tell a graphic lie
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(2001.10.16)-1
銀盤一枚に詰め込まれてしまう。たかだか。よろしい。もって行け。引きずるものもあるのだから。くすむまで。
(2001.10.16)-2
簡単なパズルだ。けれど、ぼくはつけ間違えた。ここをひとつの言葉で埋め尽くしたい。
(2001.10.16)-3
機械で巻かれた細い糸束を急に手渡されても、ぼくはきちんと掴んでいられない。散らばってしまう。ぼくはおろつきながらそれを眺めるだけであり、あなたは落ち着き払ってそのぼくを眺めている。 すがりかたをすらきちんと持っていないぼくは無表情になる他なく、ちらりと一度だけ、これは誰のせいだ、と思う。掌には3本だけしか残らなかった。ぼくはそれをじっと見つめていた。顔を上げるのが怖かったのだ。
(2001.10.16)-4
あなたを呼ぶための声がどこにも見当たらないのです。何所へやってしまったのでしょう。落としたのかしら。遠い昔には確かにこの真中の片隅で握り締めて、大事に時を過ごした記憶があるのですが。 でも、それでいいのかも知れない。ぼくの声はときどき堪らなくよじれているように思えるのです。
(2001.10.16)-5
背中、小さくなってゆけばいい。胸はつぶされればいい。呼吸の中へ血を混ぜて硬い赤色をしたその霧を自ら浴びよう。
(2001.10.16)-6
緋。卑怯にも最大の賛辞でもってぼくは君を切り離し、ゆるりとヘドロの中へ沈み込んだ。そして、胃をそれで満たしてこの身体を二度と君とは交われないものにした。 ぼくは勝ち誇って、そういう笑みを浮かべる。君が泣けばいいんだ。君は泣けばいい。ぼくは、笑う。緋。
(2001.10.16)-7
あー、だめかな。間違ってんかな。基準がない。違う人間に書かせているみたいだ。
(2001.10.16)-8
thin live lying
(2001.10.16)-9
最後に触れたところ。光を帯びています。あなたが好きだった色の光です。そう、撫でても消えないよ。この内側からね、光っているの。ほら、ね。。。ねぇ、見に来てよ。お願いよ。ここから子ができるわ。お願いよ。
(2001.10.16)-10
碧。ぼくの思いは2乗で溢れた。最も愛しく思っている部分までも、欠点として転化させる驚くべき怜悧な頭脳を珍しく得た。 ぼくはぼくをも同時におとしめ、侮蔑しているにも関わらず、それを誰にも気付かせない、完成された一連の隙のない言葉を吐いた。 それは君の防御を打ち砕き、巧みに絡みつき縛り上げた上で、引き裂くか打ち砕くかをした。泣くことすら許可しなかった。悲しむことも許可しなかった。 ただ、憎しみだけを与えた。君が得た後悔といえば、ぼくと過ごした時間、だけであった。さようなら、愛しているよ。碧。
(2001.10.16)-11
屈折して像は歪む。こちらが正しいかもしれない。もしくはその真逆か。
(2001.10.16)-12
これを何で守って暮らすのか知っていますか。実に煩雑で個人的な理由で繋がっているのです。 張巡らされた地下茎はあらゆる地下水系に伸び、その全ての匂いと味と色と温度と濁りを運んでくる。 ぼくは忘れていないから、その中のひとつからあなたを汲み取っていることを知っている。 だって、暖かいからすぐにわかるんだよ。
(2001.10.16)-13
特化。
(2001.10.17)-1
受け取りもしない。与えもしない。取り出すだけ。思うだけ。。。。。メディア、か。
(2001.10.17)-2
捨てられるもの。捨てられないもの。捨てられないものを守るための生活は捨てられるものを捨てさせる。それを見分ける嗅覚が研かれる。捨てられるものはきっちりと捨てられるだけ捨ててしまうのがよろしい。それは常に最高度の決断をもって行うべき事柄だ。そしてそれは同時に望むものを得るための行程のひとつでもある。
(2001.10.17)-3
というようなことを考えているときにいつも思い出すのは奥田民生の歌。ほとんど聴かないのだけれど、そのフレーズだけは大切に持ち歩いている。
(2001.10.17)-4
つまり一度で十分だったのだ。死ぬほどかっこいい。妬ける。だから聴かない。
(2001.10.17)-5
ここを通さないものは許可できない。ここに触れないものは容認できない。多少なびいてまた元に戻す。そういう結果になる。
(2001.10.17)-6
ああ、君は要るんだ。って、そんなのわかるか。スマン、言っときたかっただけだ。
(2001.10.17)-7
さて、ぼくはぼくのやり方で行かねばならぬ。あのように素晴らしく美しく明快に、というわけには参らねども。
(2001.10.17)-8
業突く張りなぼくらの煩悩に是非光や祝福が下りますように。ねぇ、それを要求していく。多分それでようやく君を愛する準備が整う。無関係に見えるものほどいちいち取り立てて確認しなければ。ぼくは頭が悪いから全部結び付けないとやっていけない。
(2001.10.17)-9
例えば最終兵器を持つことによって初めて殺戮というものを本気で取り扱わねばならなくなったりする。ぶっ放したいやつはぶっ放せばいいんだ。俺は使わねぇ。
(2001.10.17)-10
しかし、そんな問題よりももっと重大な問題が目の前でぐでぐで寝転がって煙草吸ってやがる。おい!キサマ!いい気になるなよ。お前なんてそのうちケチョンケチョンにしてやるぜ!
