アメリカ IR(Investor Relations) の旅 1

Global Proxy Service Joe Lufkin さんを訪ねて

 94年11月21日(月)。昨日ボストンを歩き回って過ごした後、ボストン郊外のレキシントンにあるグローバル・プロキシ-・サービスのジョー・ラフキンさんを訪ねた。

日本から電話でやっとアポイントを取り(何せ時差があるので夜中の3時頃何回かかけた。)、本社はボストンだという事くらいしかわからずに来てしまうのだから、自業自得と言えない事もないが、昨日市内の本屋で地図を買って調べようとしたら、レキシントンが載っていない。電話では、「レンタカーで来た方が良い。」と言われたが、右側走行は恐いし、道もわからないので、とにかくボストンまで行ってから考えようと思ったのがこのありさま。ボストン市内でなくもっと広い地図を見たら、載っていた。ボストンの西15キロ位。交通手段は全くわからない。列車の駅に行ってみたが、汚くて恐そう。電話したくても日曜日なのでダメ。(この後ホテルに戻り、駄洒落のおかげでアイスクリームをもらったのが昨日。)

ということで、21日9時にGPSに電話を入れる。GPSとは年金基金などが保有する株式の議決権の代行サービス及びそのアドバイザーをやっている会社で、発言力が大きいい。社長のラフキンさんが電話に出て、ホテルまで迎えに来てくれるという。待つこと1時間あまり。アメリカ人にしては小柄で、首を前に突き出した独特の姿勢でやってきた。自己紹介とここまできた理由をお話しし、割とすぐに打ち解けた雰囲気になり、高速道路を走って、彼の会社に着く頃は意気投合した。彼は非常に日本の経営スタイルを良く知っており、どうやったら日本の企業が効率の良い経営を行うように出来るか、どうやってそれをさせるか、戦略的に考えている人であった。

彼の、かなり年季の入ったベンツに載せてもらい、途中セルフスタンドで給油をし、高速道路をひた走りに走って、緑豊かなレキシントンの街に入る。「この辺りはイギリスとの独立戦争の際、弾薬庫があった所で激戦地であった。」そうである。オフィスに着いてからさらに議論をしたが、驚いたことに日本の有名な総会屋グループから提携の申し込みが来ていると教えてくれた。『彼らは目的が全く違いますよ。提携などはとんでもない話しですよ』と申し上げたところ、「勿論知っている。」という答えであった。

帰りの時間が気になったので失礼しようとすると、街のレストランに案内してくれて、食事といわゆる地ビールまでごちそうしてくれた。日本から電話1本で気軽に会ってくれるこの気安さは何だろうか。逆に考えると、電話1本で簡単に会いに来る人たちなのだということだ。それが投資家なら当然のこととして会いにくるだろうと実感した。

 

 そろそろ失礼しようとすると、列車では不便だから空港まで送ってくれるという。再び高速道路をひた走りにボストン、ラガーディアン空港に向かう。

 

 空港に着くとさてビックリ。飛ぶはずの飛行機がキャンセルになったという。ボストンからまっすぐニューヨークへ行く便をとればよかったのだが、何せ有給休暇と自費を使ってのIR勉強貧乏旅行なので、ボストンからシカゴ経由でニューヨーク入りという日程であった(全てユナイテット航空で移動して安く上げた)。こちらでは人数が集まらないとフライトのキャンセルは珍しくないらしい、それでも何時間か遅れで何とか代わりの飛行機に乗ってシカゴへと向かった。機中では隣に座った男の子連れの女性とお話をしたので退屈はしなかった。彼女はシカゴで看護婦(日本でいえば婦長クラスか)をしており、SRLの名前を出した所、よく知っているという、日本でも知らない方がほとんどなのに、アメリカまできて自分の会社を知っている方がいるとは感激。ホリデーインのアイスクリームの話をしたらとても喜んで、自分もそのジョークを使ってみると言っていた。(USA編の「ボストン」参照

 そうこうしているうちに、遅れに遅れた飛行機はシカゴに着いた。乗り継ぎの飛行機に間に合うかどうか気が気ではなかったが、空港に着いて時計を見るとちょうど飛び立ったばかり。異国の地の一人旅で、ガックリして広いシカゴ空港のロビーを歩く。この落胆振りを想像できるだろうか。・・・・・・・・・・・・・

と、その時「何!!!」大きな時計が目に入り、目を疑った。おもむろに自分の時計を見る。「ちょうど1時間違う。」「なぜだ?」・・・・。思わず、「あっ!」と声を上げてしまった。時差だ。時差。時差だよ。

80日間世界1周、という映画をご存知の方はイメージが直ぐわかると思う。

何だ。これで予定の飛行機に乗れる。間に合った

 

ところが、この飛行機が更に遅れて、NYのホテルに着いたのが、午前0時過ぎであった。

  


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