従軍


「若、知りませんか?」
執務室で筆をとっていた荀ケはそう声をかけられ、手を止め顔をあげる。見遣ればそこには困った顔をした典韋が大きな身体を小さくかがめて立っていた。
「いや、こちらにはいらしていませんが。何かありましたか?」
「ええと、その、俺がバカで」
「落ち着いて。ゆっくりでいいですから。」
「いや、俺が悪いんです。たぶんそれで若が起こってしまったんじゃないかと。」
典韋の言うことはさっぱり要領を得ない。しかたなく荀ケは立ち上がると、そばに居た主簿に後の事をまかせる旨をいいつれだって室を出た。
「何をしたんですか?」
「手合わせを。で、俺、手加減出来なくて。あ、いやしなかったので。」
「ふむ。」
ともかくもまずは曹昂の居室へと向かう。その道すがら話を聞けば、曹操の命で手合わせをさせられたのだという。そこで典韋は手加減せずに打ち合ったものだから、曹昂はあっけなく敗北し気を損ねたのではないか、とのことだった。
(それほど狭量とも思えないが。)
武は夏侯惇が、文は荀ケが教授しており、荀ケは曹昂の性格をよく知る人間の一人である。首をかしげつつ曹昂の居室を覗けば、そこはすでにもぬけの空であった。
「ど、どうしましょう。俺、俺。」
「落ち着きなさい。とにかく、他に心当たりのある場所へはもう行ったのですか?」
泣きそうな典韋に荀ケは呆れつつもなだめた。
「武具庫も厩にも行きました。」
「ご正室のところにいらっしゃるのかもな。」
もしそうならおいそれとは立ち入れない。すると向こうから陳宮が歩いて来るのが見えた。
おもわず荀ケから溜息がもれる。
(会いたくない時に。。)
陳宮は曹操の謀臣としては最古参であり、潁川出身の荀ケを相当煙たがっているのか、なにかにつけてつっかかってくることが多かった。この時も同じ東郡出身の官吏を連れており、陳宮の後ろでくすくすと笑っていた。
「若を探しております。御存じ有りませんか?」
「ほう、若、をね。」
嫌味たらしく陳宮は荀ケをねめつけた。主君の嫡男の教育係を任されるということは、すなわち後見人として認められたことを意味する。それが陳宮の気に触るらしく、いつぞや「あのような男に若をまかされるなど」と忠言した程である。だがその不穏な空気を察した典韋が口を挟んだ。
「あ、あの。俺が。」
「向こうにいらっしゃいましたよ。なにやら気落ちされていたようですが。」
陳宮の言葉に典韋の顔が真っ青になる。一方荀ケは
(くそったれめっ!!)
などと悪態をついたが、顔にはださず一礼すると典韋と共に陳宮の脇を通り抜け歩き出した。
そのすれ違い様、
「貴様には過ぎたる大役よ。」
などと囁かれ、一瞬キッと睨み付けるものの、結局何も言わずにその場を立ち去る。
すると角をまがったところで典韋が申し訳無さそうに声をかけてきた。
  「すみません、あの、俺のせいで。」
もとはと言えば、典韋が巻き込んだために荀ケが不快な思いをさせられたのである。
その責任を感じているらしかった。
だがそんな典韋に好感を抱いた荀ケは苦笑して不問にふした。
「気にしないで下さい。それよりも若ですが。ああ、いた。」
ふと向こうを見れば池の前に座り込み、何やら思案気な曹昂がいた。とたんに典韋が走り出し曹昂のそば迄駆け寄ると、ガバッと平伏した。
「すみません、すみませんっ、すみませんっ!!」
突然の大声に曹昂もびっくりしたのか、目を丸くして典韋を見遣る。
「は?」
「すみません、殴って下さい。気のすむまで何発でもっ!!」
「ちょ、ちょっとまって下さい。あの、いったい何を。とにかく顔を挙げてくれませんか?」
だが曹昂の言葉にも典韋はひたすら平伏し続ける。そこにあとからゆっくりと歩み寄った荀ケが説明した。
