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嫉 妬
前編
アイツのモノだから奪ってやりたくなったんだ――
相変わらず逃げ回って捕まらない丹羽の代わりに、たまたま廊下を歩いていた伊藤を引っ張り込んだ
「悪いな、伊藤。」
「いえ、いいですよ! 俺でお役に立てるなら…」
「今日は、アイツの所に行かなくてよかったのか?」
伊藤は今、女王様の犬と付き合っている
「大丈夫ですよ、今日は元々レポートをやるので会計部には行けないって言ってありますから」
「レポート? 終わったのか?」
「はい、あまりに早く終わったんで、これから行こうと思ってたところなんです」
「悪かったな」
「いえ、俺、向こうに行っても特にやること無いですから」
「ほぅ、それは嫌味か? 伊藤も言うようになったな… それともヤツの入れ知恵か?」
「いえっ!そんなつもりじゃ…」
慌てて、答える伊藤の姿を見るのは楽しかった
つい、からかってしまう
「冗談だ。そこの棚から、この資料を取ってくれ」
「…はい」
からかわれた事に気付き、伊藤は顔を赤らめながら席を立つ
その時、振り返った伊藤のうなじに目が留まった
襟から見え隠れする紅い印――
それを見たら何故か無性に腹が立った
伊藤がアイツのモノだというのはとっくに知っていたはずなのに……
自分で見えないところに痕を残すあたり、アイツの性格の悪さが滲み出ている。
『虫除けか…』
一生懸命、資料を探している伊藤にそっと近付いた
「昨日も抱かれたのか? 痕が残ってるぞ」
言いながら、うなじの痕を指でなぞった
「えっ!?」
伊藤の顔が一瞬にして真っ赤に染まる。そして、慌てて指でなぞった所を手で隠した
まだ、初々しい反応を見せる伊藤に欲情した。 まだ、完全にアイツのモノではないのだろうかと、淡い期待も浮かぶ
こんなに可愛がっている伊藤を獲られたら…アイツはさぞ、悔しがるだろうな……
「……アイツのモノは奪ってみたくなるんだよ…」
「…えっ?」
俺の声が聞き取れなかったのか、俯いていた伊藤は顔を上げた
「……っ」
俺の発する不穏な空気を感じ取ったのか身じろぎする
「…期待しているのか?」
「………っ?!」
嫌がる伊藤のネクタイを解き、ブレザーを剥ぎ取り、Yシャツの前を左右に裂いた
そこに残る無数の情事の痕―――
「……いやだっ!!」
暴れる伊藤の手首をネクタイで縛った
「やめて下さい! こんなっ…」
「そうだな……」
一度、手を緩めると、伊藤がそっと安堵の息を吐いたのが分かった
「………こんな、立ったままじゃ…ヤりにくいな」
「……えっ?」
強引に手首を引っ張って、ソファーに押し倒した
驚いて目を見開いている伊藤に追い討ちを掛ける
「…俺がやめるとでも思ったか?」
見開かれた瞳―― 今、その瞳には俺しか映っていない―――
「……っん…ふ…」
健気に声を殺している姿に嫉妬した……それが、アイツの為だと分かっている
だから、ムカついて歯止めが効かなくなる
「…も、やめて………中嶋さっ…」
「好きでもない男に弄られて、こんなにしてるなんて…伊藤は随分と淫乱だったんだな」
そう言って、内の指を動かす
「やっ!……あ………うぅ…」
抑えきれない声が漏れる
「隠すな、啓太。 もっと聞かせろ」
「やぁっ……あ、……ん…」
弱いところばかり責めてやると、快楽の滲んだ声をあげた
「そうだ、もっと啼け」
指を抜いた後腔に俺の昂りを押し付けた
「いやぁぁぁ……!!」
感覚で何をされるか分かったらしい伊藤が、激しく抵抗する
「やだぁ!!…や、……いやっ!!」
手首を縛られたままでは大した抵抗にもならず、俺は悲痛な叫びを上げている伊藤をそのまま割り開いた
「やぁぁぁぁっ……!!」
涙でぐちゃぐちゃになりながら、声を嗄らして抵抗する伊藤に無理やり雄を捩じ込む
「…っ」
思ったより狭いソコは俺を拒んでいるようだった
「うぅ……ふぅ、…んんっ…」
縛られた両手で必死に口元を押さえ、声を抑えている姿に欲情した
アイツのことを考えながら、俺で感じて身悶えている姿は俺をさらに煽った
「…もう、イきたそうじゃないか……」
