塞栓に関して

 

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子宮筋腫・子宮腺筋症の新しい治療法> フィロソフィー> 塞栓に関して

 


UAEに使用される塞栓物質には3種類がある

1 ゼラチンスポンジ

2 PVA (ポリビニルアルコール・アイバロン)

3 エンボスフェア


個人的見解を申し上げるとゼラチンスポンジがよい。まず、入手しやすく、使いやすく、安価である。初期のUAEの論文を見ると皆PVAであったので、例に漏れず、60例目までをPVAで行った(うち25例はゼラチンスポンジ併用)。そのうち、ゼラチンスポンジでもPVA同様の臨床効果を期待できるという論文が出始めたのでゼラチンスポンジのみに移行した。塞栓効果に関しては最近の論文をみるとゼラチンスポンジの方がPVAより優る。現在ではPVAは使用していない。理由は感染して子宮全摘となった症例はすべてPVAが使用されているという事、PVAは国際がん研究機関(IARC、International Agency for Research on Cancer)より発がん性があるかもしれない物質 (グループ2B)に指定されているという事,さらにPVA単独でUAEを施行した患者さんのうち1名であるがUAE後にアレルギー症状(いわゆる蕁麻疹)が起きるようになった経験があるからである。もちろんPVAと蕁麻疹の因果関係は明らかでないが、この患者さんはアレルギーの既往はなく、皮膚科医もPVAが原因とは明言しなかったが、UAE後1年ほどこの症状が続いた。PVAは吸収されるまで1−2年かかるのでPVAによるアレルギー反応としても矛盾しない。ゼラチンスポンジも生物由来の物質であるからアレルギー反応の可能性を100%否定するわけではないが、数週のうちに吸収されるため安全性、信頼性がおける。なんといっても1100例あまりのUAEの経験から自分がイメージするUAEを行うにあたってゼラチンスポンジがより適切と実感したからに他ならない。また妊娠能を考慮してもゼラチンスポンジの方がよいと思われる。私は将来、UAEは世界的にもゼラチンスポンジが優勢になるであろうと予測している。ただ、これには説得力に欠ける。なぜならば報告は圧倒的にPVA,エンボスフェアが多く、ゼラチンスポンジのNが相対的に少ない。また、UAE後の病理組織も得られにくいからである。手術して病理組織がこれこれで、そのためゼラチンスポンジのほうがよいというのであれば説得力がある。また、最近エンボスフェアという新しい塞栓物質が欧米の市場に出回っている。価格がきわめて高いが、個人的には使用経験がなくコメントできない。


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