「手合わせで大敗したそうですね。」
「ああ、なんだ、そのことですか。あれは私の腕が未熟だっただけのこと。典隊長が気にすることでは有りません。」
曹昂はそう言うと、半ば強引に彼の顔をあげさせる。
「なんて顔をしているんですか。手合わせは練習や訓練と違って本気でやってくれた方が自分の技量を知る上でとても有り難いことです。感謝しているくらいです。」
「すみません。」
「だから、謝らないで下さい。私はちっとも気にしていませんし。」
曹昂は朗らかな笑みを浮かべた。
「それにしては随分気分が優れぬ御様子。」
「それは。」
曹昂は荀ケの言葉に少し顔をゆがめると、ちらりと典韋を見てから再び池の方に視線を戻した。
荀ケはすぐさま曹昂の内心を悟ると、
「隊長、そろそろ将軍の警護に戻られた方が宜しいのでは有りませんか?」
と典韋を促した。典韋はそれでも立ち去りがたそうではあったが、荀ケの有無を言わさない表情に一礼するとその場を立ち去った。彼の背が向こうに遠ざかると荀ケは再び曹昂に向き直る。
「お父君に何か言われましたか。」
むろん父君とは曹操のことである。荀ケの問いに曹昂はすぐには答えなかった。たっぷり十秒ほどたって、溜息一つ漏らすと、重い口を開いた。
「先生はなんでもお見通しなんですね。そうです。父上に従軍を許して貰えなくて。」
「従軍ですか。」
「典隊長と十合以上渡り合えたら許してやる、と言われたのですが。ざまはありませんでした。」
荀ケはそこでようやく納得した。典韋があれほど恐縮していたのは、曹昂の希望に添えなかったからだ。そして、おそらくその曹昂の申し出を知らされぬまま渡り合い、いやもしかすると曹操に「全力で」と注文をつけられたか、ともかくも曹昂をあっというまに負かしてしまったのだろう。
「私とてすでに16。従軍するに十分な年と申せましょう。でも父上は許して下さらない。これではただの箱入りです。」
肩を落とし、淋しそうに呟く曹昂に荀ケは優しくさとした。
「将軍は戦の厳しさを肌でごぞんじです。大切な嫡男たる若をつれていけないと判断したのでしょう。」
「ですがっ!」
「若、よく考えて下さい。若の腕が未熟であればある程、周りの配下が死んでいくのですよ。」
荀ケの厳しい言葉に曹昂は「はっ」と顔を上げた。
「今は雌伏の時とお心得下さい。」
荀ケの励ましに尚も言いつのろうとして、曹昂はそれでも声を発することなくうつむいてしまった。
静かな沈黙が真昼の暖かい陽射しの中、漂った。
ようやく曹昂が口を開いたのはしばらくたってのちである。
「それでも、私は戦にでたいのです。父上の手足となって働きたいのです。我が侭とも甘えともわかっています。ですが、父上が窮地に立たされている今、自分が微力なりでも力添えをしたいのです。いつだって、いつだって。父上の覇業をお助けしたく思っているのに。」
悔しそうにギュッと拳を握りしめ、曹昂はそう心情を吐露したのであった。




執務室でひととおり荀ケから話を聞いた曹操は、
「昂がねぇ。フン、生意気なことを言うようになったものだ。」
と憎まれ口をたたく。それでも言葉とは裏腹に顔が弛んでいる所を見ると、一人の父親として息子の成長ぶりに感激もひとしおとったところなのだろう。
「気持ちはわからんでもないがなあ。」
曹操の傍らでニヤニヤ笑ってそう言うのは、曹操の右腕にして幼少のみぎりより曹昂をみてきた夏侯惇である。
「いちおうなだめておきましたが、頭では納得しても心がはやるのは抑えられないようです。」
「まだ従軍させるつもりはない。」
だが曹操はきっぱりと断言した。
「兵はいくらでもいる。昂は将となってもらわねば困る。」
