を振って応えた。一見いい加減にあしらったようだが、彼が荀ケの言い分に逆らうことはない。仕事への意欲は皆無だが、責任を放棄することは無かった。その辺りの彼の姿勢が陳群に少しでも伝われば、二人の仲ももう少しましになろうが、と荀ケは考え、すぐに頭を横に振った。 陳群が何故こうも郭嘉につっかかるのか、それには理由がある。 彼の才能を知り、その品行ゆえに才を埋もれさせてしまうことを心配してのことだ。 その実郭嘉は敵が多い。性格上協調性の欠けている郭嘉は、周囲との衝突が絶えない。特に反曹操派からは蛇蠍のごとく嫌われており、誹謗中傷が絶えないのも事実である。そんな彼らから守ろうと獅子奮迅しているのだが、いかんせん親しい仲故にやり方が横暴になり、結果、二人の仲はから回りしているといったところだった。 すると突然郭嘉がふと口を開いた。 「・・・・・・・で、今日何かありましたか?」 その声に荀ケは一瞬考えてから首を横に振る。 「いや、特にないな。」 「チェッ。やっぱ行かなくて良かったんじゃないか、アイツ・・・。」 そんな郭嘉のぼやきに、荀ケは苦笑をもらした。 「文武百官が朝議に出るのも仕事の一つだぞ。」 「ヤですよ。どーせ孔融あたりのつまらない説教を聞かされるんでしょう? んなもん聞きたかないですね。」 「それも義務のうちだ。」 「・・・・そう思えるのは、文若殿だけですよ。」 「お前もそう思え。」 荀ケはくすくす笑いつつそういうと、郭嘉は「ゲーッ」という顔でため息を漏らした。 しかし、話はこれで終わらなかったのである。 数日後、いつものように荀ケの執務室で仕事をさぼっていた郭嘉だが、荀ケが曹操に呼ばれ執務室を後にしてもなお居残っていたところに、尚書郎の路粋が入ってきた。 「あらら、またサボっているんですか。」 「サボるとは心外です。頭の中はちゃんと働いていますよ。」 長椅子にゴロリと横になったまま郭嘉は、入ってくる路粋にぼやいた。 すでに慣れてしまっている路粋も、くすくすと笑って見逃していた。なにしろこの執務室の主からして、彼のこの行動を黙認しているのだ。自分に何が言えようか。 「そんなこと言ってるから、ほら。こんな上奏文があがってくるんですよ。」 「・・・・・・・・・・・・何です?」 すでにうず高く積み上げられた書簡の上に、更に手にしていた書簡を積み上げると、そのうちの一つを郭嘉に突きつける。 さすがに郭嘉も興味を持ったのか、身体を起こし書簡を受け取ると、紐を解いた。 数秒後、彼は書簡を手にしたまま、勢い良く室を後にすると、そのまま司空府へと走り出したのであった。 そして、目的の部屋に入るなり、 「長文〜〜〜っっっ!!!」 一人の人物めがけて歩み寄り、胸倉をつかんだ。 「お前、ふざけやがって! どういうつもりだ!!」 「ぐ・・・ぐぐ・・・。」 「ぐ、軍祭酒殿!」 息苦しそうに顔をゆがめる陳群に、周囲があわてて郭嘉を引き剥がしにかかる。 三人がかりでなんとか二人をひっぺがすと、郭嘉も多少は血が降りたのか、再び襲い掛かるようなまねはしなかった。 胸倉をつかまれた方、すなわち陳群は、ゲホゲホと咳き込みながらも襟をただし、郭嘉に向き直る。 「ゴホン、どういうつもりだと?」 「これだ!」 郭嘉は手にしていた書簡を床に投げ捨てる。ガシャンという派手な音とともに、書簡の紐がとけ、中からはどこか角張った字が現れた。他ならぬ陳群の筆跡である。 「・・・・見てのとおりだが?」 「なんだってこんなマネ・・・。」 「私の仕事だからな。そもそもお前に対する苦情はあちこちから寄せられていた。それを上奏して何が悪い。」 陳群はまるでとりあわず、平然とそうのたまった。逆に切れたのは郭嘉である。 「貴様・・・・、いちいちつっかかってくるな、この暇人!!」 