「誕生日おめでとう」 その一言に、獄寺は嬉しそうに微笑んだ。 「うん…恭弥ありがと…」 そっと雲雀の前にしゃがむ。顔は見えない。俯いているから。白いシャツに赤い血。色素の薄い手で撫 でてみた。温かかった。 「…誰かと喧嘩でもしてきたのか?」 「僕が人を咬み殺すなんていつもの事だろう。君だって、喧嘩してる」 「まぁな、俺の場合は地味に生きてるのになんか喧嘩売られるんだよ」 「お互い似たようなもんだね」 くすり、と雲雀から声が漏れた。 声に、翳りはなかった。血塗れた腕が、獄寺の細い腰を掴む。引き寄せる。引き寄せて、彼を膝に乗せ た。向き合う様な形。そこで初めて雲雀は顔を上げた。 涙目だった。 「きょ…や…」 泣いてる、と涙を拭う。 「僕だって人間だからね」 泣く時位あるさ、と雲雀は呟いた。 「但し、君限定だけどね」 2人で動いた所為か、背後にあった薔薇の木の葉が一枚落ちた。 まだ秋とは言えない生温かい風が流れ体を擽っていく。 獄寺は雲雀の言葉に暫し固まっていた。 時折彼は酷くくさい台詞を獄寺によこす。 獄寺はそれがたまらなかった。 ぎりぎりの優しさ、ぎりぎりのところで言われる愛の言葉。 普段言われないから、端の端まで追いやられて、その後に言われるから、 (こんなにも…) 愛しさが、募るのだろうか。 「雲雀、」 血など気にせず獄寺は雲雀を抱きしめた。雲雀は抵抗しなかった。 「大好き…だ…」 顔を近づけて。耳元へ。 薄い唇が静かに愛を囁いて。 瞬間、 その唇は奪われた―そう、 愛を向けられた、雲雀恭弥に。 next