「だが、いつまでも囲っておくわけにもいくまい。なにしろお前の息子だからなあ。そのうちこっそりついてくるかもしれんぞ。」
口端をつりあげ曹操を見下ろす夏侯惇を曹操はねめつけた。
「儂がいつそんなことをした。」
「他人を出し抜くの好きだろうが。」
ついにケラケラと笑い出した夏侯惇をジロリと睨み付けてから、曹操は溜息を付く。
「まあ、確かにな。だがあれは戦場に出すには少し甘過ぎる。それに――――――。」
「それに、何だ?」
「丁がうるさい。」
一瞬ためらってからぼそりと本音をもらした。
「そういうことか。」
「そういうことだ。」
丁夫人とは曹昂の養母であり、曹操の正室であった。さすがの曹操も正妻には頭があがらない。ましてや自分でさえ迷う所なんである。ここは正室の御機嫌をとっておくに限る。むろん丁夫人も甘やかすでなく厳しく嫡男として育てており、いつかは戦場へと見送ることはわかっていた。それでもまだまだ先だというのがこの夫婦の共通の意見だったのである。
「なんなら俺が預かってもいいぞ。」
その夏侯惇の申し出に「否」の一文字を突き付けたのは荀ケである。
「濮陽は危険すぎます。どうでしょう、ここ本城の警備を預からせてみては? 上に立つことの労苦を学ぶにはいいとおもうのですが。」
「公台の下にいれるのか。いいのか、お前は?」
「はい。公台殿も若の器量を知る良い機会になるかと。」
「わかった。話しておこう。」
「ただ、丁夫人がなんというか、だな。」
夏侯惇はニヤニヤ笑っていたい所を付いた。案の定曹操は心底嫌そうな顔をする。
その表情に夏侯惇は爆笑し、荀ケもふきだしてしまうのだった。




曹操の居室を辞した後、執務室に戻ろうとしたとき、ふと先ほどの場所で曹昂が戯志才となにやら楽しそうに話し込んでいた。曹昂の隣には次男曹丕もいて、一緒に楽しそうに笑っている。すると戯志才が荀ケに気付き手招きをした。
荀ケは一礼すると話に加わる。
「何やら楽しそうですが、何の話をされていたのです?」
「戦場の話を。」
曹昂の返事に荀ケは眉根をひそめ、戯志才をみやる。
「変な話じゃあるまいな。」
「いや、ちょっと現実的なお話をね。戦場の悲惨さを話した所さ。」
「それにしては随分楽しそうに見えたが。」
だが戯志才はその問いには答えずにんまり笑うのみだ。すると曹昂の袍にしがみついていた曹丕がくすくす笑いながら答えた。
「あのね、戦場には頭蓋骨がいっぱい転がっててね、それを集めて呪法するんだって。本当?」
「お前ってやつは!」
カッと血の昇った荀ケは戯志才の頭を一発殴ってから怒鳴り付けた。殴られた方はじんじんと痛む箇所を手のひらでさすりながらポソポソと弁解した。
「いやだからさ、戦場には腐乱死体で一杯で見るもんじゃないって。」
「若、戦で命を落とした兵らは土地の人間によって埋葬されております。呪法の話はウソです。」
するとこんどは、
「じゃあ夜な夜な幽霊がでるのもやっぱりウソなんだ。」
あまりのとっぴょうしもない発言に、一瞬くらりとよろめきかける。
「何を聞いたかしりませんが。」
「子然は戦場の跡地を通るたび、地面から死人が飛び出て来るのを心配するそうです。だからできるだけ戦に行きたくないとか。」
くすくす笑って曹昂が補足した。だが荀ケはうろんな目を戯志才に向けると、
「この男がそんな繊細な心根の持ち主なものですか。」
「いやだからさ。その死人が美人だったついてっちゃうかもしれないだろ?」
「ついてっちゃうんだ!」
曹丕はそう言って大笑する。曹昂もおかしくてしかたないのか、口元に手をやり必死に笑いをこらえていた。
「もちろんそりゃそうでしょう。現実は厳しく食べて行くのに働かねばならぬ世。ましてや美人なんてそうはいないとくれば、チャンスと見てもおかしくありませんか? 死んだら働く労苦ともおさらばできるんですよ。」
