tell a graphic lie
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(2002.5.1)-1
多分ひどい勘違いをしているのだろう。でも、これが無ければぼくはいろいろ止めてしまう。
(2002.5.1)-2
整理。
書きもの。
読みもの。
以上、酔中乱筆。縁台に載せられてしまった、世の偉大な方々よ、どうか許して下さいな。
(2002.5.2)-1
「〜何かお返しできることはないか。台所を見回すと、コンロの上の鍋の中に中途半端に残っているなめこ汁を見つけたので、それを食べ切ってあげることにした。〜」
綿矢りさ「インストール」抜粋
ここ、好き。すごく好き。全体としては、高校生の、視野の狭さ、というのか、それがよく出ている。彼女は「記念」という言葉を使っていたけれども、確かに、そのようになっているようである。現在形である。やっぱり、うらやましいなぁ、と思う。17にかえりたーい。
(2002.5.5)-1
ブランク。あまり書きたくない、という事をうまく書くにはどうすればいいのだろう。
(2002.5.5)-2
「病んでいる」「声が聞き取れない」
(2002.5.5)-3
つまり、今のぼくは
(2002.5.5)-4
笑う事ができないんだ。
(2002.5.5)-5
本当は、こういう風に綺麗に書きたくないんだ。でも、こういう風に書くしかなくて。できるだけ言葉を少なくしないと、もっとひどい事になるから。
(2002.5.5)-6
結局、ぼくは何の道具も持っていないわけだ。
(2002.5.6)
混濁色。
(2002.5.8)-1
別にへこんでいたわけではなくて、ただおえかきをしていただけなのでした。やっぱりプロは違うぜぇ、なんつーか、こう、知っていやがる。無駄な線がねぇ。まねっこしてみるけれど、色のおきっぷりやら、一発で引く線やらが、やっぱり真似できない。
ハイル。でも、だからって、わかんねぇって言って、何度もぐじゅぐじゅ直していると、こういう風にしかならないんだろうなぁ。2.5時間。中心から離れるほど雑になっていきます。あはは。だいぶ面長になってしまったのに気付いたら一気にやる気が無くなった。
(2002.5.8)-2
 誰も傷つけたくない。誰にも傷つけられたくない。誰もいたわりたくない。誰にもいたわられたくない。と、身体を固くして、伏目で言うのだ。震えてさえいるようにも見える。目の前の、いまこの世界で一ばん愚かで滑稽な男を殴るのと、抱き締めるのと、一体どちらが楽しいのだろう、と私は考えていた。おそらく、この男にとっては、そのどちらでもいいのだろう。どちらにしろ、この男はとっさにはそれを許容できず、喚き散らして、泣いて拒絶し逃げ帰り、部屋に戻ってから、今度は嬉しくて、安心して、ひとり顔を崩して一晩中泣くのだ。ああ、馬鹿な男だ。あとは、この馬鹿な男を、私はどうしたいと思っているか、それだけだ。私もまた、この男と同じ愚かさを持っているのか、それだけなのだ。私の中にそれが無いのなら、殴ればよい。私の中にも、この悲しい愚かさが少しでもあるのなら、抱き締めよう。私が、この男を愛するということの形。もう一歩も動くこともできず、身体を固くして、私のなすがままになろうとしている、この男。それを私が愛するという事の。
(2002.5.9)
