通過点




 「あなたは初めてではないのですね。」


 いつか君も、誰かに同じ質問を突きつけられる日が来るかもしれないね。
 そのとき何て答える?
 私の記憶を抹消する?全部正直に話す?うまい具合にはぐらかす?


 「俺は何人目ですか?」


 聞きたくないのに聞かずにいられない衝動に支配されて。
 なるたけ小さな数字が出てくることを期待して。


 私もこんなに思いつめた顔をしていたのだろうか。


 「……。」


 あのとき私は泣けてきたけれど、君は黙り込むのだね。
 あのとき私は許せなかったけれど、君は許そうとしてくれている。


 自分は初めてなのに相手は初めてじゃないのと、
 自分は初めてじゃないのに相手は初めてなのとでは、
 どちらがよりつらいのだろう。


 こっちは最後のつもりでも、君には多分通過点。


 いつか君も、今日のことを振り返る日が来るかもしれないね。
 そのとき胸が痛んだら、僅かばかりでも気付いてくれるか?
 私も同じように苦しかったのだと。


 今、思い知る。


 あの人も同じように苦しかったのだ。







 20040510




 年の差…つまり恋愛経験に差があるが故の苦しみ。
 って私、知らないのですが、こんな感じなのかな。暴走する妄想。


 ところでムウ様っ…「あの人」って…誰ですか…?
 a.偉大なる師シオン b.隣のアルデバラン c.修復依頼にやってきた年上の女聖闘士


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