「暇人?! ただでさえ忙しいのに仕事を増やしているのはどっちだ!! それに、お前の行状は見過ごすことは出来ん。下吏の手本となるべき高官の地位にいながら、なんだ、そのざまはっ!!」 「お前の上司じゃなかろうが! それに高官ったって欲しくて就いたわけじゃないっ!」 「ふざけるなっ! 期待を負って就任した以上、きちんと責務をはたすのが官吏というものだっ!!」 「仕事はきちんとやってるだろうが! だいたい今更所業を正せだと? 笑わせるなっ!!」 「それはそれは、権力をかさにきてやりたい放題とは・・・。随分なご身分だな。」 「権力をかさに着るだと? アホかお前は。俺はやりたいようにやってるだけだ。」 「それがよくないと言っとるんだ!!」 二人の口論はすでに意地の張り合いと化していた。さすがに心配した下吏たちが、こっそりスキを縫って、幾放かへと走ったのである。 さて、そのとき荀ケは何をしていたか、というと。 荀攸の元を訪れ、二人して内密の話をしていたのである。 机の上には、地図と、いくらかの書簡がところせましとおかれている。 それらを覗き込むように身を乗り出す形で、二人は話していた。 「では、離間工作は上々ということですね?」 「ええ。もともと潁川士大夫は袁紹幕僚になじめていませんでしたから。近々軍は三軍に分けられることでしょう。」 荀ケはそういって、一枚の絹布を差し出した。 そこには、秘密裏に送り出した工作員からの連絡事項が書かれてある。 来る北方平定に向け、荀ケはこのところ袁紹陣営に亀裂を入れる工作を行っていたのだ。 しかし、荀ケの報告に荀攸は眉根をひそめる。 「袁紹も愚かな。」 「・・・・・・・まあ、だからこそ我らの勝機も生まれようというもの。」 でなければどうしてあの大軍に勝とうなど思うだろうか。 そのとき、一人の下吏があわてたように入ってくる。 「失礼いたします。」 「何事だ。」 こういった込み入った話をするときには、人を遠ざけておくのが常である。 だから、突然の来訪に二人は首をかしげたのだ。 「荀軍師殿のお力を拝借いたしたく・・・。」 「? 何かあったのか?」 「あ、その・・・郭司空軍祭酒殿と陳司徒掾殿が――――――」 下吏が言いにくそうにボソボソと呟くと、荀ケはかぶりを振った。一方の荀攸は苦笑している。 「仲が良いですなぁ。」 「そおいう問題ではありません。」 「文若殿がいかれたほうが話は早いでしょう。」 荀攸はそういって、荀ケにいくよう頼んだ。確かに郭嘉の同僚たる荀攸より、諸生時期、二人の先輩としてなにかと面倒を見た荀ケの方が、適任といえた。 「・・・・・・まったく。では行ってまいります。続きは二人をしかりつけてからということで。」 「のんびり待ちますよ。」 ため息を漏らす荀ケの背中に、荀攸はにこやかな笑みと暖かい言葉を送った。 しかし、なんら慰めになっていないのもまた事実だったのである。 荀ケが司空府に赴けば、問題の房の前で野次馬達が二重三重となって人垣を作っていた。荀ケを呼びに行った下吏が慌てて何か叫ぼうとするのを、荀ケはわざと制止すると手近な房へとまず足を踏み入れた。 慌てたのは中にいた郎官である。 「じゅ、荀令君!!」 普段こんなところに来るような人物ではない。ほとんど天上、雲の上の人である。 だが、荀ケはあわてて立ち上がる下吏には礼もそこそこに、室内にあった杖を握ると、残り三本を下吏二人、そして、自分を呼びにきた下吏に渡すと、 「手伝ってくれ。」 と一言いってから、再び人垣のところへと戻った。 そして。 「全員杖打ちに処する!! かまわん、一人ずつ打ち据えろ!!」 そう、声を張り上げた。 驚いたのは野次馬達である。とたんに人垣が荀ケの前で割れ、一気に静まり返った。その中を荀ケは何事もなかったかのように歩き出すが、半ばほど歩いて立ち止まると、くるりと後ろを振り返る。 「何をしている。