(2001.10.17)-11
ぶひ
(2001.10.18)-1
仕方がない、触れたら握り締めねばなるまい。丁寧に削りだされた柱のように凛としていた。喜んで、ほろりと笑う。ぼくはぼくの熱の一部を伝え、代わりに濁りを飛ばしてもらう。 おかげで普段はなかなか言えないお礼をすんなりと言っていた。言い終えてからそのことに気付いて照れて笑った。ああ、素直で恥ずかしい。
(2001.10.18)-2
切れ端を集めて歩く。こんなものでも遠い先にはきっと何か地図のようなものが出来上がっているだろう。背中の壁に貼り付けてそれを背負っている気分でいよう。

でも、その場所が何所だかぼくは知らない。大きな町はどこで、森はどこで、山はどこで、川はどこで、暑いだの、寒いだの、風が強いだの、湿気が多いの少ないの、知ろうともしない。 人の数はいくらで、肌の色は何種類あるだとか、宗教は何とかというやつで、生活の豊かさや、言葉はどんなニュアンスなのかとか、文字は角張ったものなのか、それともふにゃふにゃしたものなのか。よく喋るのか。 社会としてみた場合にどんな問題があるのか。戦争はしているのか。階級はどの程度存在しているのか。自由はあるのか。秩序はあるのか。法律はどんなだ。搾取はあるのか。 どんなふうに動いて、例えば道はどうのとか、鉄道がどうのとか、港がどうのとか。だいたい何時に起きるものなのか、どれくらい働いて過ごしているのか。何を食って生きているのか。服装はどのようなものを着ているのか。 成人はいつなのか、若者には熱があるのか。平穏を装ってはいないのか。やはり男は強がってばかりで、女はヒステリックなものなのか。それでも連れ添わずにはおかないのか。子供は可愛くて憎らしいものなのか。 慎ましい家庭で一面満たされているのか。夜毎寒さに震え、泣き暮らすものはいないのか。死のうか迷うものに何か言葉はかけられているのか。それから、君はそのどこかにいるのか。。いないのか。

知ろうともしない。ただいつもぼくの背にある、大きな世界を模った絵だ。それだけ背負っている。
(2001.10.18)-3
綺麗な。本当にそう思うのだ。キュッとなって、それから。
(2001.10.18)-4
こむぴうたを駆使してやっている事と言えば、無知無恥低能煩悩本能。笑ろうてたもれ、キーボードのホームには赤と緑の蝶が貼り付けてあるのだ。撫でて過ごして、愛でる。
(2001.10.18)-5
泣かずにいればあなたは誉めてくださるかしら。
(2001.10.18)-6
途中下車して握手だけをして、また同じ列車に乗ってハイさようなら。大丈夫。手から伝わる温度と匂いと気持ちがある。でもできれば接吻もしたい。そう、接吻と書かざるを得ないくらいの古風で慎ましいものを。できるだけの照れ臭さを添えて。
(2001.10.18)-7
knights / 騎士は精神を捧げ、肉体は離しておくものだ。銀と鉛の合金でできた甲冑で主と契ることから物理的に自らを離しておくのだ。外面はできる限りの装飾を施し、主に相応しいものであろうとする。 しかし、その内側は決して完全には報われることのない繋がりを生涯をかけて一途に護り抜き、途絶えることのない煩悶の渦の中に自らを沈溺させる哀れで滑稽な一男子が詰まっているだけだ。 だからこそ彼らの行いは光り輝くし、惹きつけるものがあるのだ。剣と槍と甲冑と馬とわずかな土地と、気高き誇りと。たったそれだけしか与えられないというのに。
(2001.10.18)-8
何が、「死するとも我が忠誠は永久に」だ。そんなにぼくを泣かせたいのか。
(2001.10.18)-9
区切りなど、要らぬ。ライナーでいい。リニアか。ぼくは「ライナー」と読みたい。
(2001.10.18)-10
そうだ、繋がっていたのだ。ぼくからあなたへ。バカみたいだ。
(2001.10.19)-1
寒いね。ぼくは疲れきっていたよ。元気に笑えなかった。細い吐息のようなものしか出なかった。苛立って顔をしかめながら落ち着かず、貧乏ゆすりをしていた。「侵すな。」そればかり思っていた。しかしそれにしても恨めしいのは、コウイウトキデモハラガヘル!
(2001.10.19)-2
空腹のまま、それを押さえつけるようにうつ伏せになってうとうとと眠った。なんかに負けているとふらくらと思いながら、浅く眠った。勝ちたくもないのだが、負けると追い詰められる。重力を意識した。
(2001.10.19)-3
腹が減ると死にたくなくなる。肉体はやはり死を拒みたがるものであるらしい。満腹になって身体は身体で忙しくなり、ぼくに権限が戻ってくるとね、やはりね。
(2001.10.19)-4
まだ、たかが10日ちょっとなのだが、苦しい。底なんて見たくない。きっとパリパリに干乾びているのだろう。たどり着いて、ひび割れた地表を爪が剥がれてもがりがり掘り続ける。涙はすっと吸い込まれ、2秒で元通りの黄色い土となる。まだがりがり掘り続ける。日は暮れない、まだ掘り続ける。赤く膨れた太陽がいつまでも視界の隅に居る。掘る。渇いている。
(2001.10.19)-5
帰り道、何度か人にぶつかった。その度になぜだか相手が謝ってくれた。二度目からはぼくも「スイマセン」と言おうとしていたのだけれど、出てくるのは「スイマセン」という形をした息だった。 暗くて寒くて寂しくて。2m前だけを見て歩いた。電車の中では息を殺した。夜が許せなかったし、その中にいるぼくに腹を立てた。何でもよかったのかも知れないけれど。 東京は。東京というやつは。
(2001.10.19)-6
公園の、その入り口あたりの2本の木。それに巣を張る蜘蛛がいる。あるときは蝶などが貼り付いている。他には何も居ないときもある。見上げると浮いているように思える。雨の後は宮殿の広間に立っているのをテラスから眺めているような気になる。 蜘蛛はぼくはやはり女としてみる。彼女はいつも美しい。つ、とすましてそこにいる。その複眼で捉えた幾人ものぼくを彼女はその中でどんな人間に纏め上げているのだろう。風に、貼り付いていた雨粒が舞った。彼女は色を失いかけている夕闇の中に浮き上がった。 美しい八角形だった。
(2001.10.19)-7
君は新しい。変な話だが、君は新しいと思う。つまり、月並みでわかりやすい表現で言えば、ぼくは君を見るたびにいつもハッとさせられるのだ。表情が違うだけで、髪の長さが違うだけで、そう、ただ君が1分前の君ではないというだけで。ぼくはハッとする。おそるおそる眺めてみて毎度バカみたいにハッとする。君は新しい。変な話だ。変なぼくだ。
(2001.10.19)-8
識別コード : スズキキヨト
(2001.10.20)-1
 さてさて戦争の方はと言うと、そろそろアメリカの描いているビジョンがはっきりと見えてくる状態になってきた。今アメリカがやっている戦争というものに対してちょっと考えてみる。
