Old Cemetery
 
スコットランド(お墓の話 第5

 11 Feb 1999 16:02:45 +0900

93年9月。ロンドンで2社、エジンバラで飛び込み訪問も含めて3社の機関投資家訪問を終えて、日本人ファンドマネジャーのハ−ディーさんのお宅に泊めていただきました。ご主人が典型的なスコットランド人で母方か父方かは忘れましたが、ウォレスという姓がつきます。2月の始めにテレビで「ブレイブハート」(メル・ギブソン監督主演)を放映していましたがその主人公がウィリアム・ウォレスです。スコットランドでは英雄ですから、彼はこの姓にとても誇りを持っているのです。この映画(原作も読みましたが映画から文章を書き起したような感じで、中身は映画そのもの。従ってとても読みやすかった。)には別のエピソードがあり、別の機会にご紹介したいと思います。
Old Cemetery

エジンバラのウェーバリー駅から
カールトンヒルに向かう途中の
右側に古い門があり、吸い込まれるように
入って行くと・・・・
翌朝、朝食前にエジンバラ市内を散歩しようと思い、9月とはいえ緯度の高い地方のため(ほぼ樺太の最北と同じ)薄暗く、肌寒い中を歩く。住宅街から広い、とても広い芝生の公園を横切り、お城の下にあるお墓を通って、鉄の柵を乗り越え、お城の前の広場に出る。ちょうど8月に行われていたエジンバラ・フェスティバル用に作られた観客席を解体していた。いつかは8月のシーズンに来ようと思いながら未だに果たせていない。
ロイヤルマイルを下り、ノースブリッジを渡って、カ−ルトンヒルへ向かう途中の坂道を登っていると、右側に墓地(オールド・セミトリー)の門(いかにも古めかしい)が少し開いており、何の気なしに、ごく自然の成り行きのように、吸い込まれて行った。何かが、誰かが、呼んだのではないかと思う。墓石に刻まれた年代はとても古い。1600年、1700年代はざら。ある墓石の前に立つ。上空には大きな烏が5〜6羽舞っている。大きな羽根音。まるで中世のドラキュラの世界。エジンバラの街自体が中世そのものであるが故に、タイムスリップした気分。

ふと振りかえってカールトン・ヒルを見上げると、突然背中に電気のように寒いものが走った。まったく初めての経験である。もちろん外は寒かったが、外気の寒さではない。びっくりして後ろをみると、ちょうど後ろに墓石が立っており、名前の下に”Famous Historical Painter ・・・・ Died in  169x ”と刻んでありちょうど300年前のものであった。

ハ−ディーさんの家に戻ってそのことを話すと、エジンバラには幽霊がたくさん出る、自分も幽霊にあったことがある、あなたが見たのは先祖かもしれない、と話してくれた。

3日後、ネス湖の帰り、インバネスの本屋で”Ghost In Edinburgh”という本を見つけて列車の中で読みふける。ちなみに、エジンバラのウェーバリー駅から毎晩ゴースト・ツアーが行われている。私も95年に参加したが、始めは英語が聞き取れず、他の人が笑っているのに意味がわからず悲しい思いをしたが、だんだん雰囲気でわかるようになった。その一つに、エジンバラ大学は古くから医学・薬学で有名だが学生が解剖用の死体が足りなくなり、高く売れるようになった、ある宿屋の主人がこれに眼をつけ、そこに泊まった人は殺され、売られるようになった、という話がある。そのおちが、「だから今でも、エジンバラではあまり安いホテルに泊まってはいけない。」というものでこれは安心して大きな声で笑えた。

この不思議な経験以来、ほぼ毎年エジンバラに来ると墓参りをしている。息子に遺言で、「私が死んだら、灰の一部をこの墓のそばにまいて欲しい。」と頼み、市内地図にしるしをつけておいたが、97年の夏休みに彼を連れて行って、じかに場所を教えることが出来た。なんとなく気がかりであったが、気持ちの整理がひとつ出来たような気分になった。

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               件名 : 第6号 お墓の続き

日時 : 1999215 20:40

     前回、スコットランドのオールド・セミトリーにあるお墓のことについて書きました。

1993年のことでしたが、正確な日時を確認したくてノート(クロッキー用)を改めて本日見ました。1993年9月18日のことでした。さらに、翌年のノートを見ると、1994年9月17日にそのお墓に行っています。Birth Feb.131744 - Dead in Aug.6, 1789 と記されていましたので没年が間違っていました。その時気がついたのですが、ななんと、今日(2月13日)が彼の誕生日だったのです。前回のメールの時に確認しておけば間違わなかったのでしょうが、今日になって、どうも気になって調べたら、誕生日であったとは、何か偶然以外の何かを感じます。ビールを飲みながら、ここまで書いて、今また背中に寒気を感じています。

93年のあの強烈なものほどではありませんが、背中よりもむしろ後頭部のあたりに感じます。


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