楽器の比較から見るヒント
私は、最初Pealの一番安いフルート(NC-330EN)で始めたが、このフルートは今でも
音が出しにくいと感じている。でも今では息の方向などキチッと合わせられる。
2番目は、ムラマツの総銀のフルート(DS RC)だったが、これは息をやや下向きに出すと
良く鳴る事が分かっている。Pearlのよりは探しやすかったが、それでも息を受け入れて
くれる方向を探すのに相当かかった。
数年前、ある地区でミヤザワのフルートが良いと評判になっていたみたいだった。
気になったので、洋銀製の(BR Atelier-1E)を購入してみたら、確かに音が出しやすい。
感触としては、息をやや下向きにしなければならなかったムラマツに比べて
息を前に真っすぐ吹いても音が出る感じだった。
素人感覚では、息を上に逃がすと高音が出るのではないかなあという感覚があるが
その感覚で音が出てしまう、都合のいい楽器に思えた。
演奏者から見ると、音が出しやすい楽器は良い楽器で、音が出しにくい楽器は
悪い楽器になってしまう。
いやあ、ムラマツも息を受け入れる方向が違うだけで良く鳴るんだが・・・
ミヤザワのフルートを購入して2年になるので、比較してその違いを調べてみた。
ざっと見て違いが分かるだろうか。
(1) 頭管につけられたマーク
ムラマツもミヤザワも、本体と頭管の取り付け角度は、ここに合わせろという
指示はなく、演奏者に任されている。
ただ、頭管につけられたマークがおおよその目印になっている。
最初は、この目印の位置の違いで頭管の取り付け角が違って音の出しやすさに
違いが出ていたのではないかと考えたが、どちらもこのマークの位置が
アンブシュール・ホールの中央を示す様なので、違いはないという結論に達した。
(2) アンブシュール・ホールの大きさ
ムラマツ
W:11.6mm
H:10.4mm
ミヤザワ
W:11.6mm
H:10.2mm
これくらいの寸法の違いでも、見た目に小さいと感じるが、0.2mmの違い。
音の出しやすさは、これが原因ではないと思うが、影響がないとも言えない。
Hが短いと下唇が穴を塞ぐ量が少なくて済む。
(3) リップ・プレートの上部の形状
比較してハッキリ分かるのは、リップ・プレートの上部の形状だ。
ミヤザワのものは、明らかに急激に巻き込んでいる。
ムラマツのは、息をストレートに吹いたとき、ここに当たって気流が乱れて
音にならないように思う。
ミヤザワの形状は、今の所これによるデメリットはないと思う。
実は、ライザーの形状の方が音の出し方に影響する。
最初に買った、安いPearlのフルートは、音が出しにくかったようだ。
穴の上側が(図では左側)垂直だと、息が穴に入りにくく、音が荒れたり、
角度がシビアになったりする。
穴の内側の角度は、小指を入れてみると分かるだろう。
垂直な方が素直な設計なのだが、こちらで練習して角度が付いている楽器に変えると、
どの角度で音が出るのが探すのに苦労する感じだった。