 今回の戦争は「国家」対「国家」という図式が成り立たなくなったおそらく初めての「戦争」である。この場合の「国家」とは土地を領有し、その圏内において生活する住民から税金を取り立てることによって成り立っている組織を指す。そういった最低限の国家定義以下の組織とひとつの国家が「戦争」という形式を取ることは多分以前はありえなかった。 そういうものはおそらく、暴動だとか反乱だとかクーデターだとか革命だとかテロだとか、そういう名前が付けられるようなものであったように思われる。そういう状態が起こりえるのは、間接的には外部の組織なり国家なりが支援等を通じて介入することはあっても、以前は基本的に「国家」が領有している土地の内部でのみ発生しうるものであり、直接の相手は自国内にあった。しかしながら、今回はその組織が外部にあるのである。
 土地を持たないものに対しての「戦争」は極めて難しい。基本的に「戦争」というのは土地の争奪戦であるのだから、それはごく当然のことなのであるが、今回の「戦争」を考える場合にここにおいても従来型の「戦争」というものを適用してはならないらしい。 人間が生活する限り土地は必ず必要であり、それを一定に持たない組織に対して「戦争」をする場合の手順および決着のつけ方は、その組織が主だって存在する土地を所有する「国家」に対して戦争を仕掛け、その土地を領有する「国家」をすげ替える事によって、土地を明確に持たない相手組織の存在基盤を失わせようとするものであるらしい。
 そのような戦争においては、軍隊のなす役割は以前の戦争形態よりもより狭められることになる。これまでの軍隊の役割は「国家」対「国家」における戦争の決着をつけることであり、それ以外の部分は普通は治安、諜報部門や政治、外交が受け持つことである。新しい「戦争」にはそういった軍隊以外の部分が受け持つものが非常に大きくなってきている。 軍隊の持つ役割、すなわち土地の争奪戦を行うということ、において重要なのは相手の土地をこちらの兵士でうめつくすこと、つまり面で潰すことであり、そのような形の戦争をしなくなる、国境線自体はもう不変であるような戦争をする場合にはまとまった数の人員は極論すれば核弾頭1発で置き換えることができるのである。このため、今後軍隊の規模や人員数は更に減少することだろう。
 そういうわけで、戦争は今後、以前から言われているように表立っては殺人をしないような形式を取って行われるようになるのだろう。そのあたりはFiveStarStoriesがその究極を示しており、とても面白いと思うのであるが、その話はFiveStarStoriesを読めばいいだけであるので、しない。 とにかくこれからは土地を多く持ったり、人を殺したりすること以外で、自分の利益を拡大することができるようになる。それはいわゆる経済のグローバル化というやつで、「無理矢理そこに住むものを労働に駆り立てる」よりも、「正当な手続きを経て安い賃金で働かせる」ほうがより効率よく稼ぐことがいよいよ本格的にできるようになってきたということだ。 そういう意味では自前の軍隊を持たず(持ってるけど、今の状態では持っていないも同じだ)、アメリカの庇護下にありながら、このポスト戦争的な利権確保の手段を十分に行使しうる日本は、あの莫大な維持費および投資をしないで済む分、更にアメリカはその戦費および戦争の直接の相手となることによって、あのように多くの損害を被らざるを得ないのであるが、日本はそういう事態になりえない分、「国家」としては非常に有利な立場にいると言える。 円が再びドルに迫る基軸通貨としての役割を担うようになるほどの権益拡大が可能な絶好の機会である、と思われるのであるが、そういう意識を日本自体はあまり認識していないようである。きっとアメリカの偉い人たちはバカなやつらだなぁ、と思っていることであろう。いや、グローバル経済の考えでいけば、何やってるんだ!このグズののろまがぁ!といったところであろうか。
 しかし、悶絶して、2日前の発言が180度覆され続けるタリバン政権を眺めるのは面白い。ピンポイント爆撃恐るべし。タイマンにすらなれていないのだ。外交、宣伝戦でもどうやら完敗のようである。アメリカ素晴らしい。ほんとに戦争無くせるかも知れない。FBIはちょっと情けないが、あれはあのくらいでいいだろう。普段から働くやつがガチガチというのはよろしくない。
(2001.10.20)-2
このようにぼくが面白がって書いている、この中には間違いなく幾人もの人の死が含まれているのである。しかし、そんなことを考えていたら戦争なんてできないのだ。そして、そんなことを一瞬でも考えることができれば戦争なんて起きないのだ。死にたくないやつが死ぬのはよくない。死なせたくない人が死んでしまわざるを得ないのは許すべきではない。
(2001.10.20)-3
ゴメンね、長くて。外から持ってくれば何とかこのくらいの長さのものが書けるんだけれどね。内側から取ってくるのはなかなか難しい。ぼく自身にとって大切なものなんてほんと数えるくらいしかない。だからといって、ぼく自身がどうでもいいと思っているぼく自身のことなんてとてもじゃないけれど書けない。
(2001.10.20)-4
 それなりに気に入ったパーカとカットソーを購入して、酒のグラスも買って、ちょっとご機嫌で帰途についた。つくづく現金なものである。階段をえっほと駆け上がり、ちょうど来ていた電車に飛び乗る。乗ったはいいが各駅停車で、桜新町で後から来る急行に抜かれてしまう。やれやれと思いながら窓の外を眺めていると電車は多摩川を越えた。夕焼けで川の水は水色と赤紫色に染まっていた。二子玉川で下車をして後から来る急行を待ちながら川を眺めようと決めて、そのとおり電車を下りた。
 下りると川の上をゆったりと流れている冷たい気持ちの良い夕暮れの風が身体を通る。ぼくはホームの柵に寄りかかって、流れる水と岸で思い思いのことをしている人々と沈みかけの赤い太陽を眺めた。禁煙のホームで煙草に火をつけて、両手をポケットにつっこんだ。太陽とぼくの間には薄い雲の幕が置かれていて、朱に染まって光沢があった。その幕の一部は縦に切り裂かれたようになっていたのだけれど、それは飛行機がそれを引き裂いていたからであった。 2機の飛行機がそれぞれ飛行機雲を吐きながら縦横に空を縫っている。高いところでの飛行機雲は30秒くらいで消えるのだが、もともと雲があるようなところはその軌跡がずっと残っていた。ぼくは時折ふっと消えて、しばらくすると離れたところから現れる2機の飛行機を追いながら、秋晴れの風を感じていた。
 そのうちに急行がやってきた。急いではいないので、たまには無駄に電車を見逃してみよう、もうすぐ日の入りだから、それを見送ってから帰ろうと思い、急行をやり過ごした。太陽の下半分が真っ赤になって大きく膨らんでいる。そのちょっと上の深い水色をした空を飛行機がシューっと飛行機雲を吐いて飛んでいる。所々に残った飛行機雲の欠片は赤く光って屑星のようになっている。また、飛行機は太陽とぼくの間の雲の薄幕を斜めに切り裂いて、その先で消えた。 沈みかけの夕日を浴びていよいよ雲は赤から青の間のあらゆる色のグラデーションをつくり上げている。川はうねって流れ、岸の人々の数は減らない。ぼくはポケットに手を突っ込んで、阿呆のように口を半開きに開けながら空の様を眺めている。また電車がきた。下車する人が通り過ぎる。電車で空が見えなくなる。ぼくはぼけっと電車が発車するのを待った。
