NG、遂に最終日


6月14(土)、15日(日)

この週末は池尻さんの襲来、いや逆襲、そんなわきゃないか、一色。土曜に四谷の個展、日曜に池尻の個展が相次いで最終日を迎えるのである。とくに四谷のはオープニングパーティに行けなかったんでねー。池尻も初日に行ったわけじゃないんだけども。ところで写真家には「画伯」みたいな敬称ってないんでしょうか。先生ってのもなんだしね。

この土曜は朝から持ち帰り残業(とほほ〜)をしてたんだけど、昼2時くらいにまあひと段落着いたもんだからオモムロに四谷池尻個展のハガキを見て大吃驚最終日は4時に閉まるというでわないか。喰うもんも喰いあえず四谷に韋駄天走り。もちろんクリーニング屋に行ってからである。所帯じみてるなあ。
池尻清写真展「無の幻」


四谷三丁目の駅から会場の「MOLE」は思いの外簡単に見つかる。自分のホームページで確認しておいてよかった。外から見ると本屋なんであららと思いつつ入って聞く「え〜、池尻さんのはここですよね」「あ、奥の階段上がってください」。奥に行くと勝手である。流しがある。非常に狭い階段がある。上がるしかない。外に道はないのだ。

上がると8畳くらいかな、の展示スペースに、写真がぐるり約20点展示されています。先客の男女。池田孝氏と入間市から来た女。いや、全然知りませんが芳名帖にそんなことを。テーブルの上に池尻さんは3時に来ます、と書いてある2時45分。じゃあ待とうじゃないか。待ってどうする。だいたいNGで「あ、池尻さんですか、ORGANIZER持ってます、あくしゅあくしゅ」くらいしかしたことがないというのに、待ってどうするのか、勝算はあるのか。先客はちょっとお茶でも飲んでくらぁと出ていき、写真も見ちゃったし、ひとりぽつんと山田風太郎を読むのであるが池尻さんはなかなか来ないのである。

そういえばものすごく腹が減っているのであった。もうこれはぺこぺこである。俺もどっかで飯喰って出直そうと1階に降りたのだ。写真集も見たいしね。1階では写真集に加えてプリントも売ってる。2階で買うと5万円、1階のはプリントがなんか違うんでしょう(紙質とか? どこで価格が上下するのかよくわからんのよ)5千円くらい。ぱらぱら見てるとベアさんのもいっぱいあった。あ、前に踊りに来たニューハーフな人ね。ふーん、と思いながら見て行くと、片隅に宮西計三さんの原画がぁぁぁ!

そうなんです、1-2年前のことになるでしょうか、確かに四谷で宮西さんの原画展が開催されていたんです。知ったのが終了後で泣く泣く泣いていたんですが、実にこの場所だったんですねー。やれ嬉しやその残滓がまだここにあろうとは。ほんとあと10枚もなかったけど、どれか買っとくつもり。でも昔のが、あの点描で「目がひび割れて」るやつがいいです〜、ってそんなん手が出ない値段だと思うけどね。ところで宮西さんって、解説いります? エロ劇画誌に描いてた漫画家です。これじゃ解説じゃなくて誤解を生むだけだな。感覚的には15年位前、ひさうちみちおさんや平口広美さんが出てきてはったあの頃かな、一番描いてはったんわ。ちょっと本棚探して気が向いたら作品リストでもあげときますわ。

いや、宮西さんに気を取られている一瞬の隙を突いて、池尻さんの到着です。女性ご同伴。この人、千葉節子さんです。誌の朗読をする人です。フランスでのコンサートも終え、いや朗読だからリサイタルか、日本に帰ってきてて、8月25日(月)には渋谷Uplink Factoryで朗読するそうです。じぁんじぁんではないのね。なしくずしにまたギャラリースペースに行って他に客もいるのに喋ってますが。ヤな一般客だねー、俺。池尻さんが持って帰った牛の首は大事に庭に埋められていて、角だけ天に向かってそびえているとか。この「無の幻」、お客さんは結構来てたそうです。やっぱりぴあの力かな。もちろんこの場所そのものが写真家の聖地なんで、カメラ野郎はもともと来ているようですが、でもぴあに載って「外」人もいっぱい来たんだと思う。そういう人はNGにも行くといいと思う。



あ、展示されてた写真のことに触れてないですね。ははは。えー、NGにもある巨大蛇女(巨大はどっちにかかるでしょー?)、静物、裸。池尻さんの写真はエッジがきれいだと思います。とくに人間の。これでいいかな。

ま、そんなわけで明日のNGにも行きますから、ということでその場は辞す。次に行くところがあるのだ。すげー腹が減ったのだ。もうこれはくらくらである。
池尻清・超肉體派写真展


そして日曜日、池尻大橋である。さあ着いた、あらら、森閑としてる。最終日だっちゅうのに。先客は女娘二人と名前忘れた前もいた人が二人。小林さんは黙々とUltra Negativeを製本し、青砥さんはワープロを撃ち続ける。コロラドかどっかのシェリフん家の夏の庭のようである。とりとめもなく言葉が発せられては消えていく感じ。ああ、今日で終わりなんだもんね。

テーブルに置かれたカードを見て思い出したが今日は石川雷太さんの個展の最終日でもあって、今東大でノイズのライブやってんだな、などとぽかんと思っていると、奥から田中さんとウェスが出てきてライブに向かって行った。そう、このところ矢鱈と露出の多いウェスが戻ってきているのだ。7月末から京都で個展もやるし。でも行ってしまった。

ややあって何人かの入れ替わりがあり、池尻さんの登場。今日は一人。で、最終日だというのにやおら新しいプリントを所狭しと貼っていくのであった。貼ったと思ったら奥に行って寝ちゃったけど。


最終日だけあって常連で閑散としている。深夜過ぎには増えたのだろうか? あ、池尻さん服おんなじ。


そうして空気はひかるちゃんに紊されるのみである。しかし初めて出会ったときはまだ一人で立てなくて歩行器につかまってたっていうのにね。愛想するようになったし。カメラ向けられるとポーズとるし。ほんまに彼女がオークションに出てたらどんな値がついたことやら。

だらだら書いててもしょうがないな。んで、オークション、という噂もあったんだけどそんなこともなく、とはいえ前から目をつけていた青砥さんがひかるちゃんをまだ子宮ん中に入れていた時代の写真はこの期を逃すと手に入れられるわけもなく、池尻さんがいるから捨て値にもならないのだが、何枚かピックアップして手中のものにしました。これはスキャンしないよ。へっへー。

ライブから帰ってきた田中さんに聞きましたが、りるまざ堂さん、東大のライブではバーテンをやってたそうです。客はみんなよろこんで蟲酒を呑んでいたそうである。めでたしめでたし。

では最後にひかるちゃんの勇姿を(ファイルでかいよ)。今から10年後、いやそれじゃまだロリロリか、15年後くらいに再会できるといいなあ。げ、2010年。俺、生きてんのかしら。
しかし、マジな話、NG Galleryがなくなってしまうって思うと、なんだか一本脊髄を抜かれた気分。ああ、人はなぜ出会うのでしょう。次の場所を探す? それとも作る?

なけりゃ作れ。それが世界の掟だ。