Uluru 物語 
(2)自動車部はまだ存在するか?

 自動車部という組織は恐らくもうどこの大学にも存在しないのではないだろうか? 

モータリゼーションの普及に伴って自動車そのものが、「宝物・憧れの存在」から、「何年かごとに買い換える消耗品・どこの家でも普通にあるもの」、になってからは自動車部という存在は意味をなさなくなったのではないだろうか? 

我々の現役時代も、いやもう少し前から、「自動車部の存在意義とは何ぞや?」というような議論がなされていたし、OB名簿をみても平成10年卒で途切れている。部活としての一橋大学体育会自動車部は既になくなってしまい、如水モータクラブ(略称JMC)というOB会があるのみである。ちなみに昭和33年卒業が第一期生となっている。

このような先入観でいたが、これを機会に調べてみたところ、何と体育会自動車部は今も存在していた。
全日本学生自動車連盟という組織も、関東・中部・関西・中四国・九州の4支部もあった。大学自動車部の幾つかは立派なホームページもあり、新入部員の募集などもやっていた。
ただ活動の中身は、当時のままのものもあるものの、我々の時とは大分異なって来ているようだ。現在、連盟が主催し学生自動車部が参加する競技は、@自動車運転競技(俗称:フィギュア)AジムカーナAダートトライアルBエコランだそうだ。

我々の時代の競技としては、「フィギア」と「ラリー」だった。フィギアは多分当時とそう変わらないだろうが、「ラリー」は正確さを競うタイムラリーでダートトライアル、エコランとも異なるものだった。
伝統的に一橋はラリーに強く「ラリーの一橋」と言われたものの、フィギアには弱くほとんど失格、つまり最後までゴールすることが少なかった。

フィギアと言ってもピンと来ないだろうが、分かりやすく言うと「自動車教習所のクランク、S字、車庫入れ、などをもっと難しくしたもので、タイムと減点数の少なさをポイントで競う競技」とでも言おうか。コツは後輪の位置をしっかり把握しておいて、うまく難関を乗り切ることにあると思う。

 ともあれ、我々の大学にはもう自動車部は存在しない。活動母体のないOB会はだんだん求心力がなくなってくる。会うたびに思い出話ばかりでは寂しいし、同じ話の繰り返しでは飽きてくる。ちょっと年代が離れてくると共通の接点が少なくなってくる。回を重ねるたびに、過疎の村のように確実に人数も減って行くばかりだ。こんな訳で我々同期はOB会にはあまり出席しなかった。
 

続く
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