 電車は1、2分停車した。ぼくは早く行けと思いながら周りを見回した。ぼくと同じ様に電車に乗らないでホームに立っている女の人がいた。遠いので年齢まではよくわからなかった。おんなじことをしているのだろうか。だったら面白いな。電車が目の前に停まっている間、そんなことを考えて過ごした。ドアを閉め、モーター音を徐々に高い音にしながら電車は行った。ぼくはまた空を眺める前に、女の人を見た。女の人は柱に寄りかかって遠くを見ているようだった。おんなじことをしているのだな、と思ってぼくも空を見た。 日はまだ沈まない。川も流れつづけている。風も同じままだ。3羽の鳥が夕暮れらしく連なって遠くへ飛んで去った。
 そんなことをしてあと3本の電車を見送った。女の人もそうしていた。3本目が電車が停車している間に真っ赤な太陽は隠れた。ここでは太陽はきちんと地平線に沈まない。なんだかよくわからない、汚い灰色の低い空の中に飲み込まれるようにして消える。太陽が消えても空はまだ明るい。飛行機もまだ飛び続けていたがぼくは次の電車に乗ることにした。
 ぼくが乗り込んだ電車の一両後ろに女の人も乗り込んだ。電車は前の4本と同じようにしばらく駅に停車して、それから発車した。走り出すとすぐに地下に潜る。その直前まで飛行機雲を追った。地下に入って窓にぼくの顔が映り込むとぼくはドアに背をつけた。
(2001.10.20)-5
部屋に戻ってから買ってきたパーカを早速着てスーパーへ買い物に行った。買ってきたグラスに芋焼酎を注いで飲んでいる。月曜日は有給を取ったのであと2日休みがある。今日のように休めるだろうか。
(2001.10.20)-6
あ、同じくらいの長さになりましたね。今日の全部を掛ければそれくらいにはなりますか。何の特種もないですがね。
(2001.10.20)-7
ひとつ忘れたのは次に読む本を買って来忘れたということだ。
(2001.10.20)-8
細い三日月がいる。ぼくは構わず酒を口へ運ぶ。
(2001.10.21)-1
ヘタクソなのに長いというのはよくないね。でも、昨日の空はきれいだったんだ。ぼくがかろうじて味わうことのできた今年の秋だったんだ。 / 今朝は寒いね。最近寒いばかり言っているね。ほんと、寒いね。 / 今朝と言ってるけれど、4時なんだけどね。取り返したよ。
(2001.10.21)-2
もそもそ起き上がって、読む本がない。仕方がないので、買いに行く。いつもながら、本を買うのは難しい。タイトルだけみてわかるか、っての。ということで保守的に買って帰ってきた。太宰と鴎外と村上春樹、それに広告批評。うまいのだけ読みたい。 それからツタヤに寄ってテイトウワを購入。買おう買おうと思っていて買っていなかった一枚。基本的にはCHARAつながり。pop!
今日はお祭りだったようだ。いつもよりも通りに活気があった。祭りというものの影響というのはそこを通りかかるだけの人々にもあるらしい。心なしか日曜の夕暮れにしては(もう真っ暗だったけれど)、みんな早足だったように思う。 せかせかしているというよりもうきうきしているといったようなね。そういう速さ。ぼくはいつもどおりテンションは低かったからちょっと違和感があった。
あー、日記らしい日記だねー。
(2001.10.21)-3
胸に手を当てて聞いてみるといい。鼓動は時折どんな音楽よりも自分とシンクロすることがある。
(2001.10.21)-4
最近おおきなえをかいていないなぁ。8月くらいはHP用のばっかかいてたし、テロの後は文ばっか書いてるし。年賀状も大きくしちゃいけないし。やれやれ。そんなんじゃうまくならんよ。
(2001.10.21)-5
それは傷と呼んでも差し支えないのでしょうか。濡れた唇でキスをしたら、しみて顔をしかめますか。ぼくは厄介な薬をそこからあなたの身体へ注ぎ込むのです。あなたは寒さに震えたかとおもうと、狂おしいまでの熱に苛まされる。 何も考えられなくなったかとおもうと、あらゆる不安が四方からあなたの身を刺し、身悶えさせる。困り果てて、悦びと憎しみとが混ぜこぜの目であなたはぼくを睨む。愉快だ。 ぼくは膝をつき、動けなくなったあなたの頬を撫でる。救世主のように抗体を含んだ苦い水を飲ませてあげる。でも、それも罠なのです。実に愉快だ。
(2001.10.21)-6
あなたが抱くであろう疑いの全てを、無理にでも捨てようとするいじらしい努力をあなた自身の意思で行わせたい。そういう風に縛り上げたい。
(2001.10.22)-1
これはここで切れる。これはあっち。それはその角のあたりで。入らないときはこうやればいいのさ。また後で組み立てればいい。まぁ、元のように動く保障なんてないけれどね。ははは。大丈夫だ。その自信があるから今こうして切り刻んでいるんだよ。 向こうについたらちゃんと元通りに直すから。何だ?その眼は。信用できないって?ははは。俺が今まで嘘をついたことがあったかい?ほら、これはここで切っても構わない。小さくなったものは端から順番に並べて詰めるんだ。順番間違えるなよ、後で面倒だから。 まだ、そんな眼をしてる。信じなさい。大丈夫だから。ほら、これはここで。。。あら?切れないなぁ。おかしいなぁ。ほらっ、んっ。な、切れるだろ?そんな眼をしていても、もうこんなに切ってしまったんだ。今更どうしようもないだろ? それに、そろそろ眠くなってきただろう?後のことは任せてお休み。ほら、そんなに瞼を重そうにして。ね、お休み。Good night permanently, my darling. I'd give you last kiss.
(2001.10.22)-2
ずあぁー、超スペース稼ぎー。白いの堪えられないのよ。風呂入って仕切りなおし。
(2001.10.22)-3
「ほら、もうこんなに丸まっている。わかりますか。同じ種類の石だということが。」そういって先生は先ほどのよりも少し小さめで同じ色をした石をぼくに手渡した。
(2001.10.22)-4
こんなものを書いていて何が面白いんだか。こんな一行を書くためにやたらめったらに図鑑を見て、地理やら、地学やらの勉強をしなきゃあならない。
(2001.10.22)-5
なるほど、それが楽しいのか。なるほど、なるほど。って、そんなのおまえの道楽じゃねぇか。俺に売りつけんな。俺が欲しいのは昂奮だよ、おまえの昂奮。それがないと生きてかれないくらいの切羽詰った昂奮だよ。
(2001.10.22)-6
パイナップルの香りと味のする酒だ。米焼酎なのだけれど。ということはパイナップルはその成熟する段階で、米を発酵させたのと同じ様なことをしているわけだな、エチールを生成せずに。ばか、それがなけりゃあ意味がないじゃあないか。ああ、頑張れば酒の木になれたものを。。。。
(2001.10.22)-7
あーー、だめだー。どうでもいい思考しか起きないー。
(2001.10.22)-8
ああ、そういえば今日とてもいいキスをしているふたりを見ました。笑顔がとてもよかった。2回チュってやって、お互いニッコリ。それからもう1回。
(2001.10.22)-9
ぼくは小雨の中、傘を出すのが面倒で濡れて歩いていたのですが。オイ!いいのか!それで微笑ましくなってて。大丈夫か!?悔しがるべきじゃあないのか??
