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子宮筋腫・子宮腺筋症の新しい治療法>
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治療
子宮筋腫自体は良性の腫瘍のため、特に症状が無ければ経過観察されます。また、ホルモンに依存するため、閉経以降は症状がなくなりますので、閉経期に近い年齢の場合は薬物療法によってうまくコントロールし、閉経まで持っていく方法(逃げ込み療法)もあります。ホルモン療法は月経自体を止め、3ヶ月程度で約50%もの筋腫の縮小を得ることができる治療法ですが、更年期症状(のぼせ、ほてりなど)が急に出現したり、骨粗しょう症、血清コレステロールを上昇させるといった副作用があるため、おおむね6ヶ月程度しかできません。最近は手術をやりやすくする方法として術前にホルモン療法が行われることが多くなってきています。単純子宮全摘術は医学的には最もパーフェクトな治療法といえましょう。しかし、妊娠、出産はできないばかりでなく、子宮を摘出されることによる精神的な苦痛もあります。筋腫核出術は患者さんによってはすべての筋腫が核出できるとは限らず、いわゆる筋腫の芽は取ることができない場合もあり、数年のうちに10%〜30%の患者さんが再発してしまいます。また、子宮全摘術、核出術の合併症として輸血を要する出血、膀胱、尿管損傷、肺塞栓症、術後感染症、術後腸閉塞等は頻度としては低いながらもありえます。子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)は1995年にLancetという国際的医学雑誌にフランスのRavina博士が発表、続いて1997年にUCLAのGoodwin博士が発表。以来世界各国で10万人以上の方がこの治療法を受けています。現在アメリカにおいてはUCLA、スタンフォード大学、ジョージタウン大学、オレゴン大学、デユーク大学、マサチューセッツ総合病院等の主要大学、病院にて広く行われるようになっています。ところで、子宮動脈塞栓術(UAE)後の死亡例は、現在までに5症例が報告されています。原因は感染による敗血症が2例と肺塞栓症が3例です。この数字をもとにすると、子宮動脈塞栓術(UAE)による死亡率は、0.005%(1/20000)となります。子宮筋腫で子宮全摘術を行った場合の死亡率は0.05%(1/2000)程度です(欧米も日本も同じ)から、少なくとも子宮全摘術よりは安全といえます。筋腫核出術については死亡率に関する確かなデータがありませんが、少なくとも子宮全摘術よりも死亡率は高いといわれています。日本国内では、子宮動脈塞栓術(UAE)後の死亡例は報告されていません(2005年現在、子宮動脈塞栓療法研究会集計3400例中)。
子宮動脈塞栓術(UAE) Vs 筋腫核出術 米国スタンフォード大学の報告によると、過多月経の改善率は子宮動脈塞栓術(UAE)で高く(90% vs 61%)、他の症状の改善は同等で、通常の生活への復帰も子宮動脈塞栓術(UAE)で早く(6日 vs 35日)、合併症もUAEの方が少なかった(4.1%vs19.4%)
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