コッツウオルズ (1) N0.13
94年9月
 

 

コッツウオルズ遠望 素描 ミクルトン 素描 ミクルトン 油彩 15号
スカイ島からエジンバラに戻り1泊。エジンバラ城を見るとホームタウンに帰ってきたような気持ちになる。
翌日、ワーウイック城を見たりしてから、シェイクスピアの生まれた街ストラットフォード・アポン・アイボンに泊る。ここは完全に観光地化されているが、市内を流れるエイボン川は美しい。白鳥が泳ぎ、ボートが浮かぶ。

B&Bのおばさんに「典型的なコッツウオルをズ歩きたいので良い所を教えて欲しい。」と頼み、翌日、バスで向かう。バス停で待っていると、昨日バーミンガム駅でであった女性(バーミンガム駅といっても一つではなく、スノウヒル、ニュー・ストリート、ムーア・ストリートの3つがあり離れているため、乗り継ぎにはタクシーが必要。勝手が分からず前を歩いていた日本人の女性と割り勘で同乗。駅で別れたがストラットフォード・アポン・アイボン偶然出会ったわけ。)


バスが来たがこれがぼろい田舎のバス。運転手に降りる場所を伝え2時間位乗ったような気がするが、4年半前のことなので確かではない。降りた所が、家が数軒あるだけで、バス停の前に”コストカット”という激しい名前のスーパー。昼食用にと果物とジュースを買う。田舎道を歩きだし、ほどなく牧場があり、フットパスになっている。柵を乗り越えて牧場を歩いていると、遠くから見るのと実際に歩くのとは大違い。遠くから見ると青々して、「あんな広い所を歩いてみたい。」と思うが、実際に歩くとイギリスは雨が多いためグジャグジャ。おまけに牛や馬の糞がたくさん落ちている。スニーカーがすっぽり足首まで埋まる。硬めの所を選んで丘を登る。丘の頂上付近から2枚スケッチ。さらに登って近道をしようとしたら、塀があっておまけに鉄条網。といって今更引き返す訳には行かず、人っ子一人いないことを確かめて、リュックを鉄条網の向こう側に投げ入れ、やっとこくぐりぬける。「アメリカだったら“Freeze”とか言われて撃ち殺されるかな。」などと想像しながら、さらに牧場を歩いて行くと牛が50頭位群れて横になっている。まっすぐ横切りたいのだが牛がいるので遠回りして目立たないよう柵際を歩く。途中、木の棒が落ちていたので、いざ襲われたらこれで追い払おうとそっと拾う。牛は横目でこちらを見ている。

やっと牛から逃れて柵を越えると、こんどはひつじの群れ。ひつじは牛と違っておとなしいと思っても、これだけたくさん山いると気持ち悪い。ここも何とか乗り切って柵の端まで着たので、ちょっとからかってみようと、「メー。」と鳴き真似をしたら百匹位がいっせいに頭を上げ、馴れ馴れしいのは寄って来る。あわてて「シーッ」と追い払いつつ逃げる。言葉が通じたようだ。さらに歩くとキツネが出て来る。だんだん道も方角もわからなくなって来る。牧場を抜けて車道に出る。道を聞こうにも人がいない。いるのは羊だけ。羊に聞くわけにもいかないのであきらめて歩きだす。やがて三叉路に突き当たり、どちらか迷ったが、運を天に任せて右を選ぶ。200mほど歩いた所で、赤い車が通り過ぎて行ったと思ったら急ブレーキをかけてバックしてきた。運転しているのは若い女性”I saw you in Scotland."と言って「乗って行かないかないか?」と誘ってくれる。もちろんOK。たった一つ残念だったのは隣に男がいたこと。彼女はスイス人。男はアメリカン。スカイ島からのフェリーの中で私を見かけたという。ミクルトンまで乗せてもらう。ツーリスト・インフォメーション・センターで今夜の宿を早めに紹介してもらう。

B&Bについてから近くを散歩。その時描いたスケッチと帰国後油絵にしたのがこれです。
 

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