パロディ・ソングとアンサー・ソング

 カントリーでは、「お笑い」が重要な一要素になっている。オーブリィにおいもミニー・パールやアーチー・キャンベルなどのように、歌は全く歌わずに、合い間に息抜きとしてジョークなどのおシャベリをするだけである。日本の寄席における色物と同じような感覚がおもしろい
 西部開拓時代に夕餉のひとときに音楽と一緒に、ホラ話(Tall Tales)で疲れをいやす伝統から来ているのだろう。ジョークの中には、歌やその主人公の後日談もある。そのほかに返答歌(アンサー・ソング)やパロディ・ソングがお笑いのネタとして長い歴史を持っている。
 お笑い専門のタレントもいるが、有名な歌手が別名でパロディ・ソング(替え唄)を歌っている。サイモン・クラムやベン・コルダーという名前を知っていますか。

パロディ・ソング

  パロディ・ソングは、本歌の題名をもじって、歌詞をおもしろく変えたもので、本歌とは関係ない歌詞になっているものも、本歌の歌詞をもじったものもある。ジミー・ロジャースの"T.B. Blues"の替え唄"TV Blues"(グランパー・ジョーンズ)ては、新しいテレビを買ったことをテーマにしている。本歌のTB(結核)とは全く関係なく、しかもジミーの暗いイメージとは全く違う明るい歌にしている。


ベン・コルダー
ホーマーとジェスロ
サイモン・クラム
レッドとアニー
Ben Colder(ベン・コルダー)
 ケーーリー・クーパー主演の映画「真昼の決闘(High Noon)」での殺し屋ベン・ミラーやテレビ初期の西部劇「ローハイド(Rawhide)」の準主役ピート・ノーラン役の、カントリー歌手シェブ・ウーリー(Sheb Wooley)がパロディ・ソングを歌うときの名前がベン・コーダルである。写真を見るとコメディ用の顔で歌っている。
 ベン・コルダー名義の歌は、1962年12月に最初の録音を行ったが、その後10年間の過半数はベン・コルダーになっている。EPを含めて10枚近いアルバムを出している。コミック・ソングに対する要望が多いのだろう。
 タイトルを見て本歌がわかるものと想像が付かないものとがある。タイトルを見ただけで思わず笑ってしまうものもある。"Don't Take Your Cash To Town, John"はJohnny Cashをそのままもじっているのがみえみえ。
 パロディといっても英語のままでは笑えない。上は「シェブ・ウーリーの贈り物」と題して日本で発売されたもの。英語と日本語訳が添付されているので、これなら分かりやすい。
 ベア・ファミリーから出たBen Colder & Others(BCD 16329)は14曲とオリジナル曲とが対になっている。両方の歌詞が載っているので、英語に堪能な人には楽しめると思う。ジョニー・プレストンのインディアンの若者を歌った"Running Bear"は、"Runnin' Bare"(裸で走る)となる。ベンが下着1枚で駆けだしている写真付きで、「風呂でシャワーを浴びていると、火事になったので、裸で表へ飛び出した・・」。
 ベン・コルダーの歌詞は、本歌とは関係なく、タイトルにあわせて自由に作られている。
   

Spoofing!
The Big Ones(邦)



Warming Up To
Homer and Jethro(ホーマーとジェスロ)
 カントリーだけではなく、ポピュラー分野の歌でも笑い飛ばしてしまう。右のLPには子犬のワルツ(パティ・ページ)やShe Loves You(ビートルズ)が収録されている。
 このチームの特徴は、比較的原詞を忠実(?)にパロディにしている。曲の解説と付録の歌詞カードを読みながら聞くと、おもしろさがわかる。
 しかしこの二人は、ホーマー・ヘインズ(ギター)およびジェスロ・バーンズ(マンドリン)と、楽器の名手でもある。チェット・アトキンスなどと一緒のCountry All Stars(ベア・ファミリー:BCD 15728)でその腕前を聞くことができる。またジェスロは近年、ジャズ・マンドリン奏者として評価されている。

笑うウエスタン
(傑作大会)
Simon Crum(サイモン・クラム)
 これも大物歌手、"Gone"や"Wings of a Dove"などのヒットで知られるファーリン・ハスキー(Ferlin Husky)です。
 コミック・ソングとしてのアルバムは1枚しか発表されていませんし、日本ではオムニバス盤などで2曲ほど聴くことができます。
 "Country Music Is Here to Stay"や"Country Music Fiddfe"です。これらの曲ではK.ウェルズ、R.エイカフなどの物まねをしていて、こらが結構似ています。
 ステージでは、帽子を横にかぶって出てきます。
Red and Ernie(レッドとアニー)
 さてこれは誰でしょう。
 レッド・フォーリートアーネスト・タブという大物歌手のデュエットであるが、本当の意味のお笑い盤ではない。
 しかし、このアルバムには"Tennessee Border #2"(ホーマとジェスロも上のアルバムで歌っている)や "Hillbilly Feaver #2"などの替え唄や、"Too Old to Cut the Mustard"などコミカルな内容の曲やギャグでちゃかしあったりしている曲など、愉快な1枚である。
 
Red and Ernie