(2001.10.23)-1
焦っている割にはこんなものか、などと言わないでください。それはぼくも十分に自覚しているつもりです。そうです、こんなものなのです。思っていたよりも自分はなにも書けない。その事実はまたぼくを焦らせます。なので、やっぱり焦っていることは焦っているのです。焦ってはいるのですが、それが直接的に出てくるようにはできていないのです。 当たり前ですが、せかせかしても言葉は浮かんできません。浮かばないまま、せかせかせかせかしていると、そのうち何がしたいと思っているのかもよくわからなくなってきて、やたらとどうでもいいようなことを書き連ねてみたりとか、どうでもいいことにどうでもいいなりの価値を持たせてとりあえず満足してみたりとか、そういうことをしだして、ちょうどこの文のようにね。 違うなぁ、と思いつつも、じゃあ、違ってないのはどれなんだ、と言われるともうそれも持ってはいない、というような有様でして。それでも焦っているので、回り道はしたくない、みたいなこともどうしても意識にはあって。それは昔からだめな方向の王道であるわけなのですが、でも、違うほうへ行くのは回り道のような気が、やっぱりしてしまって、そちらへは行けずにいる。 つまり、だめなのです。もう、だめなのです。
(2001.10.23)-2
上のは焦っているように読めますか?読めなかったら、また更に焦るなぁ。
(2001.10.23)-3
一輪挿しに少し水を注いだ。活ける花はない。花をきれいだと思えなくなったので、買うことも摘むこともできないでいる。注いだ水をくるくると廻してぼんやりとしていた。いや、ぼんやりなどは本当はしていない。あの日以来、私は一度たりとも本当のぼんやりなどしたことがないのだ。 いつも、心のどこかであのことを考えており、他の考え事がなくなれば、それは暗い灰色をした水底から白くぼんやりと浮かび上がってきて、そのうちにこの頭の上全体を覆っている。多分、花をきれいだと思えなくなったのも、そのせいなのだろう。考えたら、花だけではない。 きれいだとか楽しいだとか面白いだとか、そういう類の感情の一切が希薄になっている。笑ってもいない気がする、そういえば。廻していた水が溢れて、手の甲にかかった。私は手を止めてそれをじっと見つめてから、キスをするように静かに口に含んだ。 唇が濡れてから、「間違えた、相応しくない。」などと思って、手の甲を袖でぬぐった。ひょっとしたら微かに呟いていたかもしれない。ぬぐうという動作が涙を連想させた。泣いてもいない、そういえば。机の上の真っ白な紙の真中に残りの一輪挿しの水をこぼした。 泣けないのなら。 / 一輪挿し。
(2001.10.23)-4
今日は風の中に冬の匂いを感じましたよ。木枯らしってやつですかね。なんつーか、ここへ来て季節の変わり目みたいなものがようやくはっきりと判るようになってきまして、なんつー遅れた感性だろう、などとひとりで苦笑しております。どんなところでも、やっぱり季節は季節としてやってきて、いつの間にかそこにたたずんでいる。 それを知るのも、知らないのも、ぼくらの勝手なのだけれど、ぼくのようなものにも同じ様にやってきてくれる季節なのだから、少し大切にしようと思う。
(2001.10.23)-5
ちゃんと書けてんのかなぁ。わかんねぇんだよなぁ、自分じゃあ。自分の書いたものって、なんだかヘンな愛情みたいなもんがあって、きちんとした判断ができない。愛情一本チオビタドリンク。あー、だめだー、こんなん浮かんできたー。
(2001.10.23)-6
出来上がった模様をまばたきせずにしばらく眺めてから、4つに端を揃えて折りたたんでゴミ箱の中へそっと置いた。そのあと、しばらく考え事をしていたのだが、ここに書くのはやめよう。書くようなことなど無かったと思うし、きちんと思い出したくもない。 ブランデーをグラスに半分ほどついでそれを一気に飲み干してから、眠った。車のシートがどうのだの、川の幅がどうのだのという、妙な夢を4つ5つ見た。朝目覚めたときは、冬も近いというのにひどく汗をかいていて、疲れていた。 全部、せめてひとつでもいいから、放り出したい気持ちがいつもよりもずっと大きく振れていたが、それを押し留める、何に拠っているのだか私は全く知らないのだが、立派な理性とやらも毎度のごとく現れて、それに促されて私は不機嫌に起き上がり、べっとりと濡れた寝間着を整えて、台所へ向かい、湯を沸かしコーヒーを入れた。 濃い目のコーヒーの苦味がぶつぶつと投げやりな感情を食いつぶし、やっぱり今日も無事に始まってしまう。そしていつもどおり、最後の一口の後の溜息と共に余計な思考は10cm前の空気に溶かし込んで、それをかき回してから私はおもむろに出かける支度をはじめるのだった。 一輪挿しは机の上に倒れていた。私は出掛けにそれを一度確認して、靴を履き、鍵を閉めた。9時間だか、10時間後、またこの部屋に戻ってきたとき、一輪挿しが同じ角度で机の上に倒れているのを確認しようとひそかに決めた。 / 一輪挿し。
(2001.10.23)-7
やれやれ。なんじゃこりゃ。
(2001.10.23)-8
疲れていたので、電車の中では立ちながらうつらうつらしていた。自分の吐く息が少し酒臭い気がして、それがひどく気になった。今日はまぶしいくらいの朝だ。全く気分と合わない。 仕方がないので私は目を閉じて、うつらうつらして過ごした。その合間に宙吊りの広告を眺めた。ファッションのことやら、スキャンダルのことやらがいつもと同じ様に書かれている。これも全く気分と合わない。 うつらうつらというのは、今の私にとってはいい状態では全くないので、うつらうつらしながら何とかならないものかなどと思っていた。だから、3、4回溜息をついた。そして、その度に自分の吐く息が酒臭く思えて仕方がなかった。 電車はなかなか進まない。信号待ちをしてばかりで、ゆるゆると進む。ようやく降りる駅も近くなって私はあの一輪挿しはあなたがくれたのだということを、ぼんやりと考えていた。ここにうずくまりたくなった。 / 一輪挿し。
(2001.10.23)-9
分割すりゃあ長くてもいいでしょ、とか考えてます。はい。
(2001.10.23)-10
かいつまんで話してどうすんのよ。こんなのくだらねぇよ、やっぱり。このままだらだらと書き続けて、そのうち男ともう一度会うような羽目になって、それで縒り戻すか、きっぱり別れてしまうかするわけでしょ。書けと言われれば書くけれど、労働だな、そりゃあ。
(2001.10.23)-11
どちらかというと、ぼくはアスファルトの上を転がるアスファルトと同じ色をした小石の話を書きたい。
(2001.10.23)-12
こんなの。
蹴られた。何度目か。まだ、数えるほどだ。隣の小石はみな埋め込まれていて、動くことができない。ぼくはその上をころころと転がる。どこか別の場所へ行けるなんて、そんなにいいことじゃない。結局見放されてしまえばそこで朽ち果てるしかない。 それはきっと日の当たらないじめついたドブの中だろう。それか、落ち葉の降り積もった空き地の隅っこか。そこで息を止めて自ら果てなければならなくなるのだ。自由であることによって得られるものなど所詮その程度だ。あ、車に踏まれたよ。
(2001.10.23)-13
あ、駄目?駄目か。。。仕方ない、寝るとするか。
(2001.10.24)-1
昨日の話。あれはぼくだ。もちろん事実というものではないのだけれど。しかしながら、あれは私などという、どこかの誰かのことではなくて、ぼくのことなのである。 そして、問題は昨日書いたようなことでは決してなく、本当はあれはぼくであるのに、ぼくはあれがぼくでないつもりでないと書き始めることができないということが問題なのだ。 ああいう形でないと始められない割には、始めてすぐにその欺瞞にうんざりしてしまう。それが問題なのだ。
(2001.10.24)-2
どうすればいいかはわかっている。その先に何があるのかもよく知っている。でも、ぼくは本当にそうしなければならないのだろうか。幸せなことに大きな誤解が横たわっていてくれはしないのだろうか。
(2001.10.24)-3
ぼくはCoccoのように強くはないんだよ。あの子はああやって脱ぎ捨てたり、取り付けたりして先へ行ってしまったけれど、ぼくはそこで止まりそうだ。 行かないで、とはやっぱり言えないけれど。美しい翼だ。純白などという気取った色ではなく、それでも広げたその姿は雄雄しい。
(2001.10.24)-4
気が付けば半月になっている。白くて弱い光。あれはなぜ公転と自転をしているのだろう。答えは単純で、そうしなければ落ちるから。
(2001.10.24)-5
But I can fly high fly high, high, high, high.... so far......