ありふれた毎日の日々の中 下りてくるすべてのものに感謝 頭に微熱 抱えたままもう一度前へ歩き出そうとする あせるがゆえに迫り来る恐怖 吐き出せないままそれは流れて 背負いきれると軽視した結果 終わりのないスピードレース開始 目標はまだ夢のまた夢で 到達するにはかなり困難な道 着地成功は難しく世代の知性は足踏み状態 それでも何か 考え出す脳 行き止まりとは知らずに前進 つぶれかけたこめかみで感じながら方向見つけてさらに前進 生きた証をたてようとしたそれだけで少し誇らしげな態度 支離滅裂な行動それを補う子供じみた一面 ありふれた毎日の日々の中下りてくるすべてのものに感謝 頭に微熱 抱えたままもう一度前へ歩き出そうとする 逃げ道をなくすことによって前に進むしか術をなくした 否定するのに疲れを感じて少し利口に振る舞ったりした 生きた証をたてようとしたそれだけで少し誇らしげな態度 支離滅裂な行動 裏側にある自信はさらに膨張
DA「Fever」

(2002.5.10)
時間。不器用。季節に置いてけぼり。めだかには澄んだ土の上を滑る水を。彼岸までは持つまい。雨音が優しいので、戸惑うのだ。なんでもないもの、を見て。緑の雨粒は地に落ちるとアメーバのように黒ずんで重たくなった土の上をなでる。スライドして切り替わる。実日。揮発性の感情を捉える。闇はその縁どりだけを認識できる。中には巨象。かすれるのはいつも闇だ。夜を裁断する。おんぶ。雨上がりの小鳥の声、やさしい雨よ。しばし待て。まどろみの延長線は実生活の中に入り込んでいるので、ぼくは実生活を営まない。見ていて。かえる。
(2002.5.11)-1
カメラみたいにストラップがついていれば、ぼくはきっと、それを掌に三重にしっかりと絡ませて、なくさずに済んでいただろう。
(2002.5.11)-2
ぼくはぼくの身体に附属しているように見えるこの小さな翼のことを知ってはいた。背筋に力を入れると、つられてヒクヒク動く。ダサいおもちゃ。それから、引力をあきらめる事は、飛ぶ事とイコールだという事も、ぼくは知っていた。ぼくはへんな事をいろいろ知っている。だからもしかしたらぼくはすごく頭がよいのかも知れない、と言ってみて、外枠だけに意味を持ったその音を、入れてくれる耳が、もうふたつだけになっている事に、これには、そのときはじめて気がついた。
(2002.5.11)-3
夜半、肘をついた手に顎を乗せ、握ったペンをくるくる廻して、空を飛んで生きると無くなってしまうことを書き連ねて行く。ひと昔の印字の遅いレシートのようにして、ジリジリ吐き出されてくるリストの項目。曰く「走る事 / 体重 / 視線の高さ / 小川をまたぐ / 二次元 / ドアから入る / 階段 / 毎日同じ場所へ行く / ジャンプ / 昨日笑った事の、その笑った理由 / おいしいものを食べたいと思う / 下痢 / ピクニック / 壁 / 思考の半分、意思の半分、希望の半分 / / / /
(2002.5.11)-4
ふいに、クスクス笑う君の顔が思い出されて、ぼくは外へ出て、煙草を吸いながら部屋の周囲を一周する。ついこの間新緑色だった木々の葉は濃色へ育ち、ピンと張って外へ出ている。幹の肌に浮かぶ皺は艶やかにうねる。ブロック塀には、「SHOUT!!」とスプレーの落書きがある。その向こうで、縁台に座り新聞を読む中年の男。寝巻を着て、その姿は黄色い陽に照らされて、生きている色をしている。また、クスクス笑う君が、目の前に。煙草の灰は1cm程の長さになっている。ぼくは、これはいつの君なのだっけ、と思い出そうとする。そのとき、一度だけ強い風がこのあたりを吹きぬけたようだ。木々の揺れる、ザワ、という音が数回。乾いた砂が舞い上がる。汚れる空気。汚れている、ここの。ぼくの?道路の下を通る水道管から聴こえて来る水の音。地下水と同じようにして小刻みに振動する音。君のクスクス。木々はザワ、とひとときだけ言った。よもぎが駐車場の隅に生えている。どくだみ。君は笑う。ぼくの何を。何を笑っているんだ。自分の履いているスニーカーを見ると、右足の紐が緩んでいる。中途半端に緩んでいる。ぼくは右脚を空に届くほど蹴り上げて、その紐を解いた。それでわかった。