時間がもったいないだろう。打たれた者から部署に戻り仕事につけ!」 鋭い眼光で睨み付けられた三人の下吏は、拱手してから天を大きく仰ぐと・・・・・一人ずつ杖で打ち始めた。その音を背に、荀ケが房の中に入れば、中には呆然と荀ケを見る陳群と郭嘉、そして数名の官吏が固まったように立ち尽くしていた。 そんな中、郭嘉が搾り出したような声で、名を呟く。 「文若殿・・・。」 「この・・・・・・・馬鹿者どもがっっ!!」 荀ケは室内の空気を無視してズカズカ入ると、郭嘉、陳群の両名を杖で叩いた。とたんに二人はその場にうずくまってしまう。 「いてぇ・・・。」 「仕事を滞らせた罪は重いぞっ! ・・・・・・・・まったく・・・・。」 荀ケはそう怒鳴りつけ、それから呆れたようにクビを横に振った。よほど痛かったのだろう。二人は立ち上がれず蹲ったままである。その蹲って背を抑えている郭嘉の手から書簡を取り上げると、 「上奏文は私の手で趣向に渡しておく。あと四回ずつ打たれてから仕事に戻れ、いいな。」 「え? まだ打つんですか?」 「―――――――――――――――文句でも?」 「・・・・・・・ありません。」 ギロリと睨まれ、郭嘉も観念する。荀ケは脇にいた官吏に杖を渡すと房を出て行く。 後ろから二人を叩く音を聞きながら。 その日の夜、荀ケは自分の仕事を終えると、そのまま郭嘉の執務室へと足を運んだ。そこには背をしたたかに打ち据えられ立つのもままならず、俯きに伏せている郭嘉と、看病している従僕が一人いるのみであった。 「文若殿・・・。」 「仕事を終えておらぬのであろう? 手伝ってやるから指示だけ出してくれ。ああ、君は下がっていい。」 荀ケはそばにいた従僕にそういって下がらせる。そして、そのまま山と積み上げられた書簡の前にひざをつくと硯をする。 「・・・・・随分優しいですね。明日雨かな。」 郭嘉はそれでも笑みを浮かべ、そんな彼の頭を荀ケは手にしていた書簡で小突いた。 「実はぜんぜん手をつけてません。文若殿の判断にまかせますよ。」 「うん。それはそうと長文と和解したんだろうな。」 「そりゃ、ついさっきまで同じ房で看病されてましたから。」 二人はたとえどんなに仲が悪くなろうと、もとは良く知った相手である。仲直りも早かった。 ぶっきらぼうな返事に荀ケから苦笑がもれる。 「そうか、ならいい。」 「・・・・・・聞かないんですか? 何を話したか。」 「知りたくはある。が、そこまで詮索はしないよ。」 そういいながらも、荀ケは次々と仕事を片付けていく。郭嘉が知る必要のあるものについて、郭嘉の前に書簡を広げていった。 「長文もあれで結構気苦労多いんですよね。心配いらないって言ってるのに。」 「昔ながらの友人だ。放っておけんのだろう。」 「・・・・・・文若殿は? 心配しないんですか?」 「なんだ、私に口うるさく言って欲しいのか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・遠慮します。」 荀ケがニヤリと笑って冗談を口にすれば、郭嘉はげんなりとしたように目を閉じた。 「なら自己管理をしっかりすることだ。・・・・・・・結構あるな。」 こんなにためこんで・・・・・・との非難を裏にこめると、さすがの郭嘉も反論する術は無い。 「残しといてください。明日にでもやりますよ。」 「三日休みが与えられた。ゆっくり養生するといい。長文につっかかったのもイライラしていたからだろう?」 「ま、それだけじゃありませんけどね。で、三日休みっていいんですか?」 「主公には話が通っている。軍が出征の際、お前は超過勤務しているからな。」 「ふうん・・・・。」 郭嘉は半信半疑なのか、気の抜けた返事をよこした。 「ふうん・・・って、知らなかったのか?」 「俺病欠多いですもん。それで帳消しかと思ってましたよ。」 