St.Ives は画家の街
スケッチするのは大胆過ぎた

  2000年9月19日(火) 4時に一旦目が覚めてまた8;15まで熟睡した。これだけ眠ったのは悟と1999年ラスベガスで二人とも熟睡し、グランドキャニオンに行くのに大慌てして以来。
雨。6回目のイギリス訪問の中でこれだけの本格的な雨は初めてというのも不思議な気がする。
9時半にHotelを出て歩こうとすると、同じホテルの客(リタイアした夫婦風)が車の中で地図を広げているので、ちょっと頼んで駅まで乗せてもらう。勿論Post Cardを差し上げる。原価100円くらいのものがとても大きな効果を発揮する。 これをPost Card Effect(ポストカード効果)と名づけた。
ホテルのご主人がペンザーンスからセント・アイブスへの直行列車の時刻を調べてくれて、10:10と聞いていたが、駅に着いて再確認したら10時ちょうどだった。 海岸通りを歩けば30分弱かかったものが、おかげで随分早く着いた。 City Bankのワールド・キャシュ・カードで、CD機よりキャッシング。本当に便利だ。

ローカル列車もいい。NHKの衛星放送で「イギリス列車紀行?」という番組があって時々再放送をするが、まさにその地方である。(番組の中でFish & Chipsのことに触れていたので食べてみようと思ってトライしたけど、いくらイギリスでおいしいものを期待していないとはいえ、やっぱりあれはカモメの餌。)
発車してすぐ一つ目の駅に着き、ここが分岐点で支線に入る。やがて右に海岸線、線路のすぐ左側がゴルフコースという素晴らしい景色が広がってきた。特に海岸線がいい。これはこの先景色が期待できるぞ。いい絵が描けるぞと期待がふくらむ。
駅に着く。え、もう終点。
相変わらず雨。人々の流れについて歩き出す。眼下に無数の小船の群と丘から海岸に向かってしゃれた家がびっしり。典型的な海岸のリゾート地だ。帰りの列車の時間を調べておこうと思ったが、小さな駅舎が混んでいたので、「どうせ急ぐ旅ではないし、今日の宿泊は同じホテルだし・・・」とまた歩き出す。

雨が降り続いていたのと、景色があまりに良かったので、街に入る前にどこかでスケッチをしたくなり、ふと見ると、しゃれたホテルがある。しかも眺めは最高。中に入って、「お茶を飲みながらスケッチをしたいがOKか?」と聞くと勿論OK。(これが結果的に良かったか、悪かったかは考え方次第。) 半島を見下ろす位置に座って、スケッチを始める。1段高くなった後ろにも席があり、二人連れがいたが、とにかく景色の良い所を選んでいたので気が付かなかった。

半島に家やホテル、教会などが建てこんでいて、海岸には船がぎっしり。 後ろの人がスケッチに気が付いたようだ。(高くなっている席で、すぐ後ろにいるのだからまるで覗きこんでくださいと言わんばかりの位置になる。気が付かない方がおかしい。)
自分でもちょっと細かく書きすぎたかな、という気はしていたが、後ろで"Too Busy"と言う声が聞こえたので、「しまった。」と思った。大失敗ならぬ大失態。ここはセント・アイブス。画家の街。その手のプロが大勢いるし、画家でなくても何らか絵に関係のある人は多いはず。それに気が付かずにスケッチブックを広げるとは何と大胆不敵。そう思ったら視線が気になって、描けなくなってしまった。そこでパッと破ってしまえばかっこいいのかもしれないが、もったいないし、せっかく描いたスケッチに申し訳ない気がして、「これは失敗だよ。こんなはずじゃないのに。」という思いを装って、手を広げて首をすくめて中止。(従って完成していない)
ホテルのレストランから。外は雨。ガラスに雨が叩きつける。 スケッチ。後ろの客のプレッシャーを気にしながら。


ホテルを出て半島の先に向かって歩き出す。観光客相手の小さなお店がたくさん並んだ小径を歩いてゆくと・・・これまたびっくり。Galleryと書いた画廊がいたるところに並んでいる。画家の工房もあり、店員兼画家なのか画家兼店員なのかわからない人が多い。何人かの画家たちが集まって一緒に画廊コンプレックスを構成しているところもある。
先ほどきれいなホテルからスケッチをしたなどということが何と怖いもの知らずだったことかと、またまた悔やまれる。 しかし、考えようによっては先にあそこでスケッチをしておいてよかったのかもしれない。この画廊の群を見た後では絶対に描けなかったろうから。 この街は、絵を描く人、絵を見るのが好きな人は絶対訪れるべきところだろう。いつかまた、今度はどうどうと油絵を描きに行きたいものだ。

 
ああ St.Ivesは画家の街

UK2000シリーズ続く 

 


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