So far away
(2001.10.24)-6
この曲を世界で一番たくさん聴いている自信がある。
(2001.10.24)-7
未だに歌詞はきちんと憶えていないけれど。
(2001.10.24)-8
ここへ来たのは何かしらの必然があったのかしら。それとも単にぼくの行いが悪くて、選択も最悪であっただけなのかしら。
(2001.10.24)-9
例えば、あなたの肌が暖かいことが、そのままぼくの救いになるのであれば、ぼくはあなたを引きずり落としてでも手に入れるでしょう。 でも、決してそんなことはなくて、あなたがぼくを救えるとしたら、それは心臓を握って鼓動の代わりを果たすことによって、くらいのものなのだと思います。 そうすれば、顔色だけは生きているように見えると思う。
(2001.10.24)-10
第一、救うだの救われるだのという発想自体が間違っていて、そこに、それにすがらざるを得ないぼくの間抜けさがある。更に第一、ぼくは生まれてからというものの、云々。。。。。。
(2001.10.24)-11
大丈夫ですよ。ぼくは今までと何ひとつ変わっているわけではないのです。ただ、この器を貰うことによって、ひとつ制限を撤廃したに過ぎないのです。

(2001.10.25)-1
信仰の下にではなく、脅迫や取り引きの下にあれがあったのだとしたら。あれは新しくない。恐ろしくもない。決断は極めて容易であり、その下にかなり明確な正義を行使し得る。 そして、ぼくは胸をなでおろす。彼らが天に召されたのは、その熱狂のためではなく、尊い犠牲のためなのである。それは新しくない。 あの髭ヅラは単なる卑劣漢であり、四肢を豚の尾に括り付け、引き裂いてやるのが相応しい。それを見てぼくは安心するだろう。
(2001.10.25)-2
しばらく、フォーカスがずれていた。ああ、恥ずかしい。嬉しそうに偉そうなことを書き書きしていた。ぼくが知りたいのはここだけだった。ここだけがぼくに直接関わることだった。
(2001.10.25)-3
だって、彼らは自動小銃を大事に抱えていたんだもの。巡航ミサイルとかいう、もはや何の色気も持たない、「処分する」という言葉がよく似合いそうなモノと対峙しているのに。
(2001.10.25)-4
それはぼくと少し似ていると思うから。などと言うのは許されませんかね。
(2001.10.25)-5
戦争の事に関して言えば、それなりのものが出回っていると思います。だから、もうぼくはそれについては書かなくてもいい。 ただ、あれ自体についてはせいぜい終わりだとか、始まりだとか、そうではないだとか、そういうことくらいしか言ってくれない。 あれ自体にはその程度の意味しかないのだろうか。確かにあのとき、これで新世紀になった、と思ったけれど、そんなことはどうでもよかった。 何かもっと重大なものが侵された気がした。それは、ぼくが日本人だからなのだろうか。わからない。やっぱり、あれは全然わからない。
(2001.10.25)-6
晩秋の曖昧な空の中に曖昧な形と色をした昼間の月が浮かんでいる。トイレでよく会うのだ。ここ2日。
(2001.10.25)-7
今日は朝、会社に入れませんでした。自分の会社に入れないで、入り口あたりでたむろしている服装ばらばらの集団というのは実に奇怪なものでありました。 通りかかりの母親に連れられた小学生のガキが「おおぅ」などと大げさに言い、面白げにぼくらを眺めながら通りました。 バカみたいに看板など掲げているので(当たり前と言えば当たり前なのですが)、通りがかりの人には社名とセットで憶えられたことでしょう。 それから、向かいの公園で朝っぱらからソフトボールの練習をしているオバサンどももぼくらのことをきっと馬鹿にしていたでしょう。 なんで、こういう会社なんだろう。なんで、ぼくはここを選んでしまったのだろう。面白いね。
(2001.10.26)-1
止まった。尽きたのだろうか。
(2001.10.27)-1
 土曜は日中寝ている。それで、一週間で溜め込んだ睡眠不足を一気に取り返す。日が陰る頃に起き上がって部屋の掃除をする。朝食とはどう考えても言えない時間なのだが、朝食を取る。紅茶を飲んで、それで明確に一週間を区切る。
 今日はその後、6時から自転車に乗ってその辺をプラプラした。部屋の前の通りを真直ぐ南下すると自由が丘に行き着くということを知ったので、とりあえずそこを目的地に決めた。途中、オリンピック公園の前を横切る。 ここはごちゃごちゃして狭っ苦しい東京の中にあって、スカッと抜けているとてもへんてこな場所で、そのせいでやたらと空を見上げてしまうのだが、その空には半分よりちょっと太った月が浮かんでいる。星は見えない。星を見てない。東京はいやだ。
 話がそれた。ぼくはジョギングしている人を追い越して、詰まっている対向車線の車一台一台の中にいる男女を眺めるともなく眺めたり、暇そうに外を見ている美容室の綺麗な姉さんと目を合わせたりとか、そういうことをしながらぶらぶらと走る。 小物を扱っているかわいい店や、中古の家具を置いている店や、洒落た喫茶店やバーの前を通り過ぎる。だんだん自由が丘っぽくなってくる。店もそうだが、家も凝った外見のモノが多くなってくる。偏見かもしれないけれど、道には高級車が多くなってくる。 これも偏見かもしれないけれど、道行く人には綺麗な人が多い。おお、さすが自由が丘。俺、超似合わねぇ。
 踏切を越えて右手に駅ビルらしき建物が見える。あれが自由が丘駅なのだろう。思ったよりもごちゃごちゃしている。すごく東横線の駅っぽい。嫌いだ。とりあえず、駅の周りを一周してからいい店があれば覗いてみようと思い、駅の周りをまわる。 ほんと、ごちゃごちゃしている。めちゃ迷った。周りを周っているつもりなのに奥沢という駅の前に出てしまった。目星を付けていた店にはもう一度行ける自信が全然なくなってしまったので、一周してからそのまま帰る。うぬ、せっかくいい感じのジャージを売ってる店があったのに。
