Land's End
心の贅沢。命の洗濯


   カモメから逃げ出して、海岸どおりを歩いてMinolta Hotelへ向かう。左が海岸、右手にレストランやホテルが並んでいるが、Brightonのようなハデさ、ケバさはない。やはりLondonからの距離が全く違うからだろう。あちらは熱海かワイキキ。こちらは??? 下田ほども行かないなあ。
海岸といってもここは砂浜ではない。広い専用歩道が続く。

チェックインして、とりあえずLand's End へ行くことにする。バスは16;45にホテル近くを通るという。今は15時。暇つぶしに海岸でスケッチをし、描き終わってからケーナを吹いていると、5人くらいの親子連れの父親が「ケーナ」「ケーナ」と騒いでいる。何かな?と思って顔をあげると3、4歳の女の子が小さなおもちゃみたいなケーナを持っていて、父親が「一緒に吹いておいで。」とPushしていた。手を叩いて笑うと、みんな大笑い。女の子だけ恥ずかしがって父親の後ろに隠れている。

バスに乗りランズエンドへ向かう。当然見晴らしの良い2階席へ。道は狭く、アップダウンがきつい。途中、大勢若い人が降りたので、ココがランズエンドか、3年前のウィンダーミアのホークスヘッドの二の舞か、と悪夢が頭を横切り後ろに座っていたヒゲだるまのおじさん(このころは自分もヒゲだるま状態)に聴いてみると、「No ランズエンドはもっと先。メイン道路に戻る。」と教えてくれた。
しばらく走ってバスは右に折れて急坂を下ってゆく。目の前は三方海。右は崖。海岸に到着。いよいよココかと思い、後ろを振り返るとヒゲだるま氏がニヤと笑って、"Land's End next"と言って降りた。 バスは方向転換して今来た急坂を登る。メイン道路に出て今度は右折。さらに先に進んで、到着。確かに広い。三方が海だから広いのは当たり前だが、自然と深呼吸になってしまう。
スケッチをして、 1時間ほどして18:28のバスに乗りもとの道を帰る。

Land's End でイタリア系の家族に撮ってもらった。
定番位置なので「私もここで撮った。」という方も多いはず。
バス停から Land's End へ向かう道。190度海。

海岸に戻り、無性に魚が食べたくなったのでFish Food Restaurantを探す。 海岸沿いの家から人の良さそうな40台くらいの男性が出てきて、庭を見ていたので何となく声を掛けた。こちらは塀が低くて庭が歩行者から良く見える。どうぞこのお庭をご覧になって下さい。まるで庭は共有物のようである。高い塀で囲って道行く人とコミュニケーションを遮断しようなどというのとは無縁だ。

いでながら、なるべく自分をオープンにすると相手もオープンになり、コミュニケーションの対象は広がるが、セキュリティー上の問題もある。
どこで自他の線を引くかは、国、民族、個人の考え方によって異なるようだ。庭の例で例えると、日本は間違いなく塀。アメリカは塀のない家が多いような気がする。玄関か。
イギリスでは塀はあるが低い。乗り越えようと思えば乗り越えられる。この高さが微妙なのかもしれない。 塀が高いのは刑務所とお城。島流しなど、塀はなくても島自体が世間と遮断されている例は世界共通。ホテルは部屋の扉が線引きラインだろう。


  その男の人に「このあたりでオイシイ魚料理の店はどこか。」と聞いたらとても丁寧に、教えると言うより一緒に考えてくれて、ついつい話し込んでしまった。彼の言うには、「とにかく隣のレスランは美味くないよ。15分くらい歩くと右側にShell Fish Bar (後でまた出てきます)があるが開いているかどうかわからない。」 ありがとう。ではとにかく行ってみよう。
Shell Fish Bar は昼間ペンザーンス駅から歩いた時にチェックしておいたが、その時は閉まっていた。Barという名前とは異なり、日本でいうと道端の産地直接販売用小屋という代物。しかし、さんざんイギリスの食事に辟易していた私にとってはShell Fishという響きはこたえられない。新鮮な魚介類が頭の中を駆け巡っていた。それに、何となくFishがFreshという語感の響きもある。ましてや、フィシュ&チップスを食った直後に通った時に目にした店なのでなおさら。 結局その店は閉まっており、その前にあるパブでSoleを食べた。ひらめのようであった。女の子10人ほどのグループが歌を歌いだした。とても賑やか。満席になってきて、60代後半の夫婦と合席になる。おかげで1時間ほどお話が出来た。名前はジョン&バーバラ Thompson、通称"TOMO"と呼ばれていると言うので、日本語では「友」すなわちFriendのことですよと教えると60代なのに子供のような顔をしてとても喜んでいた。
子供の話になり娘が二人アメリカに嫁いでいるそうで、マクドナルドの話になり、私の次女がマックでバイトしているというとこれまたびっくりしていたが、マックは世界中にあるんだよねー。
彼は昔海軍にいて香港に2年住んでいて神戸にも来たことがある、今は Royal Mailで働いており、石油ストの時は道路がすいていて走りやすかったとか。いつものごとくPost Cardをあげる。

食事を終わってホテルに帰る途中、海岸でケーナを吹く。
寒いせいか人がほとんどいないので安心して気兼ねなく吹ける。星がきれいで、天の川、Milky Wayがよく見える。時々流れ星が糸を引いて消える。 こういう旅を「心の贅沢」と評した方がいらっしゃいますが、まさに心の贅沢。「命の洗濯」という言葉もあるが、「心の洗濯」でしょうかね。とりわけ私の心は汚れやすいから、時々こうして洗ってあげないとね。 もっと口の悪い人は、私のホームページを見て「(自分の好きなことを)やりたい放題」とも評しますたが、はずれてはいないでしょうね。 23時頃寝ました。


UK2000シリーズ続 


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