(2002.5.11)-5
ただのダサいおもちゃ。引力から解き放たれる。スイッチはここ。背筋。グッドバイ。
(2002.5.11)-6
飛行、と呼ばれる行為。スイッチはここ。背筋。ダサいおもちゃ。けれども、小さな、装置。ぼくは少しずつ浮き上がり、つま先がやがて地面から離れる。瞬間、ばらばらと無くなってゆくものたち。みんな、地が必要なものたち。ぼくはその山の中からずるずると飛び出した。鎖らしきものは皆錆びきっていて、引っぱられて真っ直ぐに張ると、どこかが必ず崩れて途切れた。ぼくは飛び出した。
(2002.5.11)-7
この身体、ひとつの装置。けれども、新しいこの部品は全く安定しない。ぐらぐら頻繁に揺れる。反応が遅い。足をバタバタさせて見る。これはもういらないんだ。「ぼくはもう決めたんだ。」と呟く。これはもうこうやって使うだけなんだ。掌を握っては解く。これでもうしがみつく事はしない。まだ、巧く使えない。けれども、虹を踏みに行こうと決めて、太陽に背を向けた。
(2002.5.11)-8
足取り、というのは、もう適当ではないのだけれど、それがやはりどうしても重い。ふらふらしてしまう。それから、とにかく、すごく疲れる。身体も、部分部分がいちいち重い。さっきあんなにたくさん落ちていったのに、まだ、重い。ぼくは今までこんなに重いものを背負っていたのか、と我ながら感心したりもする。馬鹿な話だ。けれど、とにかくきちんと飛んでいられない。これでは、あの虹は、ぼくが着く頃にはきっともうなくなってしまうだろう。諦めて、一度下りることに決める。下りるのもうまくはいかない。気を抜くと、落下に近くなってしまう。それでも何とか無事に地面に足を着けた、その瞬間、ハッキリとまだぼくにまとわり付いているいくつもの不要なものたちが見えた。そうか、まだこんなにあるんだ。
(2002.5.11)-9
両腕や腰、腿。ひとつの下にまたひとつと、数珠繋ぎになって、それがいくつもいくつもぶらさがっている。みな、煤をかぶっていて黒ずんでいる。手で触れると、濁音を立てて揺れる。煤は油や水分を吸って塊になり、こびり付いている。汚らしい。苦々しげに呟くと、憎悪が沸き起こってくる。今ここでその名を連ねてみようか。
(2002.5.11)-10
握った手の温度。すがりつくべき思い出。従順の化粧。「仮面」という言葉。綺麗だ。あの子。渡そうとする気持。見てくれ。死すべき時を得ず。強迫観念。鬱。爵位。ちち、はは、おとうと。いとおしい。ばかな言葉。自己表現という美辞麗句、とそれを与えられた自我の、この浅ましさ。肉食。テリトリー、うふふ、ヒロイ。功名心。血色の良い人間。嫉妬。生くべき時を得ず。ナマのまま手渡し。インターネット。帝王。書くということ。かくということ。距離感、近きも遠きも。振り払った腕が起したそよ風。笑え。音楽。震え。猛り狂うということの、その日常。涙、乾け。どうか、あなたから禍が離れん事を。同時に、あなたに禍を、この手で。聖杯にて血液を飲みたい。あるべき食卓。アルテミスの弓にて放たれるは必ず希望の滲光なり。闇喰。浄化の儀式は、それを破壊と呼んでも構わない。笑って殺せ。追憶は常に暖色。それから、一度だけ君に渡せたプレゼント。やわらかに付きまとう。全て、黒い煤をかぶり、それは固まりこびり付いている。
(2002.5.11)-11