 帰りは行きと違うコースを取りたかった。それで、また失敗して今度は多摩川に出てしまった。等々力不動という交差点で妙な下り坂があったので、嬉しそうに下ってしまったのだ。でも、夜の多摩川は人はいなくて、虫の声だけがしていた。それを見れたから、まぁよかった。 川に面した家中の窓やドアを開け放って、多分明るくしたかったのだろう、洋楽をかけて前に止めたバンの修理をしている人がいた。なんだか、それはものすごく羨ましくなった。いつまでもここを走っているわけにも行かないので、環八に戻って、フェラーリを眺めて、素直に正しそうな道を走った。 店のシャッターを閉めている人と目が合った。とても背の高いいい男が恋人と歩いていた。貸切でパーティーを開いている、とてもよさそうな小さなレストランがあった。マンションにはみな灯りが点っている。ちゃんと人が棲んでいる。
 また、オリンピック公園の前を通る。スケートボードをやっている集団がいる。広場の階段で楽しそうに音楽をしている3人がいる。そんなに下手ではないような気がした。座ってギターを弾く二人と立って鈴(なんていうの?あれ)を持って、嬉しそうに歌っている女の子だった。 若いというのはいいことだ。と思って、それからいつものように自分にツッコミを入れた。ぼくはそれで上機嫌になって、鼻歌を歌いながらぼけぼけ自転車をこいで帰ってきた。
 帰ってきてからはえをかいた。馬のつもりだったが、馬ではなくて犬か狼か何かに見えるものができ上がった。
 多分いろんな生き方があるのだと思う。
(2001.10.27)-2
日記ならば書けるみたいだ。いい自転車が欲しい。軽くて乗りいいやつ。ボーナス記念はそれにすべか。それとも。
(2001.10.27)-3
ほんとは君と行ってみようと思っていたんだけど。ぼくの気まぐれはね、人を誘うの躊躇させるんだ。実にもっともなんだけれど。
(2001.10.27)-4
離れてしまえば、気持ちも離れるよ。君は他の誰かとあの街を歩けばいい。キレイなアクセサリを扱っている、気持ちのいい店もあった。そこでその誰かに指輪を買ってもらうといい。 その笑顔をあげればいい。ぼくは寂しくない。寂しいなんて、そんなことはあり得ない。
(2001.10.27)-5
この部屋の空気を全部違うものに換えたくて、窓を開けた。
(2001.10.28)-1
ぼくはずっとそれにしてやられていたんですよ。
(2001.10.28)-2
乾燥している。理想というやつを過去から取り出せるやつはかなり幸せだと思う。もう戻ることはできない、なんていうのは実に不埒な悩みだ。
(2001.10.28)-3
 全くの雨降りだった。おかげでぼくは部屋に押し込められていた。それでぼくは本を読んだ。太宰の残りを読みきり、村上春樹を読んだ。92年とあるから、ねじまき鳥の前のものであるようだ。
 読んでいて、ねじまき鳥を読んだ高校の一時期を思い出した。ぼくとぼくより前にそれを読み出したひとりの友達はバカみたいにあの分厚い本を家まで持って帰って読んでいた。 読んで、ほとんど何もわからないと、そのときは思ったが、今思えばそうでもなかったと思う。ただ、今ほどものに対する自分のスタンスが決まっていなかっただけだ。
 この人もかいつまんだような、実に都合のいい話を書く。自分以外の人間はある役割を背負わされている役者でしかない。都合よく出てきて、都合よく処理され、都合よく消えてゆき、都合よく与えて終わる。 それは心地いいけれど、それではだめだ。そこにある昂奮ではだめだ。終われば消える。まぁ、もう10年近く経っているのだから今のはどんなんだか知らないけれど。
 なので、新しいのを探し出して読んでみることしようと思う。うまいのは間違いないのだ。ぼくよりもだいぶね。
(2001.10.28)-4
ひょっとしたら、水から水分を奪うと氷ができるのではないかしら。味気なく冷たくて、乾いている。
(2001.10.28)-5
ズル。はい。
(2001.10.28)-6
これは多分地下水脈みたいなものだ。表に出ない。みんなひとりひとりでささやかに維持している。陽をあてたいと思うことはまずあり得ない。でも確かにみな同じ水をすくって口にしている。
(2001.10.28)-7
ところで、なぜぼくのほうがなだめる側にまわらなければならないのだろう。大丈夫だよ、と言って欲しいのはぼくのほうである気がするのだが。
(2001.10.28)-8
ひとだけは。ひとだけは自分の思い通りに動かしてはいけないんだよ。
(2001.10.28)-9
こんなところでこんなものを書いている人間がこんなことを言っていてもあれなのだけれど。思考ではなくて、精神に基づいた線がきちんとあるんだ。
(2001.10.29)-1
 要するに、きちんと付き合うということも言い交わさないまま半同棲をしていて、女のほうがきちんと確認を取ろうとしたら、言われた男はビビってだだをこね始めた。という話だった。 新しく越してきたおとなりさんね。だって風呂入ってたらさ、部屋のドアの前でさ、ぐちぐちとおっぱじめるんだもん。思わず聞き耳を立ててしまいましたら、これが1時間以上。おんなじことを言い合ってる。 それでも、だんだんと男が本音をゲロしてしまいまいして、まぁ、そういうことらしいと。風呂すっかり冷めちまったよ。
 男はどうもふらふらしているような感じで、もう25歳(と自分で言っていた)なので、そろそろしっかりしなければと思っているのだけれど、その覚悟ができていない。女のほうは、もうその男とやっていく気らしくて、だからこそきちんと付き合おうと言い出した。 男は覚悟ができていないから、付き合えないし、もうこの部屋には泊まらない(この辺がみそ)と言う。でも、もう会わないとは決して言わないどころか、付き合えないけれど部屋には来ると言っている。なんじゃそりゃ。 それでも男はその実にひどい条件を、付き合おうと言われた側であるので、強情に言い張っていたのですが、少しずつぽろぽろと情けない言葉がこぼれてですね。女になだめられてしまい、結局とりあえず、今日のところはお帰りになりました。部屋の前まで来ておいて。バカです。
 ああー、だめだー、おとこー。そんなんじゃあだめだぁ。めちゃ操縦されてんじゃんよー。っていうか、超びびってんじゃん。25歳、超人生曲がり角。このまま、この女と一緒になって小さいけれど幸せな家庭を築いてしまうのか!?そんなんで終わりなのか、俺の人生!そんなもんだったのか!?
