ロンドンの回転寿司

 経営者はキャロライン・ベネット(女性ファンドマネジャー) 

94年9月。ロンドンのリバプール・ストリート駅の上に回転寿司屋がある。それほど大きな店ではない。この年の目的のひとつはこの「もしもし寿司」の経営者Ms.キャロライン・ベネットを訪れることであった。

 そのきっかけは、日本で彼女の経営する回転寿司の店がテレビで放映されたのを偶然見たことであった。「へえー。ロンドンで回転寿司ねえー。」と感心してみていると、その経営者は若い(当時28歳くらい)女性ファンドマネジャーだと言う。ちょうど昨年に続いて2回目のイギリス訪問を控えていたこともあり、当社をPRするには絶好の相手だ、というわけでアプローチすることにした。ちなみに彼女は日本株を担当し、元気寿司(今はグルメ杵屋のグループに入っているらしい)を取材した時に、株式投資より寿司屋の経営に興味を持ち、機械はどこから買うのだとか、特許はあるのかとか、ネタはどうやって仕入れるのかとか、直接投資とは関係のないことを取材したらしい。この時点でロンドンに出店を出すことを念頭に入れていたのだろうか。

 9月21日。店長の浜さんに会う。キャロラインに会いたいと言うと、「彼女は日本に転勤になり、ちょうど今朝の飛行機で東京に発った。」ということであった。残念。一足違いか。

 浜さんの話では、「自分は日本の新聞記者を良く知っており、その関係で一時期取材がすごかった。ラジオ、テレビ、新聞はもちろんフライデーまで来た。」、とにかく、日本の記者は来るときはいっぺんにくるらしい。1皿90、120、150ペンスとあり、味噌汁は90ペンス。結局腹いっぱい食べて、ビールを小ビン2本で16ポンド。決して安くはない。 

投資会社の名前はわかっているので、日本へ帰って彼女を訪ねた。確かに20台後半という感じ。「忙しいので手身近に。」と言って話を促された。神経質そうな女性であった。帰国後1週間くらいだったので英語で説明しようとしたが、うまく行かない。日本語でやってくれと言われ、不本意ながらそうさせていただいた。話に聞いていたとおり、超ミニスカートをはいて、やたら足を組み替えるのには困った。

 この店は翌95年に、キャニング・スクール(英語を母国語としない人のためのビジネス用の語学学校)に1週間入ったときに頻繁に利用させていただいた。

たまたま、テレビを見ただけのことでIR活動に結びつけるのは本当に物好きなのかもしれないが、つい「面白そうだ。」、と出来心というかもののはずみというか、軽い乗りというか、きっかけは何でも良いのだが、何でもやってみて損はない。


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