フルートの音の出し方(6)

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頭部管のオクタープ(その1)

今まで、高い音にはそれほど頓着していなかった。
G4 (392Hz)
G5 (784Hz)
G6 (1568Hz)
で3オクターブ切り替えられるので十分と思っていたのだ。
最近、頭部管でオクターブ上を出す動画を見て、案外みんな出しているので
やってみたが、そこそこ難しいけれど、音が出せたので証拠の動画を撮影しておいた。
しかし、その後何度やっても出せなくなってしまった。
いきなり高音を出すのではなく、低音を出してすぐ高音に移るようにしたせいだろうか。
こういうのをスランプというのか。スポーツ選手などに良くあるが、感覚でやっていたり
再現条件を突き止められていないため、体で覚えたものが何か狂って出来なくなる。
2週間くらいかけて色々試しながらやって、その原因が分かった。
音が出ないまま、2週間も粘るのは、さすがに阿呆みたい。地道な努力と言えるのか。

今回頭部管で出したのは
A5 (880Hz) 開管
A6 (1760Hz) 開管 2倍音

だが、閉管で5倍音出す人も居る。
A4 (440Hz) 閉管
およそE6 (1320Hz) 閉管 3倍音
およそC#7 (2200Hz) 閉管 5倍音

最初は、このYoutube動画を見て出せた感じなのだが。
Sir James Galway Masterclass - Embouchure, Good Tone
しかし、出せなくなってからは、これも助けにならなかった。
上唇を下唇で覆う様に、下唇を最大限上に上げてから楽器を当てる。下唇をラケットのような形状にするとかユニーク。
言われた様にやっても何か違って音が出なかったり、普段の唇の当て方と変わらない結果となった。

当然、オクターブ上は、息を強く吹く。息を細くする。
オクターブは、上唇に対し下唇を押し上げる様にして、先端をより狭めて吹く感じ。
唇は、左右をしっかり閉じ中央はまた別の閉じ方になる。
感覚的には、下唇の形が違うのではないかという感じがしていたので下唇の工夫に偏っていた。
楽に出せる閉管の3倍音を出すときと口の形の変化は大差ない筈なのだが。
やっているうちに、唇をすりあわせるように動かしながら音を出すと音が出かかることがある。
同じ音階の掠れ音が出ているときに、唇を楽器に当てた状態で、下あごの皮膚を指で下に下げると音が出る様になったり。

更に、口を比較的大きく開けた状態で、非常に弱い息で、不安定ながらA5とA6を切り替えて出す方法が見つかった。
しかし、これは全く役に立たない。録音すると結構な音量なのだが弱く不安定。
この遅い流速で高い音が出るのが不思議。吹き戻しの空気の流れが良いのだろう。

今まで、下唇を中心に考えていてオクターブ上は、下唇を前に出す感じなので、
息が低音のときより上向き(前向き)に出ていると思っていたが、
上唇から下向きのラインを意識して音が出かかったりした。
どうやら、自分の場合、高音で上唇が少し引っ込んだ状態になっているらしい。
なので、もう少し前に伸ばす。
このとき、穴を近づける様に楽器を回すのを内回し、遠ざける様に回すのを外回しとするなら
オクターブ上は、わずかに外回しする事になる。

条件が絞れて来た様に見えて、まだ根本的な問題が解決せず音が出かかる程度。
で、唇をペロッとなめて音を出したら楽に音が出た。
何と、唇が乾燥して、上下の唇が軽く張り付く事によってオクターブ上が出せなかった
という結論。
上下の唇が合わさる部分は、常になめて湿らせておかないと良い音が出せないのだ。
もう少し下の音だとそれほど問題にはならないが。
となると、普段は口を閉じて乾燥させない様にしたり、音を出す前に唇をなめることが重要。
これは、分かっている人は無意識にやっているだろうし、分からない人はやらないかもしれない。
あと、吹く前になめて唇を湿らせると同時に、音を出すとき最初に息を通した状態で
息を絞るのが良い。
一度唇を閉じて息が流れていない状態から音を出すと、ブラス楽器の様に
プッとなってしまうことがある。
そういえば、トランペットのマウスピース練習で音が途切れるのも唇の乾燥が原因か。
(2023.7.13)