「それだけ身体を大切にしなければならんということだ。もともと強い方ではないのだから、無理はするな。」 荀ケは筆を止め、郭嘉を見つめる。しかし彼は目を閉じたまま、表情を変えることは無かった。 「・・・長文も心配していた。主治医から話を聞いては顔を青くしていたからな。」 「おかげで俺の家には山ほど薬が溜まってますよ。あいつ大げさだから、一度に大量によこすんですもん。医者に『薬持って来る必要なくて助かる』なんて言われましたよ。」 「奉孝・・・。」 話をはぐらかそうとする郭嘉に、荀ケは尚も畳み掛けるように彼の字を呼んだ。さすがにごまかしきれないと思ったのか、ため息を漏らして弁解した。 「わかっています。自分の身体ですから。そんな・・・・・・・つらそうな顔をしないで下さい。」 そこでようやく郭嘉は目を開け、沈うつな表情を浮かべる荀ケに視線を向ける。 彼は大きくため息を吐くと、 「・・・・・・・・・・・・友をたくさん亡くした。もう、一人も死ぬ様は見たくない。」 「戦乱にその言葉は無益ですよ。」 「わかっている。それでも・・・・・・天の祈らずにはおれんよ。自分は中央で安全に護られているのが、はがゆくてならん。」 中央で戦場に出ることなく、安穏と日々を送る自分。役割と分かっていても、友を失うたびに自分の境遇を振り替えざるを得ない。すると、そのとき郭嘉が鋭い眼光を向けた。 「安全ね・・・。さて毒殺や暗殺、どれほど被っているんです?」 「・・・・・知っていたのか。」 「そりゃね。主公の力を削ぐには、貴方を殺すのが一番ですから。」 そう、実は過去荀ケは幾度となく命をねらわれてきた。命を落としかけたのも一度や二度ではない。が、荀ケはきつく緘口令を敷き、外部に漏れないよう細心の注意を払ってきた。知るのは曹操と夏侯惇、そしてたまたま現場に居合わせた官吏だけである。 「まあ、仕方あるまい。私を殺して得する人間は山ほどいるからな。」 「俺こそ聞きたいんですけど、本当に大丈夫なんでしょうね?」 「天のみぞ知ることだよ。第一そんなことに気をとられていては仕事にならん。」 それに、自分に目が向けられているうちは、他の面々はある程度安全ということになる。 「長文が知ったら、それこそ激怒するでしょうね。」 「・・・・・・止められまい。主公も、私も・・・・・・・・誰にも止められない。人のおごりと欲は、他人がどうこうできるものではないからな。だが、お前の病はおまえ自身と周りが気遣えば充分事足りる。」 「わかってますって。俺だって早死にしたいわけじゃないし。でも何ていうのかな、今やらないと後悔しそうで。つい先に進んじゃうんですよね。サガですね、これは。それに・・・。」 「それに?」 「俺も男だということです。」 信念を貫くだけの勇気は持ち合わせている。たとえそれが死への道に繋がっていようと、その道をそれるのは彼にとって許せるものではなかった。荀ケはかぶりを振り、再び書簡へと視線をもどす。 もはや自分がどうこういってきく男ではないとわかったからだ。 「・・・・なんか、こういう話をするの久しぶりですよね。」 「三日間私の家にくるか? どのみち自宅には帰らんのだろう?」 「ばれましたか。」 まったく悪びれる様子無く、にやにやと笑う郭嘉の頭を、荀ケは書簡を置くついでに軽く叩いた。 「妓楼を梯子されては、せっかくの休暇が無意味だからな。」 「チェッ、見破られてやんの。まあでもこの身体じゃ二日は寝てなきゃいけなさそうだし・・・・やっかいになります。」 「うん。」 そう頷いて微笑んだ。 が、三日後。 郭嘉は荀ケの家の侍女に手をだし、こっぴどく叱られることになるのである。 合掌。 はい、郭嘉vs陳群でした。 戯志才vs荀ケに似てる、というツッコミはパスです(笑。 この二人、結局仲がいいんですよねぇ。 |