地面に触れているぼくの足の裏から強烈な違和感が脚の真中を通って伝わり、脳に届く。その伝わってくる感覚も全部ある。歩くと、それは前後左右に少しずつぶれる。歪む。それは痛覚に似た感覚で、ぼくはすぐに一歩も歩く事ができなくなってしまった。これが苦痛というやつなのだろうか。立ちどまり、煙草を取り出して火を点ける。吸い込むと同時に嘔吐の衝動。唾を吐くことで、その代わりとする。見あげると虹は消えていた。少し先に公園がある。ゲートの先にベンチがふたつ並んでいるのが見える。人影は無い。あそこまで行きたい。あそこで休みたい。とても疲れた。あそこで少し眠りたい。
(2002.5.11)-12
しかし、もう一歩も歩く事ができないのだ。煙草もけむりを吸いこむ度に、吐き気が喉まであがって来るので、二三回吸い込んだだけで捨ててしまった。何がそうさせているのかは、わかっている。どうすればいいのかも、わかっている。単純なのだ。このまとわりついているもの、全てをきれいに棄ててしまえばいいのだ。惜しいものなんて、そんなの、全部だ。
(2002.5.11)-13
舞い踊るように旋回する二匹のマンタ。深いブルー、輝く海。見あげている。
(2002.5.11)-14
棄てる事にしよう。身体をいちど揺すると、じゃらじゃらと音を立てる。息を吐いて、ぼくはそれらが繋がっているところをゆっくり撫でてゆく。はじめに左腕を右手で。はらはらという感じで、ほとんど抵抗無く、簡単にそれらは付け根のところから切り離されて落ちる。地面に落ちた時、ガチャガチャと硬い音を立てる。それがなんだかつらく思えた。落ちて積み重なってゆくそれらは、もうただのごみだか、ガラクタだかにしか見えないのだ。それらが集められて積まれている。というようにしか見えない。棄てられて当然のもの、だれもきっとこれを手にとったり、持ち帰ったりする事はないだろう。全部取れてしまってきれいになった左腕を眺めて、もう一度なでてみる。青白いやせこけた左腕。血管が3本ほど浮き上がり、薄く盛り上がっている。そのまま左腕を真っ直ぐ上げてみる。軽くなったような気がしないこともない。腕を下ろして、もう一度見つめる。細い腕だと思った。左腕が終ったら、今度は右腕を。腰のまわりを一周。ぼくのまわりには粘っこく固まった煤まみれの黒いごみが積み上げられてゆく。違う、惜しいものなんだ。と、叫ぼうとしたけれど、もう一度見回したら、その力ももう沸いて来なかった。これを今まで必死に持ち歩いていたのか。身体につけてまで持ち歩いていたのか。最後に腿。もう何もついていない。地面に積み上げられている。ぼくのものでは、もうない。全部、簡単に身体から離れてしまった。そんなものなのだろうか。こうして見ると、やっぱり全部、ガラクタ、そのものだ。
(2002.5.11)-15
その黒い山の中にね、装置、が、「自分の中にある悪感情を隠し、よい感情だけを増幅させる」その装置も混じっていたんだ。ぼくはそれを知らなかった。全部煤を被っていて、黒ずんでいて、汚らしくて、同じガラクタに見えたから、ぼくは気付かなかった。
(2002.5.11)-16
やはり、歩けるようにはなったのだった。あの地面からこみ上げて来る違和感も、我慢できる程度になった。ぼくは公園のベンチにたどり着き、座り込み、深呼吸をして、深呼吸をして、煙草を吸いたいと思い、取り出し、火を点け、半分吸って捨て、あそこに棄てて来たものの黒い集りを眺めて、唾を吐き、深呼吸をして、深呼吸をして、深呼吸をして、一度息を止めて、吐いて、吸って、上を見上げると、やたらに深い青。雲が青いのだ。真っ青。とてもではないが、飛ぶ気になれない。疲れた、眠たい。なぜそうするのかはよくわからないのだが、あたりに人影がない事を確認して、それからベンチに横になった。
(2002.5.11)-17