蜜を零して震えているモノを扱いてやる
「んんんっ!……っうぅん…」
同時に腰を大きく動かす
「やぁぁぁぁっ…!!」
抑えきれなかった声と同時に伊藤は果てた
「…っ!」
イった反動で締め付けられ、俺も伊藤の内に白濁を注いだ
『………七条さんっ…』
伊藤は意識を飛ばす寸前、俺にも聞こえないような声でヤツの名を呼んだ――
俺は、抱いた証を左の首筋にくっきりと残した
穢れた身体を適当に拭き、服を整えてやっていると、伊藤が目を覚ました
隣にいるのが俺だと分かると、ビクッと身体を震わせ後退った
「………何で……」
自分の身体を抱くように蹲って震えている……絞り出した声も震えていた
「……何で、こんな事っ…」
涙で濡れた目で一瞬俺を見て、そう言うと逃げるように生徒会室から出て行った
ソファーの上には緑色のネクタイだけが残されていた―――
「啓太、お前ネクタイどうしたんだよ?」
「えっ……あぁ、今日は偶々忘れただけだよ」
啓太の煮え切らない返事に訝しむ和希
「そうか? 何かあんまり元気も無いようだけど……」
「大丈夫、何にもないって!」
明らかに空元気だが、和希は気付かない振りをして話を続ける
「本当か? 今朝は七条さんとも一緒じゃ無かったし……喧嘩でもしたのか?」
「…たまには、一緒じゃない時もあるよ …心配性だな、和希は」
誤魔化してはいるものの啓太が七条を避けているのは事実だった
でも、それは七条さんの所為ではなくて……俺が七条さん以外の人に抱かれてしまったから―
そんな事を知ったら…七条さんに嫌われてしまう………
相手は…あの人なんだから……七条さんが許してくれるはずがない―――
七条は教室に何度も来たが、その度に啓太は逃げ回り、一日中会わないようにしていた
しかし、夕食だけは寮で食べるしかなく…………会ってしまった
なるべく、会わないように一番最初に食堂に向かったのに………
いつもなら、会わないはずだった
いつもなら、まだ会計部にいるはずの時間なのに……
「………何…で?」
啓太は思わず、食堂の入り口で踵を返し、部屋に引き返してしまった
『……伊藤くん?』
目が合った途端、逃げるように戻ってしまった啓太を七条は呆然と見送っていた
朝、いつものように迎えに行ったら、部屋は蛻の殻で……それは、偶然かと思っていたのだが
昼間といい、今といい…完璧に避けられているようだった
『…それほど、嫌われるようなことを彼にしてしまったんでしょうか…?』
考えを巡らし、立ち尽くしている七条の元に歩み寄ってくる人物がいた
「伊藤は、お前に何も言わなかったらしいな」
二人の様子を見ていたらしい中嶋が声を掛けてきた
「何か…ご存じなんですか?」
良くない予感を感じつつも…そう尋ねずにはいられなかった
「あまりに物欲しそうな顔をするんで、抱いてやった」
「っ!……あなたって人はどこまで腐ってるんですか」
そんな七条の反応を愉しむかのように言葉を繋げた
「あぁ、そうだ…これを伊藤に返しておいてくれるか? 忘れ物だ」
そう言って中嶋が手渡した物は、緑のネクタイだった…
「……っ」
よく見るとそれには微かだが血が滲んでいた――
それを見た瞬間、七条は中嶋にお決まりの嫌味の一つも言わずに、慌てて啓太を追いかけた
「…ふんっ」
笑みを浮かべたはずの中嶋の顔は…苦渋に満ちていた―――
『……本当は、教えてやるつもりはなかったんだがな…』
深い溜息を吐きながら、眼鏡を押し上げる
『啓太があんなに思い詰めるとは……』
今日の啓太の顔を見たら……言わずにはいられなかった――――
アトガキ
順番おかしいですが………実は…学ヘヴで一番最初に書いたモノです………
さすがに、初っ端からコレじゃマズイ…と思い、慌てて甘々な話を書きました……(死)
甘々は好きなんです!! …好きなんですが……思いつくのは…こっちなんです…(泣)
何故か……鬼畜に走ってしまう…今日この頃…
鬼畜になりきれていない中嶋ンが好きですよ…
(突然、アトガキっぽくなった…)
2005.11.27

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