ケーナを吹いたら牧場の牛が・・・
Pitlochryの牧場で牛さんにケーナを演奏すると、あちこちで「アウー」

2000年9月16日(2)。Pitlochry(ピットロッホリー)到着直前に見えた谷間に立ち込める、まるで雲が地上に降りたような景色を見渡したくて、緩やかな丘を上へ上へと登る。きれいなB&BやHotelが点在する。イギリスはどこでも、ScotlandもEnglandも、そしてWalesも(Irelandはまだ行ったことがない)、家の窓に必ず花を飾ってある。勿論庭にも。そして庭は垣根が低く、手入れが行き届いているのが良く見える。
さらに登ってゆくと池があり、池から霧が浮かんでいる。その中を水鳥が1列になって10羽ほど、静かに、波だけを残して泳いでいる。ベンチがあったので座ってここらでケーナでも吹こうかなと思ったら、朝露で濡れていたのでケーナはもう少し我慢。

Golf Course Rd.という標識があったのでその方向にさらに登る。コースが見えた。日本と違い、道の横がそのままゴルフ場。一応、プレーヤー以外立ち入り禁止、みたいなことは書いたものがあるが物理的に妨げるものは何もない。朝焼けがとてもきれいで、冷たい空気が気持ちよい。誰も人がいない。と思ったらGreen Keeperらしき人がティーグラウンドに立ってスタンスをとり、ティ-マークを置いていた。彼も、こんなに朝早く誰も人はいないと思い込んでいたところにリュックを背負って腰にケーナ袋をぶら下げた変な人が歩いていることに気付いて、怪訝そうな様子でこちらを見ている。私が手を振ると、口笛で応えた。

さらに登る。両側に大きな木が並んでいる、半トンネル上の道をまっすぐ抜けるとT字路に当たり、角が広くなっておりベンチが置いてあった。30分くらいは登ったのでベンチの朝露を拭いて一休み。血圧の薬を口に入れ、ペットボトルの水を飲む。360度の景色をデジカメに収め、ケーナを取り出して遠慮がちに音を出す。回りに対する気兼ねが染み付いて、大きな音が出せない。(家では夕方笛を吹くと偶然かどうか一斉に近所の家の雨戸が締まり出す。) 今日は日曜日だし、まだみんな寝ているだろうから・・・・。いや、土曜日だった。


このベンチに座って、血圧の薬を飲んで、景色を眺めながら遠慮がちにケーナを吹いた。
1時間ほど景色を眺めたり、ケーナを吹いたりしていたが、ちょっと曇ってきたなと思ったら急に冷え込んできた.さすがにスコットランド、寒い。セーターを着込む。まだ寒いので立ち上がり、また歩き出す。小川が山から流れてくる。途中、道端に(Thisle)アザミが咲いていたのでカメラに納める。


Thisle アザミの花
映画「Brave Heart」(メル・ギブソン監督主演)を見た人は冒頭の父親の葬式の時少女がそっとハンカチにくるんで渡してくれた花、そして主人公が成人して彼女に再会した時見せたそのハンカチ、そして最後に断頭台に上って”Freedum”と言って手の中から落ちてゆくハンカチ、それがこのアザミの花。Scotlandの国花である。
ついでながら映画の後、本を読んだら非常に読みやすかった。ストーリーはまるで映画そのもの。映画が先で、その後本にしたのではないだろうか。原文で読むとScotland通にはたまらないだろう。97年にはEdinburghからRabbies社のバスツアーに息子と一緒に参加したが、そのロケ地と「ロブ・ロイ」のロケ地を回った。その時のガイド兼ドライバーはSUUという元気の良い女性だったが、この後、Stirling城を訪れた時、思わぬ展開になった、

少しずつ、車の姿が見え出した。B&BやHotelからゴルフバッグを車に載せている人を何人か見かける。
道は大きく右に曲がって下り始める。牧場が道の横に広がって、牛が何頭もうずくまっている。
93年のコッツウオルズ事件を思い出し、牛をからかってやろうと、まるで剣を鞘から抜くようにケーナを腰の袋から取り出して吹いてみた。あちらこちらから牛たちが頭を持ち上げた。こちらを見ている。さらに吹き続ける。あちこちで立ち上がりだした。一番こちらに近い牛が「モー」と鳴きだした。そして群れがざわついて、動きが出てきた。あちこちで「アウー」「アウー」「アウー」と大きな声をあげだした。
これ以上刺激してもまずいので、吹き止めて立ち去る。

さらに下って街に戻り暖をとるため、たった1軒開いていたHotelで朝食を摂る。
9:24発の列車が遅れて9:34発となる。今回の列車は特に遅れが目立つ。約1時間でStirlingへ到着。

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