人が死ぬ夢を見た。確かに見た。目覚めると、汗をたくさんかいていて、日は暮れていた。とても寒い。ぼくは公園のベンチにいるのではなかった。見下ろすと、ぼくの暮らす町が家庭の灯りを滲ませて、そうして闇の中に浮かび上がっている。ぼくの身体、風船の身体。ぼくは宙を漂っていた。地に居れない。もう、ひとり。そう、ひとり。ああ、そう。
(2002.5.11)-18
背筋に力を入れる。軽々と飛びまわる。羽。今ではそれを、そう呼んでいる。獣。いや、昆虫。いや、機械。ホラ、こんなにかたい。概念の形成の変化。孤独など有りえない。その名は消えた。台風一過。馬鹿な、過ぎてなどいるものか。常態。届け意思。首を括れ。縊死。身体が伸びてゆくような感覚がある。これが、おぼれるという事なのだろか。君は危なっかしい、見ていられない。獏。跨いでゆく。記憶喪失。あなたはだれ、ぼくの夢をきいてくれ。ぼくがいるところを見に来てくれ。ぼくの姿は、御覧、すごく醜い。
(2002.5.11)-19
ときどき人間のふりをしなければならない事がある。ときどき気持のよさそうな言葉をいわなければならない事がある。あのとき棄ててしまったものの中に、あの装置があった事は、そのときになって気がついた。どこを捜してもそれは見つからないので、ぼくは仕方なく、遠くを見て口を噤んでいた。ひとことも喋れる言葉がないのだ。自分の力でも、それを見つけ出そうとするのだけれど、見つかる言葉には、どれにも悪意がある。確かにある。それで、ぼくは喋る事ができない。一言もしゃべる事ができない。ホントウの事なんて、しゃべらない方が、断然いい。ウソを作れ。気付かずに作れ。笑って喋れ。「とりあえず」この悪意。
(2002.5.11)-20
「なんじら断食するとき、偽善者のごとく、悲しき面容をすな。彼らは断食することを人に顕さんとて、その顔色を害うなり。誠に汝らに告ぐ、彼らは既にその報を得たり。なんじは断食するとき、頭に油をぬり、顔を洗え。これ断食することの人に顕れずして、隠れたるに在す汝の父にあらわれん為なり。さらば隠れたるに見たまう汝の父は報い給わん。」マタイ六章十六節。ぼくはこれを守る事ができない。悲嘆にくれたる個体。愚かなりき。
(2002.5.11)-21
過剰な倫理観はただエゴイスティックである。
(2002.5.12)-1
何が足りないんだろう。書きずらいけれど、もうちょっといじってみようかしら。きちんと20, 21を混ぜれるくらいに。ちょっと空を飛ぶだのなんだのが、難しい感じなのだけれど。
(2002.5.12)-2
あのね、筋を通したくないの。筋が通ってないけれど、筋がある感じはするの。そういうのがしたいの。「葉」みたいな。「h2o」みたいな。「斜陽」だって、そうでしょ。分断して、スカスカのくせに、言い切らずに終えるくせに、最後には全部わかる気がするという。あれがいいの。ひどくいいの。いや、だから、太宰なの。太宰がいいの。
(2002.5.12)-3
絵本にするといいのかも知れない。んー、でもそうするとせっかくの列挙が台無しだぁ。別にうまくいったわけでもないけれど、そこが自分的にはメインだし。
(2002.5.12)-4
「人生、負けつづけると、そこに生れる価値もあるのではないか」などと、のんきに夢想し、「出来ればわたくし、その先駆者たらん」と、呆けた誓いを寝床に収まってぬくぬくといたした晩が、我が身には確かに在れども、残念な事には、我、決して先駆者に非ず。そこには、少なくとも、太宰治なる先人、そこに、しっかと在れり。(眠いので中略)あやつ、今地獄で、生命の無駄遣いの報いを受けていることであろう。あやつは、間違いなく地獄に居る。処は薬中禁断症状地獄が相応しかろう。打っても打っても止まぬ渇望。借金、借金、また借金。家人、およびなぜが5人もいる子供、そろい揃って飢餓状態。書いても書いても金が入らぬ。喉を割いても、はじめからの繰り返し。進むもならず、退くもならず、頼るは薬のみ。されど、それも全く効きやしない。地獄。ざまぁねぇ。人間失格。