 はい、男の代弁してみました。まぁ、女の方のほうはそうやって何度かなだめすかして、気長に待ってやってください。あと、2年もすれば籍が入ることでしょう。
 とりあえず、情けない話は誰も聞いてないところでやろうね!どこで、誰が聞いているかわかんないよ。
(2001.10.29)-2
やっぱり、えっちは大切な儀式なのであります。(by 25歳男)
(2001.10.29)-3
へらへら笑ってさ、そうでもしないと言えないよ。君は好きだ。でも、怖い。先へ行くのは怖い。君を手に入れたら、今度は一番恐ろしいことを恐れて暮らさなければならない。君を失う。
(2001.10.29)-4
そんなにカッコよくはないか。。。。やれやれ。
(2001.10.29)-5
仕事の合間に外で煙草を吸うのがなかなか厳しい状況になってまいりました。そのためだけに上着を着るのもバカらしい気もするし。 でもね、強い風に乗って滑ってゆく雲の群れは灰色と白のはっきりとしたコントラストを持っていて、その合い間からのぞく水色の空との3色でキレイな模様を作っていた。 みんな北を目指していた。その先でその雲たちはどんな色をするのだろう。そんなことを考えながら吸う煙草はうまい。寒いけれどね。
(2001.10.29)-6
生きるのはホント、面倒です。
(2001.10.30)-1
ポケットに手を突っ込んで歩くな。
(2001.10.30)-2
苦しいなら、苦しいと書き続ければいい。苦しくない。はしゃいでいるなら、その勢いのまま書きなぐればいい。至って平静だよ。寂しいのなら、影を付けたものを書けばいい。別に誰かの声を聞きたいとも思わない。 感動したのなら、震える手をそのまま文字に変換してやればいい。もう、感動した、という記憶しか残っていない。やさしい気持ちになったのなら、やさしい手紙を書いてあげればいい。自分としてはいつもやさしいつもりだが。 嬉しいなら、悲しいなら、辛いなら、おかしいなら、楽しいなら、疲れているなら、飢えているなら、気分が悪いなら、嫌悪があるなら、文句のひとつも言いたいのなら。特になし。 心臓の音が必要なのかと疑うほどのどうでもよさだ。ピッピッピッピッピ。1、2、3、4、5。(*タメイキ*)要らないよ、こんなもん。
(2001.10.30)-3
だから抉り出して見せても構わない。これもいつも書いているけれど。
(2001.10.30)-4
君を大事にしたりしなければこんなもんだ。エクセレントデイズ、全部ぼくのもんだ。全部ぼくで終わり。始める気にはならないね。
(2001.10.30)-5
例えば砂漠をひとりで歩いているというようなことを想像してごらん。水が飲みたい。暑い。目的地まであとどれくらいあるのか。休みたい。すきなひとの顔が見たい。家族の顔が見たい。もう止めたい。 多分こっちのほうが生きているよね。バカバカしい。全て逆さまだ。そのうち性能のいいロボットができたら、ぼくの代わりにぼくを生きてもらおう。ぼくはずっと寝てる。夢も要らない。呼吸するのも面倒だ。 最低限の栄養補給だとか排泄物の処理だとかも、面倒だから停止できるような方向で処置してもらって構わない。な、それはそういうことだよ。
(2001.10.30)-6
常温。最近、台風は居座るようになった。
(2001.10.30)-7
抱えきれないくらいの大きな卵を抱いている。一体どうやって生んだのだろう。卵のくせに出てきてから膨らんだのかしらん。抱いているというよりも乗っているというのが正しいように思える。 多分指でつついたら、転げ落ちる。バカみたい。
(2001.10.30)-8
バカか。。。。。バカバカバカバカバカバカ。。。。。。。。。あくび。
(2001.10.30)-9
ひとこぎ。で、行ける。そこへは。
(2001.10.30)-10
ああ、そうさ。それはそれはそういうことなのさ。こう書けばいいのだろう?
ぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくあhぼくは
ぼくは、
(2001.10.30)-11
バカバカしい。
(2001.10.31)-1
昨日のは特によくなかった。反省。
(2001.10.31)-2
以前よりも表層的な位置から言葉を取って来ている。まぁ、ある程度はしょうがないのだけれど。それはつまり書きたいというラインより上のラインの場所で書いてしまっているということで、無理をしている、ということだ。 ただ、今回はその無理をしようとしてしているのだから、それで構わないのだけれど、無理は無理なので、なんで部屋に戻ってまでこんなことをしているのだろう、などともやはり思う。最近残業ぎみなのはそのせいなんでしょうか、スズキクン。 まぁ、今回の仕事の中で一番楽しい時期だというが主な原因ですが。これから「動かないよー。どこが悪いんだよー。」などと泣きべそをかきながら遅くまで残ることになるのだろうなぁ。しかし、あれをあと2週間で作れとは。。。。
(2001.10.31)-3
よくないこともいいことも、半分以上は自分のせい。受けるか、よけるか、やっぱり逃げるか、放り出すか、見過ごすか。それだけは自分で決める。そこでは後悔しない。それだけは守る。
(2001.10.31)-4
音を失うほどの光の中へ。遠くで待っている子供と、付き添いの一匹の青蛙。「君が先へ行かないと。ぼくは道を作れないのだよ。」ぼくはしゃがんでつんつんつつく。それで蛙は、面倒くさそうにピョコタンピョコタン。5回跳んで10秒休み。ぼくはしゃがんでけつをつつく。 溜息をついて顔を上げると、子供の姿が見当たらない。はっと立ち上がって子供を探す。子供は近くの大きな木の根元に座っていた。そうか、ちゃんと待っていてくれている。よし、それならば。ぼくは溢れる光の中で蛙をつつく。
(2001.10.31)-5
ようやく、10月も終わりのようです。はぁ、疲れた。最近のぼくの時間の印象は結構面白い。入社して半年経つが、これに関しては、まだそれしか経っていないのか、と思う。しかし、給料日はすぐに来る。 一週間は休みになると一回りしたことに気付いて、先週の休みが昨日のことのように思える。曜日をひとつひとつ数えるとひどく長いのだが。一日はここを真っ白にすることで、区切られる。それはすぐにやってくる。しかし、ここはまだ一ヶ月も経っていないが、もう大昔からやっている気がする。 もう若くはないと思う。学生だった頃が5年、10年前のことのように思える。同期が、サラリーマン生活は400ヶ月くらいだ、と言った。驚いた。短い。何もできないまま終えるだろう。それもまっとうできない可能性のほうがはるかに高いのだが。それにしても400ターンとは。焦る。
(2001.10.31)-6
ここを見に来てくださる方、ありがとう。


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