朗々と弁説をかます戯志才の襟を荀ケはひっつかみぐいっと引っ張ると、
「そんなに死にたいなら殺してやろうか。」
などと脅迫する。あわてて戯志才は彼の手を降りはらい、襟をただす。
「一人で死ぬのはごめんだね。美人が一緒だからこそ、さ。」
「子然は働くのきらいなの?」
「大ッ嫌いです。」
曹丕の子供らしい質問にも大真面目な表情で答える戯志才。言葉が言葉だけにこっけいである。
「働かずに幸せに暮らせるなら働きませんね。私のモットーは「いかに働かずして人生楽しむか」ですから。」
「おいっ!!」
はっきりいって教育上あまりよろしくない発言である。
だが戯志才は荀ケの抗議など耳に入らないかのように続ける。
「今もできるだけ働かなくてすむよう全力をもって頑張っているんですけど、こいつがうるさくて。」
「当たり前だ。だいたい働かずして給料もらおうなんて、それこそ給料泥棒だろうが。」
「給料泥棒。それは俺の永遠の憧れ。永久就職希望するね。」
荀ケは怒りもあらわにぐっと拳を握りしめた。一方の曹家の子供ふたりは腹を抱えて笑っている。
そこに何事か、とかけよってきたのは夏侯淵に曹仁である。
「何だか随分楽しそうですな。」
曹仁が不思議そうにたずねると曹丕は
「あのね、子然がね。」
と言って、再び笑い出してしまう。代わりに話を引き継いだのは曹昂だ。
「給料泥棒に永久就職したいんだって。」
「なんだそれは。」
「へぇ、そりゃいいなあ。」
前者は真面目一辺倒の曹仁。後者は事態を察した夏侯淵が悪のりしたものである。そんな夏侯淵の発言に曹丕と曹昂はさらに笑いだし、一方で夏侯淵は曹仁と荀ケから睨み付けられた。
「なんてこと言うんだ。倫理観はどこいった。」
「まったくです。ほんとにもう、曹軍が道徳心かけていると言われかねませんよ。」
二人掛かりで避難され、夏侯淵もさすがに白旗を上げた。するとふと曹丕がうらやましそうに」
「僕、勉強しなくてすむなら働きたいなあ。」
「そりゃ明暗です。どうです、俺と立場入れ代わりませんか? 二の若のかわりに俺勉強しますから、俺の代わりに働いて下さいよ。」
「ばか者っ!!」
再び荀ケの鉄拳が戯志才に降りおろされた。
「うーん、代わりたいけど体つきがちがうもん。」
「大丈夫です。自分は「二の若だ」と言い張りますから。」
すると今度は曹昂が。
「私なら大丈夫だろう。どうかな、入れ代わってみる?」
「一の若は嫡男ですから、苦労多そうなので遠慮させて頂きます。」
「そういう問題じゃないだろう!!」
平然と言ってのける戯志才に怒鳴り付けたのは曹仁である。横では夏侯淵がゲラゲラ笑っている。
そのとき。
「あら、随分と楽しそうですね。」
「母上っ!」
突然後ろから声をかけられた。曹丕が振り返ればそこには自分の母、すなわち卞夫人が二人の侍女を従え立っていた。全員慌ててうつむき拝礼する。曹昂だけは長男らしく「ご機嫌麗しゅう」と笑顔で一礼した。逆に曹丕はしまったという顔をすると、いそいそと隠れるように曹昂にしがみついた。おもわず曹昂から苦笑がもれるものの、咎めず弟の肩に手をまわした。
「丕、お勉強の方はどうなっているのです。すぐに部屋に戻りなさい。」
「・・・・・・・。」
曹丕はブスッとむくれたまま兄曹昂を見やるものの、兄は助け舟をだしてはくれそうにない。
すると戯志才が俯いたまま口を開いた。
「僭越ながら申し上げます。」
「なんでしょう。」
「二の若は気分を害しておられたようでしたので、私が声をかけさせていただきました。長時間墨のにおいにつつまれておりますと、その日の体調によって気の優れぬことがございます。」
(またウソを・・・。)