(2002.5.13)-1
振りほどこうとする腕を強く握って身体を手繰り寄せるのは楽しい。
(2002.5.13)-2
毛布を貸してあげる。それからぼくも。一緒に入ろう。
(2002.5.13)-3
壁に寄りかかってしゃがんで、肩まで毛布をかけて、そうして向い側の壁に貼ってある、あなたの描いた絵とあなたの笑った顔の写真をぼくは眺めていることにする。あなたは、うつむいて膝を抱えていればいい。しばらくすればそれにも飽きて、眠ってしまうだろう。ぼくはそれを確認してからそっと立って、湯を沸かし、コーヒーを入れる。あなたは飲みはしないけれど、二人分。それを持って、また眠っているあなたの隣りに座り、壁に背をつけて、コーヒーを息で冷ましながら、向かいの笑ったあなたの顔の写真を見る。あなたの描いた絵を見る。芽の付きはじめたばかりの立木の枝のひとつに黄色い風船が引っかかっている、絵。背景は透き通る雲ひとつない冬の空。ぼくはコーヒーを飲んだから、ひとりでだいぶ遅くまで起きている。沈黙の音楽。秒針の等間隔。そのうちにそれにも飽きて、あなたは全然目を覚まさないから、あなたの頭を腿に乗せて、ぼくはいくつかイタズラをする。
(2002.5.13)-4
明日、あなたの機嫌がなおっていたら、何をしたか教えてあげる。
(2002.5.13)-5
今日は黙っていて構わない。毛布。ほら。
(2002.5.13)-6
ここに子守唄のひとつでも、置けると少しはいいのだけれど。眠いので、ぼくの方が先に寝てしまう。
(2002.5.14)-1
昨日上げ忘れた。どうやら、書いて、それだけで満足したらしい。よい傾向だ。
(2002.5.14)-2
ぼくは澄んでいないのだから、はったるしかないのです。理由や力は、どこからでも持って来ていいと思います。それから、醜さは出来るだけ、持てる技術の限りを尽くして誇張すべきだと思います。
(兵法)
 文章の中の、ここの箇所は切り捨てたらよいものか、それとも、このままのほうがよいものか、途方にくれた場合には、必ずその箇所を切り捨てなければいけない。いわんや、その箇所に何か書き加えるなど、もってのほかというべきであろう。
(2002.5.14)-3
そろそろこれで行けたら、なんて、思ったりして。あはは、難しい。
(2002.5.14)-4
ところで、それ、なんだか、ぼくみたいですよ。感心しないなぁ。
(2002.5.15)-1
なんて陳腐なんだろう。11日のものには「蓑虫」というタイトルがついた。その余勢を駆って、書き足しをはじめたけれども、なんだか同じようなどこかで見たようなもののように見えてしかたがない。進歩は見つからない。面白いようにもやはり思えない。しかし、どうやら「蓑虫」というタイトルはぼくには役に立つもののようで、そのおかげで流れもフィックスしたし、感覚もフィックスした。これで、気合を入れて倍くらいの長さにまですることができれば、始まって終る話には一応なるような気がする。
(2002.5.15)-2
すいません。メールのお返事、全然書けていません。ひとの気持を測ろうとしながら何かを書くのはとても疲れますです。きもち、押す、感じにしたいのですが、あと、揺れの少ない、単調な感じにしたいのですが、加減がよくわからなくて。すいません。


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