1998年2月28日
会場:朝日生命ホール
桃の花
山本正之
まず話は横道に逸れて新譜「桃の花」について。
発売がこの1週間前の2月21日、すっかり忘れてた俺は翌22日、池袋を回ったです。WAVE、HMV、Virginと探して見つからず、頼みの綱の山野楽器にもない。きっと入荷数が少なくて初日完売してしまったんだろう。で、山野楽器はいいんですよ、山本さんのタナがあるから。残りのアルファベット系メガストアではタナがないからまず「や」のところを探すんだけど、そこに1枚でもあって新譜がないのならいいんだけど、そこに何にもなかったら次にアニメのコーナーも見ることになんのね。どうしてもそういうイメージで見られてる人なんだろうから。ところがまあアニメのところに行ってもタイムボカンなら「た」のとこにあんだろうけど、ソロですからね、タイトルで並べられんのかアーティスト名で並べられんのか判然しない。並べる側の知識レベルの問題なんだけどさ。
メガストアってのは、たとえば本屋でいうと紀伊國屋とか淳久堂みたいなもんで、とにかくあるものは全部あると、そういうのが存在理由ではないのかいな。とくに本とかCDとかって(国内のものは)どこで買っても同ンなじ値段なんだから、そういうでかいとこの競争力ってのは、モノガアル、ってことでしかないんじゃないかと思うですよ。ところがぎっちょん、今や音楽の世界ではメガストアなどと名乗るところに限ってベストテンしか置かないんだね。オンガクヲコロシテイルノハアイツラダ。
結局「桃の花」を買ったのは新宿ツタヤでした。タナあるし、どこよりも揃ってた。もちろんアニメの世界に根深い人だからビデオとの連関が強いってこともあるんだろうけどさ。でももうなにが言いたいかってーとWAVEは潰していいんじゃないの、と。西武的にはあったほうがそりゃいいんだろうけど、社会的文化的には最早そんな考えの店はあること自体が罪悪なんじゃないのって。どっかのおっさんの金儲けのためにそのもの自体には何の意味も無い単なる広告のベッセルとしての雑誌作って紙資源を浪費しているのは罪でしょうというのと同じ意味で。
まぁ、なんかもうどうでもいいや。最近オンガクとか今の社会に受け入れられていることって興味ないしね。
「桃の花」ですが、買ったのがコンサート開演約3時間前ってことであわてて聞きます。
なんというか、「遊び」の少ないCDという印象を受けました。たとえばBuffalo Daughterだと「遊びが多すぎる」といって非難してた記憶があるけど、まあ、アーティストによって期待値は違うわけで、大目に見てほしいです。
でもCDとしてのまとまりというか完成度はとても高いと思います。シリーズものは押さえてるし。美少女シリーズがないけど俺はあれは好きでないからそれはよくて。残念なのは「少年」系の歌がないことかな。
で、さて、朝日生命ホールに参ります。
朝にはぽかぽかした好天だったんですが、雨がポツンときてました。
とっとと席について、どうせ長時間やるこたわかってっからトイレにも行って、さぁ6時だ、6時10分だ、6時20分だ。おっかしいなあ。始まらない。こんなに押すことあんのかいなあ、と思ってたら、最初の歌を終わって山本さんの弁明。ぴあが間違ってチケットに6時半開演と書いてしまったらしいんですね。チケットを見ると確かにそのとおり。ほとんどの客はDMだけを信じて来ているだろうから席が埋まった状態で30分ぼけらーと待っておったですね。悔しかったろうなあ。「仙台とか新潟とか、遠くから来た人、ごめんね」っていうてはりましたわ。
さてさて、本日のコンサートは「桃の花」を全曲やるというもの。だもんで昔の歌とかあんまりなくて、ちょっとさみしかったかな。
じゃ、演った曲。順番は大分間違ってると思います。太字が「桃の花」収録曲です。
アニメメドレー(ヤッターマン、シュッパツマン、あ〜る(この歌知りませんでした)、イタダキマン)、オカエリマン、(儀式、ごちそうさまの儀式)、人妻セレナーデ、怒りのオムライス(CD収録にさらに怒りを加味した西新宿特別バージョン)、ああ大和朝廷(もちろん「ひれふし」つき)、じゃんだらりん、正調パトリオット音頭、ステレオの歴史、月光大脱走、マイボーイCHRYSLER(出だしかぁちゃんの留守録メッセージ流したりしてちょっと感極まってた)
--客席に降りて--
港ストリート(フルバージョン)、奈良公園の鹿、あなたのもの、ビスケットふやふや
--ステージへ--
少年の夢は生きている、あーちゃん三つ葉の13(大河ものの新曲)、BABARの伝言、バイバイハイジャック(曲名知らず。予定なく歌ったみたい)、プライド、桃の花、THANX
--アンコール--
駅(アカペラで)
ね、飯田線のバラードも輝けライトマンもないでしょ。
しかし絶対順番違ってるなあ。自分の記憶力のなさ加減に呆然としますね。
で、やっぱり3時間と5分くらいでした。足とケツが痛かったっす。
しかし山本さんって極度のマザコンで、旧弊な男尊女卑家庭観に支配されているわけですが、それを臆面も無く表出してしまうところがまた魅力ですね。他の人はどう見てるのか知らないけど。
でもそういう歌が、ああもうとっとと忘れようとしてるのにぃぃ、っていう引出しの奥の方にしまい込んでいた“少年”を引きずり出してきたりしてくれてしまうわけで。大林映画か山本さんの歌だよなあ。こういうのってXX染色体の人にはどう受け止められてんだろうか。
え? 音? 前のコンサートでさんざんチープなキーボードにケチつけましたけど、今回も同じですよ。でもなんか慣れました。もちろんギター1本がいい、ってことに変わりはないですが。
ところで「桃の花」で“母親”という連想がすぐ浮かぶ人ってどんくらいいるんだろう。まだ売ってるんですかね、桃の花。
あんまり“人気者”のコンサートとか行かないんでわかんないんだけど、山本さんのコンサートに関しては、終わってから拍手が鳴り止まない、ってとこがあって、とてもお客さんにも好感が持てます。近頃のナウなティーンはアンコールは予定調和であって最初から組み込まれたものなんだからぼーっとしてりゃまた出てきて演るしやんなきゃやんないで別にどーってこたねーやとか思っているクソガキばっかりなわけで俺はもうそんなやつぁー車ン中でCDでも聞いてろ外に出てくんなお前らのせいでチケットが取りにくいんじゃあみんな死んでしまえと思っているわけですが、ここはそんなことなくて気持ちいいでした。
5月には山本正之プレゼンツの芝居をやるそうです。...。こっちはちょっとなあ...。
そういえば雨ですが、終わったころには本降りになっていて、翌3月1日には雪にかわってました。嵐の春のことよのう。