荀ケは内心あきれ返ったが、曹丕はパッと顔を明るくした。
「また、せっかくの機会にと、我らの仕事に理解を示していただくため、我ら四人が話していたところにございます。」
ここまで言ったときのほかの面々は、と言えば。
曹丕はひたすらうんうん、と頷いており、曹昂と夏侯淵は肩を震わせ忍び笑いをもらしている。曹仁はといえば今にもとびかからんとばかりに戯志才を睨みつけており、当の荀ケはため息をつき視線を横にはずしていた。
はっきりいって怪しい限りではあったが、卞夫人は苦笑して不問に付した。
「・・・・・・わかりました。では一刻だけ待ちましょう。一刻たったら部屋に戻るのですよ。」
「・・・・・はーい。」
しぶしぶではあったが、それ以上の言上は無理と悟り、曹丕は承諾した。その返事に卞夫人は一つ頷くと、しずしずと立ち去った。その姿が完全に見えなくなってから・・・・曹仁がためこんだ怒りを戯志才へとはなつ。
「よくもまあ、あんなでまかせをっ!!」
「でまかせじゃないですよ。気分のくさくさしていた二の若をつれてきたのは本当だし、仕事について話していたのも本当でしょうが。」
「じゃあなにか?! 貴様は勉強中の二の若を外へとつれだし、さぼらせたのか!!」
「さぼらせたなんて心外ですね。気分転換にとお誘いしただけですよ。」
「同じだろうが!!」
ゴウッと怒りの炎が撒き散らされた。
「まあまあ、子孝(曹仁)落ち着け。二の若がすっかり萎縮しとろうが。」
胸倉をつかんでいる曹仁を止めたのは夏侯淵である。そこで曹丕を見ると、彼は曹昂の腕の中、唇をとがらせ、ムッツリと黙り込んでいる。曹仁はひざをつき、曹丕の目前にあわせると、
「二の若、勉強というのは若にとって大切な仕事です。将来立派な一将軍となられるために必要不可欠なものです。こんないい加減な男のたわごとに惑わされてはいけませんぞ。」
「いい加減とはまたひどいですね。」
だが曹丕はムスッとしたままポツリと呟いた。
「・・・・・・・だって・・・・・・書写ってつまんないんだもん。」
「若っ!!」
すぐさま曹仁の一喝が飛び、曹丕は首をすくめた。見かねた夏侯淵が再び割ってはいる。
「だからやめろって。お前ただでさえおっかない顔してるんだぞ。怒りの形相なんて鬼だって逃げ出すってことくらい自覚しとけ。」
「なっ!!」
夏侯淵の言葉にさらに何か言おうとして、周りが苦笑しているのに気づき二の句をためらう。その隙に曹丕に賛同の意を表したのは、むろん戯志才だ。
「たしかに、書写ってつまらないですよねぇ。俺も誦と章句成績悪かったですし。」
「赤点スレスレだったからな。」
「・・・・・・・・・ここでそういうこと暴露するか、普通。」
荀ケの反撃に苦い顔して呟く戯志才である。
「へぇ、子然(戯志才)でも苦手なものがあったのか。」
「あんなもん大体の内容把握してりゃいいんですよ。要は応用が利くかどうかであり、さらに言うなら今現在役に立つかたたないか、でしょう? 役にたたなけりゃいらないし。」
あっけらかんと言い切った戯志才に荀ケはため息をもらした。
「・・・・・・・二の若。ああいう男にだけはなってはなりませんぞ。」
ため息まじりに呟く曹仁の言葉に、曹丕はくすくす笑うばかりであった。







曹丕は曹昂のことが大好きです。大好きな大好きな兄上と設定しています(妄想)。
そして、曹仁や曹洪らは曹昂と曹丕を「若」と呼びます。夏侯家の連中は皆の前では「若」。身内では字で呼んでいます。
本当は曹操の奥方たる卞夫人を見るなんてとんでもないことなんですが、見逃してやってください(笑

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