ソーラーシステム 



元々は2002年頃から独立型のソーラー発電システム(蓄電タイプ)を設置して改良を試みてきましたが、2010年9月に新たに市販の系統連携型 ソーラー システムを設置しましたので、この頁ではこの2つについて紹介します。

系統連携型ソー ラー発電システム
Controlpanel
系統連携型ソーラーシステムは一般に良く知られたものです が、屋根に設 置したソーラーパネルからの直流電力をパワーコンディショナと呼ばれる変換装置で100Vの交流電力に変換し、自己消費した 残りの電力を電力網に送出する ものです。 従って、電力網(当地では東京電力)に接続する部分では電力会社からの電力が流れ込む(住宅側からみて)ととも に、余剰電力が有るときは太陽 光で発電したパワーコンディショナからの電力が電力網に流れ出すようになっています。
上の写真は室内に設置したパワーコンディショナのリモコン部分(通常は全て自動で動作しているため、表示内容を選択すること が主な動作です)の表示を示し ており、2012年11月27日の1時間毎の発電量(緑の棒グラフ)と同じく1時間毎の電力消費(青の点線)を示していま す。太陽高度が下がる時期ですが 晴天の日は充分な量の発電が有ります。
設置後これまでの自家発電量と家全体の電力消費量の関係は自 給率にして120%程度で した。
全体としては12月と1月を除いてソーラーシステムによる発電量が消費量を上回っており、特に7月8月の一般に冷房が使用さ れる時間帯にも発電量が大き く消費を上回っています。
2011年は東京電力による計画停電や夏期の節電要請が有りましたが、当ソーラーシステムはクーラーのための電力を殆ど電力 網に依 存せず、それだけでなく、余剰の電力を電力網に供給することができました。これにより石油や天然ガスの消費の削減に貢献でき たと思います。
住宅用ソーラーシステムによる上記の効果が殆ど話題に されていない気が します。電力需要のピークを押し下げ、発電所の能力に余裕を持たすことができることがもっと認識されても良いと思いま す。
ソーラーシステムのパワーコンディショナは電力会社からの 供給電圧 (101V+−6V)より高い電圧を発生して送電ラインに戻すように動作しており、供給電圧が高い場合には太陽光で発電した 電力が電力網に流れないのでは ないかという点が話題になってきているようです。
この点について考えると、先ず、その地域の電力網の設定電圧が高めである場合など、パワーコンディショナからの電力が流れな い(設定電圧以上になると電力 の送出が抑制、停止される)可能性も考えられると思われます。
ここで、変電所からの電力を家庭用の100V、200Vの電力に変換している柱上変圧器の存在について考えると、2次側の電 圧(100V、200V)が上 昇しようとした場合、1次側(6600V)に吸収されて電圧の上昇が抑制されるということが考えられます。
ただし、柱上変圧器からの電線の許容電流が低いと末端側の電圧が変動し易くなり、パワーコンディショナからの電力によって電 圧が上昇することも考えられま す。従って、電気的にパワーコンディショナの近くでの電力消費が少ない場合、柱上変圧器からの電線の容量による変動が少ない 方が確実にパワーコンディショ ナから電力を電力網に送出できると思われます。
以上の点は推測ですので、実際は他の要因についても考慮すべきかも知れません。

独立型ソーラーシステム
ソーラーパネル配電盤システム本体
上で説明した系統連携シス テムとは 異なり、電力網とは繋がっていません。その代わり、鉛蓄電池に蓄電して夜間でも使用できるようになっています。
中央の写真が配電盤ですが、一般的なチャージコントローラーは使用せずに独自の回路構成を用いています。
バッテリーボックスが古くなっていましたので本年5月に更新しました(写真右)。中味はディープサイクルバッテリー (EB50−HIC−60−P)が2個入っています。
直列接続で得た24Vの電力を家の外壁に沿ったケーブルを介して1階に供給し、蛍光灯の点灯に使用しています。停電になっても バッテ リーからの直流が供給された場所では照明が確保できます。
ソーラー パネルは昭和シェル製のGT133という50Wのタイプを2枚使用していますが、上述の系統連携型のシステムの導入に伴い、屋根 上に設置していたものをバ ルコニーに移動しました。
前に使用していたディープサイクルバッテリーは2004年 から使い続けたため、 11月に入って気温の低下と ともに容量が不充分になり、リタイアさせました。これは所謂サルフェーションという状態が進み、実際に使用される極板の面積が減っているこ とが原因と考えられます。

デサルフェータ
パルサー
この問題に対処するために、デサルフェータと呼ばれるパルス発 生器が有 り、市販もされていますが、比較的単純な回路構成であるため、自作して他のバッテリーで試験してきました。このほど、上記のバッ テリーの劣化が進んだた め、 デサルフェーターの回路を見直し、パルスを強力化したものをディープサイクルバッテリーに取り付けました。
上の写真はバッテリーに取り付ける直前のものですが、以下の点 で改良し ました。
@ インダクタ(220μH)の一端と接地(グラウンド)の間に挿入されるスイッチ素子(N−channel FET)を 2SK2231から 2SK2382(何れも東芝製)に変更。
2SK2231は入力容量が370pFと非常に低く、FETオフ時のスピードを早することを狙って選択したものですが、オン抵抗 が比較的高く(0.3 オーム)、インダクタへの電流が制限されていた可能性もあります。2SK2382は入力容量は大きく(2000pF)なります が、オン抵抗は約半分(0. 13オーム)であり、下記Aのゲート駆動方式の変更により高速化が可能と思われます。
A これまで、FETのゲートのオフ時の速度は入力抵抗に並列にダイオードを挿入すること等により高速化をはかってきました。今 回、タイマー ICNE555 (CN)の出力とスイッチ用FETのゲートの間にPNPトランジスタ(2SA1015)を挿入して高速化する方式を採用しまし た。
以上の結果、インダクタの電力をバッテリーターミナルに接続する高速ダイオード(31DF2を使用)の端子を挟む部分で測定した パルス波高が2倍以上にな り、改善の効果が有ったと思われます。
デサルフェータを自作される方へ
上記の自作デサルフェータ(パルサー)の回路は元々は米国のアラスタイアクーパー(Alastiar Couper)氏の 2000年6−7月の雑誌への投 稿記事を紹介した「DIYパル サー」さんのサイトの回路を 使わせて頂きました。上記のサイトは現在は存在しませんが、ここで謝意を表したいと思います。
尚、インダクタはサトー電気で購入した小鼓型コアボビンに0.4mm径のウレタン線を2m程巻いたものです。写真の下の基板では TDKのコアに271とい う表示が有りますが、リッツ線を使用して巻き直したもので何れも250μH程の容量です。サトー電気のコアは上記の線材を上記の 長さで巻けばおよそ 200μHを超える容量が得られると思います。
InductanceMeter

インダクタの容量の測定は誠文堂新光社の大人の工作読本No.7に有った簡易インダクタメータの記事の通りに作成したものを使用 しました。外形デザインは 変更し、抵抗のカラーコードで読むようにしたものです が、非常に使いでがあり、こ れ無しには種々の工作を行うことはできませんでした。著者の松本悟氏に謝意を表したいと思います。
上記のようにFETの選択やその制御、やインダクタに接続するダイオードの特性などにより性能が大きく変わると思われます。
オシログラフで波形を観測して確認するのが良いと思いますが、屋外での簡易的な測定方法としてはダイオードと容量を組み合わせて 保持したピーク電位を測定 することでスイッチング回路以降の回路部分の動作状態を知ることも可能です。





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