Uluru 物語 
(15)国際運転免許証

 9月11日木曜日に最寄の警察署に行って国際運転免許証をもらって、オーストラリア仲間との打ち合わせに都内の竹橋へと向かった。

 免許受け取りがスムーズにいったので私は1時間弱早く着いたが、6時半集合の定刻には全員揃った。
打ち合わせは順調に進んだ。残るは最後の議題。
どこでどう聞きつけたのかNHKのプロデューサーより取材の話があり、これを巡って久しぶりに遅くまで議論をした。
我々のやろうとしていることは他人から見ればしょせん「集団的自己満足」。こちらから積極的にアピールするようなものではない。ただ、第三者的に見て何らかの価値を見出して、取り上げて貰うのは悪いことではないから、ありのまま自然体で取材をお受けしよう。というのが私の、そしてほとんどの意見。 結果的には皆同じ意見に落ち着いたが、こうして損得なしで真剣に議論出来るのは貴重なことである。
 おかげで皆ビールのピッチも量も上がって、帰宅したのは0時ちょっと前。
「明日、車で朝早く出かけるから。」と一旦は断ったが、結局二次会に行き、最後は看板となり店から追い出された。
帰宅してすぐにメールチェック、返信を行い、風呂に入り、寝たのが2時近かったろうか。

 翌日金曜日は富士五湖、富士山五合目、富士サファリパークと家内・息子とドライブ。

 土曜日になって眠い目をこすりながら、さあ一昨日の懸案事項を片付けようと、ユニフォームと一緒に入っているはずのプラスティックのケースを取り出そうとするが、どうしても見つからない。
真っ青になった。
入っているものは国際運転免許証、仲間が苦心して作ってくれたオーストラリアの運転マニュアル&スケジュールが入っているCD、一昨日のメモなど。
特に国際運転免許証が痛い。
連絡を取ろうと思ったがあいにく土、日、祝日と3連休。てのうちようがない。
火曜日になって京急・都営地下鉄・警視庁逸失物センターなどに連絡するが見当たらず。
 昼食を終え、急いで神保町に行き2次会の店を探し回る。
木曜日は相当酔っていたのでなかなか思い出せず、うろ覚えの記憶を辿るがなかなか見つからない。
オフィスが近い早乙女君に電話をして場所を教えてもらってやっとたどり着く。
確かに見覚えのある看板。てっきり漢数字の「三」が付く名前の店だと思っていたら、ひらがなの「さん」となっていて「さんの蕗」とあった。
 地下の店だったので階段を降りようと思ったらチェーンが掛かっていて、先は真っ暗。チャイムを押すが応答なし。
「エイ」とばかりにチェインをくぐって店に入ると、若い奥さんが支度中。
「あの・・。木曜日に伺ったのですが、忘れ物は・・・。」
「ああ。これですか?」
「あったー! 中に国際運転免許証が入っているのです。名刺も一緒に入っていたので連絡していただけるかと・・・」
「そんな大事なものが入っていたのですか?(無理もない。チャッちいプラスチックケースだもの) 中を見ては失礼かと思って。」

思わず嬉しくなって、奥さんの手を握ろうと両手を指し出したら・・・

引っ込められた。 


続く
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