頭部管のオクタープ(その2)

更に探索が続き、色々試す中で繰り返すと色々な状況を感覚で記憶して、
時々鏡で確認することで状態も把握出来る様になり、その状態が音が出やすいのか
音が出にくいのか、やったことがある出し方なのかないのかも分かる様になり
大雑把に捉えていたり、混同していたものを細分化して捉えられる様になってくる。
頭の中に、音の出方や傾向を示す地図が形成される。

従来の自分の吹き方の延長で、頭部管の高音を出そうと考えるなら、
楽器を組み立てた状態で高音を出して頭部管に戻ると高音が出やすい。
頭部管だけだと、普段の唇の当て方すら再現出来ないかもしれない。

今の普段の吹き方は、まず、唄口の下側を唇のあるラインに合わせてリッププレートに
唇を当てて、楽器を内側に回しながら軽く唇をめくる様にして、唇の少し奥の滑らかな
部分で穴を半分くらいまでリッププレートに唇を当てる。
高音は、口先を細める感じにするのと、下あごを上に持ち上げる様にして唇を閉じる。
このとき下唇が厚すぎるなら、音を出すために唇を当てたままそのまま楽器を
ほんの少し下げて調整する。
概略こんな感じで、どうにか頭部管の高音が出る事がある。

次に、最初に頭部管で低音高音を出して、ムービーに記録したときのことだが、
このときは、最初は出した事がない音で、試行錯誤の上出せた形。
上唇は、「ふ」の発音くらいの形で、下あごを奥歯噛み合わせより引いて
下唇は、横にまっすぐ直線なイメージ。
日本の横笛を吹くときの形は、この形ではないかと思う。
唇の当て方は普段通りの手順で。
この形だと、口の奥まった部分で下唇の滑らかな部分で高音を出せるスリットが形成される。

そして、James Galway氏の方法だが、これは全く違う。
自分の場合、下唇が厚いので、難しく感じるのだが、確かにこの方法も再現出来た。
言葉で説明されていることだけでは、原理的なことは分からないし、微妙なニューアンスも
分からない。真似しても簡単には真似にならないが何とか。
下唇を上唇に被せて出来る限り上に持ち上げる。
このとき唇がラケットの様に張り出すというのだが・・・
顎がどういう状態なのか。
(1)奥歯を噛んだ状態
(2)前歯の上端同士を合わせた状態
(3)下の前歯を上の前歯より前に出して噛み合わせた状態
が考えられるが、普通に(1)で良い様だ。
下唇を持ち上げて楽器を当てるのだが、唄口を真上に向けて唄口の下側が唇の色と皮膚の色の
境界線くらいの所に来る様にして下顎というか前歯辺りに少し持ち上げる様に押しつける。
押したまま、楽器をあまり回さずにいつも吹くくらいの位置に下げる。
このとき唇の下の顎のくぼみにリッププレートの曲線がぴったり合うので合わせがちだが、
顎に当てるものではない様だ。
唇がリッププレートに貼り付いた状態で楽器を上下左右に動かすと
唇だけついて行く感じにする。
こうする事で、下唇が平たくたるみが取れて、少し下にめくる感じになる。
高音を出すときに、唇は真っ平では駄目で、スリット分中央を少し下げる必要がある。
それほど高音でなければ、意図的に丸くするというか、下唇のたるみで丸くするが、
この方法では、ピンと張るので別の方法でスリットを作らなければならなくなる。
楽器を下げて、唇をめくる様にすると唄口の下側のエッジで中央をより下げる事が出来る。
しかし、下唇が厚いとリッププレートを押し付けた事で下唇がかなり盛り上がるのが問題。
楽器を下げて下唇を下げると、唄口の位置も下がるので、下唇の高さだけ下げるには
唇が厚い分唄口の下側を唇の色の変わり目より少し上に当てなければならないと思う。
ところがこの位置に当てると唇が濡れていて滑ってしまう。
今のところ自分には合わないと思っている。
(2023.7.23)