Euston駅前のパブで

なぜつまみも食事も取らずにビールだけひたすら飲むのですか?

2000年9月15日。入国審査を無事終わって地下鉄でユーストン駅へ向かう。相変わらずマナーが悪い。電車も汚い。雑多な種類の民族が同じ所に住むというのは、コミュニティー意識が薄れ、他人の価値観には干渉しないがお互いに決して良くは思っていない。でも口には出さない。こんな状態になって行くしかない、ということなのだろうか。
ハマースミスあたりから急に込み始めて来た。何かいつもと違う。サウスケンジントンまで来ると最悪。乗り切れずに次の電車を待つ人が出る。それにしても異様な込みようで、ドアのそばに立っている人は首を傾けないとドアにはさまってしまう。

  Euston駅について荷物を預け、夕食を摂りに駅前のパブに行く。かなり昔からやっている店の様子が、壁に飾った蒸気機関車の写真や昔の駅舎風景、列車の標識などから伺うことが出来る。中はビジネス帰りの客でいっぱい。今日は金曜日なので1週間お疲れさんビールでも飲んでいるのだろう。12時間のフライトと無事に夜行列車に乗れるという安堵感から、ビターを一気に流し込む。
「それにしてもなぜ?」と、隣で飲んでいた品の良い中年の一流ビジネスマン氏に問い掛ける。「なぜ皆つまみも食事も取らずにビールだけひたすら飲むのですか?」 「アーム」と英国人風に考えて(当たり前か)、「ここで飲んでいる人は、この近のオフィスで働くビジネスマンが多く、今日は金曜日だから仕事も終わってほっとして一杯やっているところ。1週間分のストレスを発散するため、列車待ちの間に飲んでいる。食事は家で食べるから飲むだけ。自分もこれからバーミンガムに帰るが時計を見ながら飲んでいるところだ。」  それから、ITの話、BTの話(もはや電話会社ではない。IT、バイオの会社だ。)、JPモルガンの話、・・・・などに及び、Eメールアドレスを教えあって、E−フレンドになった。(帰国後パソコンを開いたら彼からメールが入っていた。)43歳。テレビ局勤務。北欧へはよく会議で出かけるという。ブレア首相のようにひとつずつ区切って話すのでクリアでとても聞き取りやすい英語だ。あえてそうしているのか、それともプレゼンテーション慣れしているのか。いずれにしてもかなりのインテリと見た。 列車の時間が来て彼は去った。食事をオーダーしたところ、食べ物を口にしているのは私だけ。やがて雷鳴とともに激しく雨が降ってきた。そして稲妻。 うまいこと雨は止み、20時過ぎにパブを出て荷物を引き出して(Collectというらしい)列車に乗る。うまい具合にシングルだ。
21;45例によって音も無く発車。

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