糖尿病とは? |
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「糖尿病」というと「糖に尿が出る病気」かなと思いますが、寧ろ重要なことは、 |
●インシュリンというホルモンの分泌が鈍る、或いはなくなる為に、エネルギー源である血中の ブドウ糖を利用でき<ない。 ●利用できなかった糖が血中に溜まり高血糖の状態が続く。 ●糖が血中に溜まった結果、血管や神経がいたみ、様々な合併症を引き起こす。 |
糖尿病は一度発症すると、完全に治るということがほとんどありません。 (猫ちゃんの場合、発症原因によって、あるいは何故だか解らぬままに、突然インシュリン治療が不要になるケースもあります)。 インスリンを分泌する細胞(膵臓)が壊れると元の良い状態にまでは戻りにくいからです。初期〜中期の段階では猫ちゃん自身にも自覚症状があまりなく、又、家族の方が接している中でも気づきにくいのです。定期検診などで初めて気づくことが多いと思います。自覚症状が出たり、ご家族が気づくような状態になると、合併症が進行していることも少なくありません。早めに病気に気づき、適切な治療などを行えば、健康な猫ちゃんとと同じような生活を送り、同じような寿命を全うすることは十分可能だと私は信じています。糖尿病は「上手に一生付き合う病気」なのです。 |
糖尿病には大きく分けて4つのタイプがあります。 |
インシュリンを分泌するランゲルハンス島β細胞の大部分が破壊され、自分でインシュリンをつくれなくなることが多く、インシュリン注射が不可欠です。 |
もともとの素質に、食べ過ぎ、運動不足、肥満、加齢、ストレスなどが加わって発症します。すい臓のランゲルハンス島β細胞の機能が落ちて、食後すぐインシュリンが分泌(追加分泌)されなかったり、分泌量が少なくなります。食事療法や運動、経口薬やインスリン注射を組み合わせての治療方法があります。 |
元気は「1型糖尿病」です。このホームページでは、1型糖尿病を中心にお話をすすめていきます。 |
糖質、たんぱく質、脂肪、これらの三大栄養素が消化・吸収されると、肝臓でブドウ糖(血糖)が合成されます。血糖は体にとって最も重要なエネルギー源であり、体温を維持したり、筋肉を動かしたり、脳細胞が働くために利用されます。 筋肉や肝臓が血糖を利用する際、インシュリンというホルモンが重要な役割を果たします。インシュリンは、膵臓のランゲルハンス島という細胞でつくられ、血糖に応じて分泌されます。血中のインシュリンが増えると、筋肉細胞で血糖の消費が促進され、肝臓や脂肪細胞では血糖をグリコーゲンや脂肪の形で蓄えるのです。この作用は、細胞の表面にある受容体(鍵穴のようなもの)にインシュリンがくっつくことで、細胞が刺激を受けて起こります。 |
健康な子では、インシュリンの分泌は一定パターンです。24時間ほぼ一定量に保たれている分泌があり、これが「基礎分泌」です。 お食事をして血液中のブドウ糖の量が増え、その増加に応じてに分泌される分、これを「追加分泌」といいます。 「追加分泌」によりエネルギーとしてすぐ利用される以外のブドウ糖は肝臓でグリコーゲンとして、あるいは脂肪細胞で脂肪として蓄えられます。そして、血液中のブドウ糖濃度が下がると、この「追加分泌」は次第に低下してゆくわけです。 一方、食事から時間がたって血液中のブドウ糖濃度が一定の水準になると、今度はグルカゴンという血糖を上昇させるホルモンなどが分泌され、肝臓に蓄えられたグリコーゲンなどが分解されます。 このようにインシュリンを中心に、その他ホルモンの作用によって血液中のブドウ糖濃度は一定に保たれます。 インシュリンが不足すると、血糖を消費したり蓄えたりする仕組みがうまく機能しなくなります。その結果、血中にいつまでも血糖がたまっている状態(高血糖)が続き、糖尿病につながります。 高血糖が慢性的に長く続くと、恐ろしい合併症が起こる確率が高まります。 |
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合併症には大きく分けて、急性合併症と慢性合併症があります。 急性合併症の代表が、糖尿病性昏睡です。長い期間継続的に、または急激に血糖値が上がることで意識を失い、命にも関わります。 これに対し、慢性合併症は気づかないうちに進行している、神経・網膜、腎臓、などにじわじわと現われるものです。 糖尿病神経障害は比較的早くから現れ、手足の痺れ・痛みなど、猫ちゃんは何か手足に「違和感があるよぉ!」という様子を見せます。悪化すると、ちょっとした傷ややけどが治りにくく、これがきっかけで壊疽になることもあります。 糖尿病網膜症は眼底の血管がつまったり出血したりするもので、失明の危険をはらみます。 糖尿病腎症は、血液をろ過する腎臓のフィルターの目が粗くなったり、目詰まりするものです。その結果、体がむくみ、尿に出るべき毒素が体内に溜まってしまうようになります(腎不全)。腎不全が進行すると人工透析が必要になりますが、猫ちゃんの人工透析の例は、まだまだごく僅かです。 更に高血圧や高脂血症と同じように、動脈硬化の進行を早める要因にもなるのです。動脈硬化が進むと、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などが起こりやすくなります。 ![]() 現在('06.01)、元気が起こしている合併症は、『白内障』『慢性腎不全』です。 白内障には『タチオン』と言う目薬が有効だと言われてきましたが、人間の医学界で、実は殆ど効果は無い、と言う発表がありました。 眼科専門の獣医さん、数少ないですが、いらっしゃるので、手術は可能ですが、糖尿病では麻酔の危険性があります。 慢性腎不全ですが、予兆が発見しにくく、血液検査でのBUNとクレアチニンの値で気付く場合が多いようです。 治る事はなかなか難しいのですが、正常値に近いレベルでの『維持』は、お手当てにより、可能です。 |
猫ちゃんの糖尿病の早期発見はとても難しいように思われますが、普段から頭の片隅に「糖尿病」の文字を置いておけば、思いのほか、簡単かもしれません。 猫ちゃんに於いては、血糖は食事(時間・量)やストレス(通院など)などで一時的に高る場合がしばしば見られます。 又、例えば皮膚病などでステロイド投与の治療を受けていた猫ちゃんは、ステロイド医原の糖尿病になることもあります。 いずれにしても、健康診断などの際に、「糖尿病の疑いがある」「糖尿病の一歩手前」などと診断された場合は、すぐに掛かりつけの獣医さんの指導のもと、より正確な検査を受け、早めに治療を始めたほうが良いでしょう。 健康診断で「糖尿予備軍」「ストレスによる一過性の高血糖」などといわれた場合でも、念のため、半年おきくらい(猫ちゃんの年齢にもよる)に検査を受けるか、自宅で尿糖をチェックしましょう。「糖尿予備軍」の段階で手を打つかどうかも、その後の猫ちゃんの人生?に大きな差が出ると思います。 猫ちゃんの、こんな行動に気づいたら、すぐ病院で検査を! *喉がすぐ渇き水をよく飲む。(量・回数とも) *おしっこが多くなる(量・回数とも) *なんとなく元気がない *「ちょうだいな、ちょうだいな」とよくお食事を欲しがり、食べるのに体重がむしろ減る *普段、およそ口をつけないようなお食事にまで食べたがる(嗜好の変化) *手足の動きがぎこちない感じがする(痺れている) *何か見えにくそう・・・ *ちょっとした傷が治りにくい *性機能が弱まっている(ED) など・・・ |