新説!フルートの音の出し方(3)

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前書き

フルートの音を出すのに、大まかにエッジ方向を狙って音を出すことに始まって、どうも穴に入った空気の吹き戻しがあり、その釣り合いで芯のある音が出せるのだと分かって来た。
今回、尺八を練習していて、吹き戻しのための良い息の吹き込み方に気付いた。
尺八は、息の吹き戻しが起きにくい楽器なので、フルートより音を出すのが難しかったが、フルートでの経験を生かして模索すると、逆にその仕組みが鮮明に浮かび上がって来た。

新しい方法論

基本的に、楽器への口の当て方は、下のような感じになる。
このとき大切な事は、下唇で適度に穴を塞ぐという事だ。
穴を塞ぐ量を変える事で、吹き戻しの量をコントロール出来る。


まず、普通の考え方。
この様な感じで、やや高い位置からエッジ方向へ息のビーム吹いて鳴らす。
エッジにより、そのまま楽器の外に流れる気流と、穴に吹き込まれる
気流に分かれるようなのだが、この方向の気流で穴に吹き込まれる空気は、
なぜかほとんど無いように感じる。
当然、エッジで切る事が発音原理である筈もなく、振動を生む渦のような
別の要素で鳴っているのだが、その何かを作らないと音が出ないのだ。


数年かけて音が良くなって来たとき振り返ってみると、
自分の口の形は、口の中で上あごから下向き息をに吹き出す感じになっているのに気付いた。


下向きとは言っても、上図のような下向きではないし、息の主流は、あくまでもエッジ方向であって、下向きではないのだ。
ここで、尺八で練習した成果なのだが、上あごから口の中で下向きに吹いた息は下唇の滑らかな曲線に沿って穴の中に吹き込まれているようなのだ。
エッジ附近であまり吹き込まれていないのが不思議だったが、穴に入る気流は唇側から入っていたのだ。


そうすると、下図のように、2つの方向に同時に息を吹いている事になる。
この2つの気流のバランスを取る事で、息の主流と穴からの吹き戻しによってエッジ附近に振動が生まれて音が出るのだ。


少し見方を変えると、下図のようにビームではなくて一定の角度で広がりを持った、縦方向に幅がある息の吹き方をしているとも考えられる。


ともかく、これで芯のある強い音が安定して出せるようになったので、
やっと、フルートで音楽が出来るようになってきた。

後書き

最初にフルートを買ってから、実は、20年以上経っている。
その頃は、日本のプロでも音が小さかったり、音に芯がなかったり、
満足がゆく音色の奏者が少なかったので、決して日本では習いたくなかった。
今思うと、穴に直接的に息を吹き込む感じの発想が主流だったのではないか。
2000年近くになって、グローバル化が進んだのか、日本のレベルもかなり上がって、何かその辺りの問題も解決されたかに見えるが、意外に楽器が進歩して、正しい音の出し方に導いてくれているように思える。
実は、2本目のフルートに出会うまでは、まともな音が出せていなかった。
国内、海外の翻訳本も含めて教本も幾つか買ったが、音の出し方について、
何も核心的なことは書かれていなかった。
フルートには、最低音から1オクターブの音だけが安易に出せる息の吹き込み角度があって、そこを基本に1オクターブ上を出そうとしたが、同じ角度では出ないし、出たとしてもかなり不安定でピーキーな音でどうしようもなかった。
唇をスリットにして、ビームとして出すという発想では、どうしてもこの角度で音を出してしまう。
この出し方が、スタンダードな音の出し方でないと気付けないまま、このトラップから抜け出せない人も多いのではないか。
これを回避するには、2オクターブ上と3オクターブ上が、ほぼ同じ楽器の当て方で出せなければならないのだが、1本目のフルートでは、探し当てる事が出来なかった。
2本目のフルートでは、正しい吹き込み角が比較的発見し易かった。
何が違うのかは分からないが、下唇を枕にて高い位置からエッジ方向に息を吹くと自然と息を受け入れてくれる感じがしたのだ。
吹き込むでもなく、不思議と息を吸い込んで素通ししてくれるような。
1本目と2本目のフルートは、値段も違うけれど、メーカーの設計思想が大きく違うと思っている。
また、楽器の場合、最初に買うものは、練習用だから安いもので良いというのは、大間違いでしょう。

暗中模索も進まず、教本を読むと鵜呑みにしたり、既成概念から大切な事に気付けなかったりで、進歩を阻むものは色々ある。
唇の形が、フルートを吹くのに適していないのではないかとか見当違いの事で悩んだこともあった。
でも、多くの事は、長く続けていれば、色々な出来事を通して気付かせてくれ、結局時間が解決してくれるようだ。
それにしても、人ではなくて楽器が音の出し方を教えてくれるとは思わなかったなあ。
長かったけれど、目的は達成したと思う。
2011.7.15

更に新説 (共鳴論)

更に練習を進めるうちに、何か自分の頬の中で音が響いているように感じるようになった。
それとともに、口の形と言うか容積が重要に思えてきた。
何か、楽器と口の中の空間が同じ周波数特性を持ってたとき、向かい合わせた音叉の 共鳴箱みたいな共振の現象が起きている様な感じ。
この音は、鋭い芯があるというより、丸くふくよかだけど、とても太い。
この音が出るようになって、演奏が楽になったし、表現力が出てきたと思う。
2013.11.24