長時間連続で使用するFMチューナ
はバリコンを使わずにデジタル回路により周波数をロックすることが必要なため、この本無しには当サイトで使用しているPLL方式のチューナを製作すること
は殆ど不可能でした。 この場を借りて著者の鈴木憲次氏に謝意を表したいと思います。 |
出版され
てから20年程になり、記述されているパーツの入手が難しくなっていることが残念ですが、FMフロントエンドのPLL−ICのMC145163P等はサ
トー電気で扱われており、局発信号を分周するプリスケーラは入手が難しいTD6102Pの替わりにTD7104を使用することで未だ製作可能です。尚、フ
ロントエンド、IF段で使用するコイルはFCZ研究所のもので、部品の入手難で今年の5月末で生産中止になってしまいましたが流通在庫は有るようで
す。他社製の80MHzのコイルは秋葉原ラジオデパート一階のアイコー電子で見かけました。 |
2001年に初版が発行されていますので、阪神淡路大震災(兵庫県南部
地震)に関する興味深い内容が記述されています。電波観測に関しては、VLF帯の複数の観測結果(畑、尾池、藤縄各氏による)において1995年1月9日
から10日にかけて変動が有ったことが記述されています(27ページの図2−4)。 この点からすると、地震の8日から7日程前に電磁気学的に大きな変化
が
有ったと考えられます。 |
所謂見通し外FM電波の観測(当サイトの方法)については八ヶ岳南麓天
文台の串田氏が有名であり、この本の第4章でも詳しく記述されています。 阪神淡路大震災の直前の1月15日と16日に観測データの基線幅(信号レベルの
小刻みな変動の振幅)の変化が生じたこと等で、その後基線幅に基づく「予知」が行われたものと推測します。 串田氏の方法はFMチューナのセンターメータ
(正
確に同調しているときは表示がゼロになる) のための信号を用いていること (従って、敢えて同調をずらす必要が有る) や指向性の鋭い多素子アンテナを
放
送局の方向とは異なる天頂に向けていること (週刊誌等の写真による) など、改善の余地が有ると感じていました。 また、134ページの概念図にあるように放送局と受信局の間に挟まれた位置の震源からの影響をモニターするという原理からすると、仮に震源が関東から東海 地方 の沿岸部に有ったと仮定すると、山梨県にある八ヶ岳(受信局)で受信する電波は太平洋上にある局からの放送波になります。 従って、沿岸部の地震に関して 内陸側で放送電波を受信するのは不利であると思われます。 |
初版発行は平成9年3月19日 多数の著者による非常に中身の濃い本
で、コメントするには内容が多く選びようが無い気がします。 |
例えば、東海地震で予想される津波に関して複数のモデルが示されており
最短到達時間は2分、最大高さは11メートルであると読取れます(103頁、105頁の図表から)。 首都圏については防災科学技術研究所による地震デー
タに基づく地下構造の図(63、64頁)等が参考になります。 |